<Q8.太田智晴【(Business Network編集部】サイバーセキュリティ対策に終わりはありません。今後のさらなる取り組みについても教えてください。
A8.竹内【総務省 サイバーセキュリティ統括官】 1つは、量子コンピューターでも解きにくい暗号技術です。経済産業省、総務省、IPA、NICTの4者で共同運営するプロジェクト「CRYPTREC」では、政府の推奨暗号のリストを作成しています。信頼できる暗号技術の評価を行い、各省庁や民間企業に活用してもらうためのリストです。RSA暗号など従来の暗号技術は、「復号化にはスパコンでも何年もかかるから安全」というものでした。今後、量子コンピューターが実現したら「数分で解ける」となると、大変なことになります。これは近年普及が進んでいるブロックチェーンでも同じです。量子コンピューター技術により計算機の能力が大幅に向上しても、解きにくい暗号技術のリストを早い時点から用意しておかなければなりません。現在の政府推奨暗号は2023年に見直す予定ですが、少なくともこの2023年を射程に入れて準備を進める必要があります。いつ頃、既存の暗号技術が破られそうかというと、2020年代半ばと現時点では見られているからです。
出典:太田智晴(Business Network編集部) 2019.06.17 https://businessnetwork.jp/tabid/65/artid/6793/page/1/Default.aspx