映画は単館と謳ってはいるが、単館モノばかり観ていても年間観賞本数は増えない。
もちろん、シネコンなんかでかかるいわゆるロードショー系の作品も観る。
かつてとんねるずのオークション番組で、墨痕鮮やかに「女の操」と半紙に書き上げたジョディ=フォスター主演の「フライトプラン」もそんな作品のひとつ。
(ちゃんと小筆で「ジョディ」と書き添えていたあのシーンを何人の人が覚えているだろう!?)
随分話題にもなったし、テレビでもCMかかりまくってたし。
人間関係の書き方などの中身は浅いが、サスペンスとしては画面にひきこまれ、結構単純に楽しめた。
なによりも「母は強し」。
ジョディ=フォスターも、母親役がすっかり板に付いた。
DVDを借りてホームシアターで楽しむ分には悪くはないだろう。
レイトで観に行った「ミュンヘン」も大作系だ。
こちらは何せ重い…。
“暴力”をもって“暴力”を制することはできないという真理は、昔から語られてきたことであり、改めて主人公の口から主張されても困るのだが、イスラエルとパレスチナの間に横たわる“問題”は、そんなコトバで片付けられるような軽いものではないことが、痛いほど伝わってくる。
スピルバーグは歴史の語り部になりたいんだろうか?
ユダヤ人に関することに限らず、時折り歴史的な人種差別問題的作品を作る彼だが、人種差別に対する憎悪を抱いているんだろう。
見ごたえ十分な重厚な作品。
超娯楽作品と、こういう重厚な作品との両極を撮ることで、自分の中でバランスを取ってるんだろうね、きっと。
それにしても、オリンピックでこんな大事件があったなんて、この映画を観るまで知らなかった。
日本にとって、ユダヤ人がとんでもない事件に巻き込まれても「へー、そー」で終ってしまうようなことだったんだろうか。
自分がまだ子供だったということを差し引いてもちょっと考えさせられた。
浅間山荘事件はおぼろげながら覚えていたのだから。
「
フライトプラン」
2005年/アメリカ 監督:ロベルト・シュヴェンケ 出演:ジョディ・フォスター、ショーン・ビーン、ピーター・サースガード、エリカ・クリステンセン
「
ミュンヘン」
2005年/アメリカ 監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、ジェフリー・ラッシュ、マチュー・カソヴィッツ