本書のタイトルは、古代日本語動詞のテンスとアスペクト 副題は、源氏物語の分析 とある。鈴木泰著、1999年7月、ひつじ書房、日本語研究叢書1-2 である。この書の理解はかなり困難である。読み通すには問題がないが、著述が労作であるにかかわらず、動詞のテンスとアスペクトが著者の分析で明確になりえない印象を持つ。果たして古代日本語動詞にテンスとアスペクトはあるのか、著者はあるともないとも言っていない。それはもともとあるとして述べているに過ぎない。
アクチュアルな現在と非アクチュアルな現在が区別できたと言うので、このアクチュアルがキーワードであるか。どうも分析の手法に従えば、基本形があり、その基本形であるが、助動詞の付かない形とあって、テンス、アスペクトを表わす形態論組織がなにかというと、一次的には、ツ・ヌ・タリ・りの付いた形、キ・ケリの付いた形によって形成されていると言い、さらに、二次形式があるとして、テンスアスペクトが、動詞基本形と、それにつく助動詞によって分類されてしまっている。
これでは分析が古典語の品詞における、いわゆる国語助動詞の文法機能で済まされてしまっているので、テンスアスペクトの視点で、それらの分析より、異なる点はなにかということがあらかじめの議論で進められないと言うことになるだろう。案の定、筆者が断るべく、第4章以下の学説の概観があって、そこに加えられた見解がある由で、そこをメインにしている。レビューとして読むには初学に取って裨益するところがあるかもしれない。
アクチュアルな現在と非アクチュアルな現在が区別できたと言うので、このアクチュアルがキーワードであるか。どうも分析の手法に従えば、基本形があり、その基本形であるが、助動詞の付かない形とあって、テンス、アスペクトを表わす形態論組織がなにかというと、一次的には、ツ・ヌ・タリ・りの付いた形、キ・ケリの付いた形によって形成されていると言い、さらに、二次形式があるとして、テンスアスペクトが、動詞基本形と、それにつく助動詞によって分類されてしまっている。
これでは分析が古典語の品詞における、いわゆる国語助動詞の文法機能で済まされてしまっているので、テンスアスペクトの視点で、それらの分析より、異なる点はなにかということがあらかじめの議論で進められないと言うことになるだろう。案の定、筆者が断るべく、第4章以下の学説の概観があって、そこに加えられた見解がある由で、そこをメインにしている。レビューとして読むには初学に取って裨益するところがあるかもしれない。