国語文法は読み書きの伝統を受け継いで書き言葉の作法、文法を追求してきた。第2次大戦の戦後70年、読み書きは言語生活に捉えられ、国語教育は聞く話す読む書くの技能を柱として民主主義を標榜して進められて来た。それは、表現と理解の領域をもって言語教育になってきている。書き言葉は古典語の言語資料を基に行われてきた国語教育の要であった。国語を対外進出に合わせて1930年代前後のころから、国語の尊重と愛護のとらえかたがあって、戦後にも継承された文部省、文部科学省の方針は言語政策にもなって、ほどなくその言語観は100年近くにわたって国民に等しく普及されたかに見える。したがってその文法にあるものは、ゆるぎなく国語による意識である。国語意識をイデオロギーに見ようとするのではない。国語文法が果たした言語分析は国民のものになっているということである。日本語文章論に文節の概念を引き継ごうとすると、それは単語を析出するための文節の切り方が有効であることを知り、また、文節をもって分節を知ることになる。書き言葉の国語文法は話し言葉の口語文法を1920年代、すなわち民主主義のイデオロギーを、当時の軍国主義に対比させて見ると、時代の影響下にあって避けることができない国語には、国語の話し言葉が捉えられようとしてきたのである。言文二途の流れでのことでもあった。
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