ああ、一目でとりこになってしまった。
アマリリス。
その清楚な大輪の花からは目をそらすことができない。
何気に花屋で見かけたが一度は通り過ぎた。
「球根は土の中から出発するのがきまりだろう」
などと大人げた大義名分が頭をよぎり買うのをためらったのだ。
しかし、吸引力に負けた。
あまりに可愛すぎた。
「オレが明日死んだらもうこいつを愛でるヤツはいないのだ」
そんなことはないが、そう思ってわざわざエスカレーターを戻って買ってしまった。
つぼみのものを買ってきたが3日で咲いた。
汚れをしらないお嬢様系だ。
清楚、清純、清浄と清がはなせない風情。
なんと清らかで美しいことか。
ほおずりしたい。
もう、メロメロである。
買ってきたときに不注意で一つのつぼみが折れてしまった。
くやしくて切なくて、もしやと思いコップに浸けてみた。
そしたら何と2日で花が開いたのだ。
強い。
まるで「もののけ姫」の山犬母さん、モロみたいだ。
強くて美しい。
ああ、オレの理想だ。
強くて美しいものにはあまりに無防備だ。
アマリリス。
ああ、アマリリス。
嗚呼、ボタニカル!