現代日本語百科   けふも  お元気ですか

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闘病と看病と

2014-11-18 | 本を読みました
純愛は、果たされるには、それなりのストーリーがある。著者の語呂合わせである、殉愛を読んで、シンボーさんが絶句していたのがわかるような気がする。メモ、日記に、記録された、闘うという壮絶な2年である。これは病気と気力、体力の限界を示した。免疫療法と緩和ケアに至って、それはすべて戦いの果てに現われた、ついには腹膜播種の恐ろしさであった。看病に聴力が失われたという件はその限界を超えてのことである。この書にあらわされた物語は、さまざま波紋を呼ぶ。美しすぎるからである。美しいと言う表現は当たらないとするかもしれないが、人間が見せるたたかいだから、そこに見えるのは、人と人との支えあいになる。できることではないと考えるか、あり得ることだとするか、それは記録によることだ。事実の再現はない。読後感に、ことばを添えるなら、この病の既往者にとってみれば、患部が痛くなってくるような、そんな本である。 . . . 本文を読む

源氏物語の動詞、テンスとアスペクト

2014-09-07 | 本を読みました
本書のタイトルは、改訂版 古代日本語動詞のテンスとアスペクト 副題は、源氏物語の分析 とある。鈴木泰著、1999年7月、ひつじ書房、日本語研究叢書1-2 である。この書の理解はかなり困難である。読み通すには問題がないが、著述が労作であるにかかわらず、動詞のテンスとアスペクトが著者の分析で明確になりえない印象を持つ。果たして古代日本語動詞にテンスとアスペクトはあるのか、著者はあるともないとも言っていない、それはもともとあるとして述べているに過ぎない。アクチュアルな現在と非アクチュアルな現在が区別できたと言うので、このアクチュアルがキーワードであるか。どうも分析の手法に従えば、基本形があり、その基本形であるが、助動詞の付かない形とあって、テンス、アスペクトを表わす形態論組織がなにかというと、一次的には、ツ・ヌ・タリ・りの付いた形、キ・ケリの付いた形によって形成されていると言い、さらに、二次形式があるとして、テンスアスペクトが、動詞基本形と、それにつく助動詞によって分類されてしまっている。 . . . 本文を読む

古典和歌解読

2014-09-06 | 本を読みました
古典和歌解読、副題には、和歌表現はどのように深化したか、とある。2000年に出版、扉の裏に、最終講義に代えて、という。この春に退職をむかえた由、はしがきに記されている。感懐もひとしお、14年前になるし、すれば、著者の小松英雄氏は現在、80歳を超えている。この書を手にしたのは2001年のことであるから、さらにその偶然を思う。かつて、日本声調史論考、風間書房 1971、国語史学基礎論、笠間書院 1973を手にしたころ、学生だったわたしは、基礎論ともども、繰り返し読んだ。そしてその影響下に文献国語学を確かにした。いろはうた、中公新書 1979、日本語の世界7.日本語の音韻、中央公論社 1981などを、そして気づくことがあり、3部作に再び、日本語はなぜ変化するか 母語としての日本語の歴史、笠間書院 1999、古典和歌解読 和歌表現はどのように深化したか、笠間書院 2000、日本語の歴史 青信号はなぜアオなのか、 笠間書院 2001 に、出会った。日本語の歴史に、購読をして用いたこともあった。 . . . 本文を読む

元気、減気、験気

2013-05-08 | 本を読みました
「気」の日本人 集英社  2010年11月30日  立川 昭二  しばらく読まずにおいていた本だった。一気に読んだ。気の語が多い日本風土というテーマで書かれていて、元気のもとを読み解く。日本文化論にもなると思ったら、文化史、心性史の視点から病気や医療を考察すると著者紹介文にあった。気の熟語は164もある。気配りなど50ある。気がするなど90もある。引用した文学作品の文献数は150冊に及ぶ。気の表現を精緻に調査した著作で、わかりよいが、気の大気である由来とアニミズムが結びついたと解釈している。気を持つコトバの多さが示す日本語としては気が失せることは何を意味するだろう。 . . . 本文を読む

公私混同を嫌う日本人

2013-05-05 | 本を読みました
日本人が世界に誇れる33のこと あさ出版 2012年5月22日 ルース・ジャーマン・白石   日本のビジネスはここがすごい   1 継続に価値を置くエブリワン主義      2 公私混同を嫌う日本人      3 日本人は売り込まないのに、なぜ信頼されるか      4 「お土産は個数の多いものを」という気遣い      5 感謝の心を言葉以外のもので表現する日本      6 社員を犠牲にしない日本の経営      7 「会社は社員のためにある」という考え方      8 世界に普及させたい日本の現場経営主義      9 「みんなで達成する」チームワークこそ日本人の強さ    じっくりと味わいたい本だ。コーナーにまた登場して、読みました! . . . 本文を読む

すまないことで、すみません

2013-05-02 | 本を読みました
「すみません」の国   日経プレミアシリーズ  2012年4月9日   榎本博明   自己心理学の専門家による日本コミュニケーションのあり方を解説している。キーワードにタイトルのすみませんというのがあって他者への思いやりのある言葉だと。本音と建前の二重構造、これはカタカナでホンネとタテマエ、ホンネが読めないことで察するというわけだ。コミュニケーションの深層には状況依存社会がある、日本的伝統が根付いている、と、プロローグには、日本人はいやらしいか、1章に、蔓延する「すみません」、2章に、日本語は油断ならない、3章に、言いたいことは言わない日本、4章、いやらしさの裏側、5章に、空気が国を支配する、6章に、ホンネに敏感な日本、タテマエ主義の欧米、エピローグは、わかりにくさの深層に。日本人、日本文化、日本社会と日本の依って来たるところをそうではない文化との比較でアイデンティティを求める内容だ。 . . . 本文を読む

2時間で何千枚の落ち葉拾い

2013-04-28 | 本を読みました
自分探しと楽しさについて  集英社新書0580C 2011年2月22日 森 博嗣  トータルで約12時間で書き上げた本だと、あとがきで述べている。執筆期間は7日間、日割りをして、日に2時間弱の、正確には1.7時間だから日に100分ほどの作業と言うことらしい。新書を3冊書いたら相談メールがたくさん来てほかっても置けないから書いたそうだ。それを3時間かからないで読んでしまったので、そんな程度かと、筆者の言に沿って正直思うところだ。一人楽しみはほかの人に語らない方がいいと言っているので、この執筆作業もこう言ってしまうと時間量による結果となって、ほとんど主張が見つからない。これはこの人のスタイルだから仕方がない。自分、楽しさ、社会、思いつくままに書いたそうで、それで足りないから、ぶらりとどこかへ行こう、付け加えたことのようだ。とくに引き合いに出すようなことではないけれど、仕事はするから金をくれと言わんばかりの話だ。公務員を辞めて物書きになったとあったので、収入と支出の計算は確かなんだろう。この本に書かれていることで役に立つのは落ち葉拾いの作業を時間と量で示したことぐらいか、それもなにごとにおいてか、そんなことをしたのかを知ることがこの人を知ることになる。箴言を書くといいのにと思うが、そこまではいかないか・・・ . . . 本文を読む

自立したまま死ぬこと

2013-04-27 | 本を読みました
ひとり死んでも孤独じゃない 「自立死」先進国アメリカ  新潮新書456  2012年2月20日 矢部 武   孤独死から自立死へ、この死に方を説く本だから、シューカツにふさわしい。第1章は、一人で生きることを前提にした社会で、配食するMOWサービスのこと、第2章は、独居死必ずしも孤独死ならずで、独居者専用住宅、SROのこと、ソーシャルワーカーが相手の考えのそうなった理由をしっかり聞くという話、第3章は、不幸な結婚生活による同居の寂しさで、リビング・トゥゲザー・ロンリネスを言ったのは心理学者ダン・カイリー博士である、第4章は、100歳を過ぎても働き続けたいで、北バークレー・シニアセンターNBSCにて、先生、生徒を問わず、人はいくつになっても知的好奇心を持ち続けることの大切さ、第5章は、独居者の孤立を防ぐ地域支援体制で、同じくNBSC、フィリップス社の緊急通報装置PLL、あるいはテレケアコーラーズTCCのボランティア、第6章は、コーンハウジングという住み方で、第7章は、おひとりさまの不安を取り除くためにである。と読んでみて、自立したまま死ぬということが、もう一つよくわからなかった。 . . . 本文を読む

シューカツその後

2013-03-20 | 本を読みました
頭痛のタネは新入社員 新潮新書 2008年5月20日 前川 孝雄   就職状況は2008年入社組から好転する、売り手市場世代、就職温暖期世代となたった。そのシューカツの結果が、いまあらわれている。 著者はその売り手市場の若者たちの動向をとらえている。なかなか、面白い本になっているが、かつては十年一日の如しの時代、それは技術革新とともに、10年が1年の速さでヴァージョンアップする時代である。この様子が2013年のこれからに活かせるか。若手を読み解く9つのカギはまさにその通りだし、一緒に働いていくための12の技は大いに参考になる。 . . . 本文を読む

就活に口出しするなら、カネをくれ

2013-03-19 | 本を読みました
親は知らない就活の鉄則 朝日新書 2012年1月30日 常見陽平   内容は親向けらしい。親の浅知恵で口出ししたら、と本の帯にコピーを書いている。今どきの就活を知る、ということでは、就活生には第3章を読ませたい。この章だけで十分だろう。親が口出しすることに、口出しするなら、金をくれ、というのがほぼ100%の望みだそうだ。著者は1974年生まれ、親ができる就活支援は、金、コネ、心と言い切る世代は、親がしている8つの習慣で第6章を結ぶ。 . . . 本文を読む