日本哲学32
哲学思想の概説書、戦後日本思想哲学概論を手元に引き出す。原著は1995年、中国社会科学院の国家プロジェクト、現代日本哲学によるもの、その翻訳が1999年に出版されている。農文協によって刊行されている、すでに20年前になるが、入手した時には、記述の偏りをもって難解とした記憶がある。いまも変わらないが、あらためて、中国の研究者から見た日本哲学、タイトルでは、戦後日本の哲学思想の概論である著述を見る。書誌詳細情報、目次を次に載せる。あとがきによると、国家重点課題、現代日本哲学について、最終成果であると述べる。1987年10月に始まって、1994年に原稿となった。
なお、哲学、哲学思想、戦後日本哲学思想概論と、その語句を見て、哲学を思想とする見方に留意する。
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540973878/?ctid=011706
農文協 公開書誌 >> 教養書 >> 哲学・思想
書誌詳細情報
戦後日本哲学思想概論
著者 卞宗道 著 本間史 訳
定価 ,638円 (税込)
ISBNコード 9784540973871
発行日 1999/11
出版 農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数 A5 570頁
解説
中国気鋭の日本思想史研究者による戦後日本哲学思想史の共同研究。戦後日本哲学を概観した序論、マルクス主義、実存主義、プラグマティズムなど、戦後日本の哲学思想、文化をリードした主流思潮を詳解分析した上篇、科学哲学、倫理学、美学、宗教哲学、思想史研究の各分野における研究動向を紹介した中篇、ニューアカデミズム、日本文化論学派など、新たな思潮動向を分析研究した下篇から構成される。戦後の復興、近代化実現の精神的背景として重要な役割を果たした哲学思想の役割を総括し、21世紀における哲学思潮の新たな展開を展望。
著者
著者紹介
卞崇道(中国社会科学院哲学研究所)/李樹琦(中国社会科学出版社)/畢小輝(遼寧大学哲学系)/王中田(南開大学哲学系)/李心峰(中国芸術研究院マルクス主義文芸研究所)/王守華(浙江大学日本文化研究所)/李甦平(中国社会科学院哲学研究所)/孫晶(中国社会科学院哲学研究所)/魏常海(北京大学哲学系)本間史(中国問題研究家)
目次
学術機関・専門家による評価と推薦のことば
日本語版への序文
序論
一、戦後日本哲学の形成と展開における社会的・文化的背景
二、戦後日本哲学の出発点
三、戦後日本哲学発展の時期区分
四、戦後日本哲学の展開
1、戦後第一期/ 2、戦後第二期/ 3、戦後第三期
五、戦後日本哲学の発展の特徴
上篇 戦後日本哲学の主要流派
第一章 マルクス主義哲学研究(上)
第一節 日本におけるマルクス主義哲学の伝播と発展
第二節 マルクス主義哲学の基本理論に関する研究
一、弁証法的唯物論
弁証法的唯物論の研究/ 自然弁証法の問題
二、史的唯物論
(一)史的唯物論に関する理論的探究
1、価値理論の基礎的問題/ 2、価値概念の規定/
3、価値形式の問題
(二)現実的問題に関する史的唯物論研究
1、時代の問題について/ 2、現代日本社会の性格に
関する問題について
第三節 非マルクス主義思潮に対する批判
一、現代非合理主義思潮に対する批判
二、非主流派マルクス主義に対する批判
三、 天皇制とそのイデオロギーに対する批判
四、「日本文化論」に対する批判
第二章 マルクス主義哲学研究(下)
第一節 主体性論争
一、主体性理論の提起
二、梅本克己の主体性理論
三、主体性論争とその意義
第二節 実践と実践的唯物論の探究
一、竹内良知のマルクス主義実践観に関する理解
(一)マルクス主義哲学の基礎としての実践概念
(二)実践こそ弁証法の基礎
(三)実践を主体性からとらえる
二、芝田進午の実践的唯物論
(一)実践的唯物論の提起
(二)実践的唯物論の体系
(三)実践的唯物論体系に関する論争
第三節 人間学的唯物論
一、人間学的唯物論の定義
二、人間学的唯物論の立場と体系
三、人間学的唯物論の哲学論理
第三章 日本における実存主義哲学の盛衰
第一節 実存主義哲学の日本における伝播と研究
一、戦前の日本における実存主義
二、戦後日本の実存主義哲学研究
第二節 現代日本哲学と実存思想
一、金子武蔵の実存理性と倫理学
二、実存にもとづく存在哲学――ハイデガー研究
三、マルクス主義と実存哲学――サルトル研究
第三節 鈴木亨の響存哲学
一、鈴木の哲学的出発点
二、労存哲学
三、響存哲学
第四章 プラグマティズムから分析哲学まで
第一節 プラグマティズム哲学
一、プラグマティズム哲学の日本伝播
二、生活つづり方運動
三、「思想の科学」運動
四、基本理論に関する研究
第二節 分析哲学
一、日本における論理実証主義と分析哲学の伝播
(一)「思想の科学研究会」と「科学論理学会」
(二)アメリカ式研究会と「科学基礎論学会」
二、分析哲学思潮の影響
第三節 日本の分析哲学
一、沢田允茂の哲学思想
(一)「存在」概念の新解釈
(二)論理と哲学の問題
1、論理思惟問題/ 2、弁証法論理の形式問題
二、永井成男の哲学思想
(一)概説
(二)「分析」と「分解」について
(三)「分析応用」と「分析論述」について
(四)論理学の役割について
三、プラグマティズムから論理主義へ
中篇 戦後日本哲学各分野の研究
第五章 科学技術哲学と戦後日本の発展
第一節 日本の科学技術哲学の誕生
一、戦前における日本の科学技術の発展状況
二、「唯物論研究会」における技術哲学
三、戦前期日本における科学技術哲学の主要観点
第二節 戦後日本の科学技術哲学
一、武谷三男の科学技術哲学理論
二、坂田昌一の科学哲学思想
三、星野芳郎の技術哲学
第三節 科学技術哲学と経済発展
一、田道振太郎と丸山益輝の技術論
二、斎藤優の技術移転論
三、エコロジーの科学技術哲学
第六章 倫理学研究と日本社会
第一節 現代倫理学理論体系の研究
一、和辻哲郎の人間学倫理学
二、金子武蔵の実存主義倫理学
三、岩崎武雄の実践倫理学
四、柳田謙十郎の唯物論倫理学
五、岩崎允胤の実践唯物論倫理学
六、加藤尚武の環境倫理学
第二節 倫理思想史研究
一、西洋倫理思想史の研究
二、東洋倫理思想史の研究
第三節 倫理学と日本社会
第七章 美学研究と日本人の美意識
第一節 哲学的美学、芸術学研究
一、竹内敏雄
二、井島勉
三、山本正男
四、今道友信
第二節 科学的美学、芸術学研究
一、川野洋らの科学的美学
二、木村重信らの実証的芸術研究
第三節 東洋美学、芸術論研究および比較美学、芸術学
第八章 宗教哲学と日本人の宗教意識
第一節 信仰自由の時代――戦後日本宗教の足跡
一、戦後における神道の変遷
二、戦後における伝統的仏教の変化
三、戦後における新宗教の勃興
第二節 宗教哲学思想
一、波多野精一の宗教哲学
二、田辺元の「懺悔道としての哲学」
三、鈴木大拙の禅哲学思想
第三節 宗教意識
第九章 東洋哲学思想史研究
第一節 日本哲学思想史研究
一、概説
二、戦後日本の哲学思想史研究の特徴
三、安藤昌益研究の発展
第二節 中国哲学史研究
一、研究内容
(一)宋代哲学の研究
(二)明代哲学の研究
(三)気学に関する研究
二、研究方法
(一)マクロ研究
(二)カテゴリー研究法
(三)比較研究法
三、研究の特徴
第三節 インド哲学研究
一、概況
二、おもな著作と理論
三、研究方法
下篇 八〇年代の日本哲学の新思潮
第十章 非理性主義哲学の再興
第一節 「感性の時代」と共通感覚論
一、感性の覚醒
二、共通感覚論
三、哲学の新起点
第二節 新アカデミズム派の哲学思潮
一、浅田彰の『構造と力』
二、栗本慎一郎の経済人類学
三、山口昌男の文化人類学
第三節 科学論における非理性主義的傾向
一、科学と非科学の境界
二、新科学論の思想的立場
三、実体から関係まで――認識論パラダイムの転換
第十一章 日本文化論学派
第一節 梅原猛の日本文化論と古代学
第二節 上山春平の深層文化論と日本学
第三節 竹内芳郎の文化記号学
第十二章 日本および東洋伝統哲学に関する追究
第一節 日本近代化の精神文化的要因
一、「儒家資本主義」論
二、「日本資本主義精神」論
三、宗教と日本の近代化
第二節 東洋身体論の哲学的意義
一、『精神としての身体』から『「身」の構造』まで
(一)非哲学にはじまる哲学研究
(二)心身合一の哲学観
(三)身の構造と作用
(四)道具の編入と記号文化の形成
二、東洋心身論およびその現代的意義
(一)現代日本哲学の身体観
(二)東洋心身論の現代的意義
第三節 西田哲学の再認識
一、西田哲学の現代性
二、西田哲学による現代問題の分析
三、東西思想融合の媒体
おわりに――二十一世紀をめざす日本哲学
注
あとがき
人名索引
哲学思想の概説書、戦後日本思想哲学概論を手元に引き出す。原著は1995年、中国社会科学院の国家プロジェクト、現代日本哲学によるもの、その翻訳が1999年に出版されている。農文協によって刊行されている、すでに20年前になるが、入手した時には、記述の偏りをもって難解とした記憶がある。いまも変わらないが、あらためて、中国の研究者から見た日本哲学、タイトルでは、戦後日本の哲学思想の概論である著述を見る。書誌詳細情報、目次を次に載せる。あとがきによると、国家重点課題、現代日本哲学について、最終成果であると述べる。1987年10月に始まって、1994年に原稿となった。
なお、哲学、哲学思想、戦後日本哲学思想概論と、その語句を見て、哲学を思想とする見方に留意する。
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540973878/?ctid=011706
農文協 公開書誌 >> 教養書 >> 哲学・思想
書誌詳細情報
戦後日本哲学思想概論
著者 卞宗道 著 本間史 訳
定価 ,638円 (税込)
ISBNコード 9784540973871
発行日 1999/11
出版 農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数 A5 570頁
解説
中国気鋭の日本思想史研究者による戦後日本哲学思想史の共同研究。戦後日本哲学を概観した序論、マルクス主義、実存主義、プラグマティズムなど、戦後日本の哲学思想、文化をリードした主流思潮を詳解分析した上篇、科学哲学、倫理学、美学、宗教哲学、思想史研究の各分野における研究動向を紹介した中篇、ニューアカデミズム、日本文化論学派など、新たな思潮動向を分析研究した下篇から構成される。戦後の復興、近代化実現の精神的背景として重要な役割を果たした哲学思想の役割を総括し、21世紀における哲学思潮の新たな展開を展望。
著者
著者紹介
卞崇道(中国社会科学院哲学研究所)/李樹琦(中国社会科学出版社)/畢小輝(遼寧大学哲学系)/王中田(南開大学哲学系)/李心峰(中国芸術研究院マルクス主義文芸研究所)/王守華(浙江大学日本文化研究所)/李甦平(中国社会科学院哲学研究所)/孫晶(中国社会科学院哲学研究所)/魏常海(北京大学哲学系)本間史(中国問題研究家)
目次
学術機関・専門家による評価と推薦のことば
日本語版への序文
序論
一、戦後日本哲学の形成と展開における社会的・文化的背景
二、戦後日本哲学の出発点
三、戦後日本哲学発展の時期区分
四、戦後日本哲学の展開
1、戦後第一期/ 2、戦後第二期/ 3、戦後第三期
五、戦後日本哲学の発展の特徴
上篇 戦後日本哲学の主要流派
第一章 マルクス主義哲学研究(上)
第一節 日本におけるマルクス主義哲学の伝播と発展
第二節 マルクス主義哲学の基本理論に関する研究
一、弁証法的唯物論
弁証法的唯物論の研究/ 自然弁証法の問題
二、史的唯物論
(一)史的唯物論に関する理論的探究
1、価値理論の基礎的問題/ 2、価値概念の規定/
3、価値形式の問題
(二)現実的問題に関する史的唯物論研究
1、時代の問題について/ 2、現代日本社会の性格に
関する問題について
第三節 非マルクス主義思潮に対する批判
一、現代非合理主義思潮に対する批判
二、非主流派マルクス主義に対する批判
三、 天皇制とそのイデオロギーに対する批判
四、「日本文化論」に対する批判
第二章 マルクス主義哲学研究(下)
第一節 主体性論争
一、主体性理論の提起
二、梅本克己の主体性理論
三、主体性論争とその意義
第二節 実践と実践的唯物論の探究
一、竹内良知のマルクス主義実践観に関する理解
(一)マルクス主義哲学の基礎としての実践概念
(二)実践こそ弁証法の基礎
(三)実践を主体性からとらえる
二、芝田進午の実践的唯物論
(一)実践的唯物論の提起
(二)実践的唯物論の体系
(三)実践的唯物論体系に関する論争
第三節 人間学的唯物論
一、人間学的唯物論の定義
二、人間学的唯物論の立場と体系
三、人間学的唯物論の哲学論理
第三章 日本における実存主義哲学の盛衰
第一節 実存主義哲学の日本における伝播と研究
一、戦前の日本における実存主義
二、戦後日本の実存主義哲学研究
第二節 現代日本哲学と実存思想
一、金子武蔵の実存理性と倫理学
二、実存にもとづく存在哲学――ハイデガー研究
三、マルクス主義と実存哲学――サルトル研究
第三節 鈴木亨の響存哲学
一、鈴木の哲学的出発点
二、労存哲学
三、響存哲学
第四章 プラグマティズムから分析哲学まで
第一節 プラグマティズム哲学
一、プラグマティズム哲学の日本伝播
二、生活つづり方運動
三、「思想の科学」運動
四、基本理論に関する研究
第二節 分析哲学
一、日本における論理実証主義と分析哲学の伝播
(一)「思想の科学研究会」と「科学論理学会」
(二)アメリカ式研究会と「科学基礎論学会」
二、分析哲学思潮の影響
第三節 日本の分析哲学
一、沢田允茂の哲学思想
(一)「存在」概念の新解釈
(二)論理と哲学の問題
1、論理思惟問題/ 2、弁証法論理の形式問題
二、永井成男の哲学思想
(一)概説
(二)「分析」と「分解」について
(三)「分析応用」と「分析論述」について
(四)論理学の役割について
三、プラグマティズムから論理主義へ
中篇 戦後日本哲学各分野の研究
第五章 科学技術哲学と戦後日本の発展
第一節 日本の科学技術哲学の誕生
一、戦前における日本の科学技術の発展状況
二、「唯物論研究会」における技術哲学
三、戦前期日本における科学技術哲学の主要観点
第二節 戦後日本の科学技術哲学
一、武谷三男の科学技術哲学理論
二、坂田昌一の科学哲学思想
三、星野芳郎の技術哲学
第三節 科学技術哲学と経済発展
一、田道振太郎と丸山益輝の技術論
二、斎藤優の技術移転論
三、エコロジーの科学技術哲学
第六章 倫理学研究と日本社会
第一節 現代倫理学理論体系の研究
一、和辻哲郎の人間学倫理学
二、金子武蔵の実存主義倫理学
三、岩崎武雄の実践倫理学
四、柳田謙十郎の唯物論倫理学
五、岩崎允胤の実践唯物論倫理学
六、加藤尚武の環境倫理学
第二節 倫理思想史研究
一、西洋倫理思想史の研究
二、東洋倫理思想史の研究
第三節 倫理学と日本社会
第七章 美学研究と日本人の美意識
第一節 哲学的美学、芸術学研究
一、竹内敏雄
二、井島勉
三、山本正男
四、今道友信
第二節 科学的美学、芸術学研究
一、川野洋らの科学的美学
二、木村重信らの実証的芸術研究
第三節 東洋美学、芸術論研究および比較美学、芸術学
第八章 宗教哲学と日本人の宗教意識
第一節 信仰自由の時代――戦後日本宗教の足跡
一、戦後における神道の変遷
二、戦後における伝統的仏教の変化
三、戦後における新宗教の勃興
第二節 宗教哲学思想
一、波多野精一の宗教哲学
二、田辺元の「懺悔道としての哲学」
三、鈴木大拙の禅哲学思想
第三節 宗教意識
第九章 東洋哲学思想史研究
第一節 日本哲学思想史研究
一、概説
二、戦後日本の哲学思想史研究の特徴
三、安藤昌益研究の発展
第二節 中国哲学史研究
一、研究内容
(一)宋代哲学の研究
(二)明代哲学の研究
(三)気学に関する研究
二、研究方法
(一)マクロ研究
(二)カテゴリー研究法
(三)比較研究法
三、研究の特徴
第三節 インド哲学研究
一、概況
二、おもな著作と理論
三、研究方法
下篇 八〇年代の日本哲学の新思潮
第十章 非理性主義哲学の再興
第一節 「感性の時代」と共通感覚論
一、感性の覚醒
二、共通感覚論
三、哲学の新起点
第二節 新アカデミズム派の哲学思潮
一、浅田彰の『構造と力』
二、栗本慎一郎の経済人類学
三、山口昌男の文化人類学
第三節 科学論における非理性主義的傾向
一、科学と非科学の境界
二、新科学論の思想的立場
三、実体から関係まで――認識論パラダイムの転換
第十一章 日本文化論学派
第一節 梅原猛の日本文化論と古代学
第二節 上山春平の深層文化論と日本学
第三節 竹内芳郎の文化記号学
第十二章 日本および東洋伝統哲学に関する追究
第一節 日本近代化の精神文化的要因
一、「儒家資本主義」論
二、「日本資本主義精神」論
三、宗教と日本の近代化
第二節 東洋身体論の哲学的意義
一、『精神としての身体』から『「身」の構造』まで
(一)非哲学にはじまる哲学研究
(二)心身合一の哲学観
(三)身の構造と作用
(四)道具の編入と記号文化の形成
二、東洋心身論およびその現代的意義
(一)現代日本哲学の身体観
(二)東洋心身論の現代的意義
第三節 西田哲学の再認識
一、西田哲学の現代性
二、西田哲学による現代問題の分析
三、東西思想融合の媒体
おわりに――二十一世紀をめざす日本哲学
注
あとがき
人名索引