なおこ(菅野美穂)は夫と離婚し、一人娘のももを連れて実家に戻った。
実家は、母・まさ子(夏木マリ)が切り盛りする美容室「パーマネント野ばら」。
毎日近所の女性たちがやってきては、男の思い出や恋の話に花を咲かせていた。
何度も再婚を繰り返したまさ子は、最後の夫・カズオ(宇崎竜童)と別居中。
なおこは時折、別の女性と同居しているカズオの元を訪れ、家に戻るように諭すも戻る気配は無く、逆にうまく取り成してほしいと頼まれる。
そんななおこは、高校教師のカシマ(江口洋介)と、ひっそり交際していた…
海辺の田舎町にある小さな美容室「パーマネント野ばら」。
旦那の愚痴や元旦那の思い出に恋の話など、多少の脚色(小さなウソ)を交えつつ、連日“オールド”ガールズ・トークを炸裂させるおばちゃん達は、強烈なパンチパーマそのままの強烈な個性の持ち主ばかり。
「チ○コ」だの「一発○○」だの、酔っ払いオヤジも照れるような赤裸々で生々しい下ネタに花を咲かせる彼女達は、いかにも太平洋を望む高知の漁師町らしく開放的でエネルギッシュ。
そんなおばちゃん達の“予備軍”とも言える、なおこの幼なじみのともちゃん(池脇千鶴)、みっちゃん(小池栄子)も、先輩連中に負けず劣らず個性的な人生を送っている。
フィリピンパブを営むみっちゃんは、店の女の子と平気で浮気し、金の無心ばかりする夫ヒサシ(加藤虎ノ介)に頭を悩ませている。
ある日、ヒサシの浮気現場へと車で駆けつけ、相手の女を轢き殺そうとするが、女をかばったヒサシを轢いてしまい、自身も動揺して事故を起こし、夫婦で重症を負って入院する。
病室でも夫とモメて大乱闘を起こすみっちゃんだが、それでもやっぱりヒサシの面倒を見続ける。
一方のともちゃんは恐ろしく男運が悪い。
付き合う男はことごとくダメ男で散々な仕打ちに遭い続け、今はギャンブルに溺れた挙句に行方不明になった夫の心配をしている。
なおこも、結婚生活は続かず離婚してしまい、実家に戻ってきている。
みっちゃんやともちゃんに比べてなおこは、みんなの前では、泣き叫んだりわめいたりして感情を顕わにすることがない。
そんななおこが唯一素直に感情を出せるのは、カシマの前だけ。
しかしカシマとの恋は、お互いの愛情を感じながらもつかず離れずの距離感を保ち続け、もどかしい思いが募るばかり…
それにしても、「パーマネント野ばら」で話題にのぼる男どもも含め、登場する男は情けない野郎ばかり。
それは「土佐のはちきん」を体現するこの町の女連中が強すぎるからなのか、はたまた女性が強いゆえに男は“子供”でいられるからなのか。
原始的な男女のありようがそのまま残っているような風景は、ある種ほほえましい。
と思うのは自分が男だからで、女性陣にとっては腹立たしいものかも!?
そして、情け無い野郎どもばかりの中で唯一人カシマだけは、頼りがいのある男らしい存在であるのだが、それにはある“理由”が隠されている…
みっちゃんが珍しい焼酎が手に入ったと「パーマネント野ばら」にやってきて、なおこが浜辺でカシマとデートしていると報告した瞬間、まさ子も客連中も皆ドキッとして顔をこわばらせる。
みっちゃんが発した「大丈夫!」という言葉で、また元の和んだ空気が戻ってくるシーンがクライマックス。
そこに暮らす人々をおおらかに包み込むコミュニティの温かさに触れた瞬間、懐かしいような気持ちになると同時に涙腺がゆるんだ。
観終わってから、心にじんわりとしみ込んでくるヒューマンドラマの佳作。
「パーマネント野ばら」
2010年/日本 監督:吉田大八
出演:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋介、畠山紬
実家は、母・まさ子(夏木マリ)が切り盛りする美容室「パーマネント野ばら」。
毎日近所の女性たちがやってきては、男の思い出や恋の話に花を咲かせていた。
何度も再婚を繰り返したまさ子は、最後の夫・カズオ(宇崎竜童)と別居中。
なおこは時折、別の女性と同居しているカズオの元を訪れ、家に戻るように諭すも戻る気配は無く、逆にうまく取り成してほしいと頼まれる。
そんななおこは、高校教師のカシマ(江口洋介)と、ひっそり交際していた…
海辺の田舎町にある小さな美容室「パーマネント野ばら」。
旦那の愚痴や元旦那の思い出に恋の話など、多少の脚色(小さなウソ)を交えつつ、連日“オールド”ガールズ・トークを炸裂させるおばちゃん達は、強烈なパンチパーマそのままの強烈な個性の持ち主ばかり。
「チ○コ」だの「一発○○」だの、酔っ払いオヤジも照れるような赤裸々で生々しい下ネタに花を咲かせる彼女達は、いかにも太平洋を望む高知の漁師町らしく開放的でエネルギッシュ。
そんなおばちゃん達の“予備軍”とも言える、なおこの幼なじみのともちゃん(池脇千鶴)、みっちゃん(小池栄子)も、先輩連中に負けず劣らず個性的な人生を送っている。
フィリピンパブを営むみっちゃんは、店の女の子と平気で浮気し、金の無心ばかりする夫ヒサシ(加藤虎ノ介)に頭を悩ませている。
ある日、ヒサシの浮気現場へと車で駆けつけ、相手の女を轢き殺そうとするが、女をかばったヒサシを轢いてしまい、自身も動揺して事故を起こし、夫婦で重症を負って入院する。
病室でも夫とモメて大乱闘を起こすみっちゃんだが、それでもやっぱりヒサシの面倒を見続ける。
一方のともちゃんは恐ろしく男運が悪い。
付き合う男はことごとくダメ男で散々な仕打ちに遭い続け、今はギャンブルに溺れた挙句に行方不明になった夫の心配をしている。
なおこも、結婚生活は続かず離婚してしまい、実家に戻ってきている。
みっちゃんやともちゃんに比べてなおこは、みんなの前では、泣き叫んだりわめいたりして感情を顕わにすることがない。
そんななおこが唯一素直に感情を出せるのは、カシマの前だけ。
しかしカシマとの恋は、お互いの愛情を感じながらもつかず離れずの距離感を保ち続け、もどかしい思いが募るばかり…
それにしても、「パーマネント野ばら」で話題にのぼる男どもも含め、登場する男は情けない野郎ばかり。
それは「土佐のはちきん」を体現するこの町の女連中が強すぎるからなのか、はたまた女性が強いゆえに男は“子供”でいられるからなのか。
原始的な男女のありようがそのまま残っているような風景は、ある種ほほえましい。
と思うのは自分が男だからで、女性陣にとっては腹立たしいものかも!?
そして、情け無い野郎どもばかりの中で唯一人カシマだけは、頼りがいのある男らしい存在であるのだが、それにはある“理由”が隠されている…
みっちゃんが珍しい焼酎が手に入ったと「パーマネント野ばら」にやってきて、なおこが浜辺でカシマとデートしていると報告した瞬間、まさ子も客連中も皆ドキッとして顔をこわばらせる。
みっちゃんが発した「大丈夫!」という言葉で、また元の和んだ空気が戻ってくるシーンがクライマックス。
そこに暮らす人々をおおらかに包み込むコミュニティの温かさに触れた瞬間、懐かしいような気持ちになると同時に涙腺がゆるんだ。
観終わってから、心にじんわりとしみ込んでくるヒューマンドラマの佳作。
「パーマネント野ばら」
2010年/日本 監督:吉田大八
出演:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋介、畠山紬