ヤギのメリー

　ヤギのメリーは愛想がいいのか悪いのかわからない。いつも初めに挨拶代わりに「メエーメエエ・・」と鳴くのだが、それからはひたすら黙々と草をついばんでいる。「メリー」と声をかけても知らん顔で、かといって無視しているわけでもない。動物特有の距離感である。
　動物の本能と感情は一体になっているように思える。人間のように私利私欲もなければ、奉仕の精神もない。ただ生存の掟に従っているように見えるのだ。
　無頓着な本能とでも言おうか・・「メリーさようなら」今度は「メエエー」とさよならの挨拶を交わす。