『植物 オヤジ』

日々出会う植物たちの「たくましさ」と「美しさ」を再発見する、ハードボイルド・ボタニカルライフ。音楽、美食なども。

チラのリフォーム

2014年08月15日 | 日記


神戸で買ってきた新人投入を機にチラ族の住居をリフォームした。
正確には、チランジアを支える支柱を一新した。
古いものに飽きたからではない。
チラ族の根っこを着けさせるのに適した「ヘゴ板」というものに変えたのだ。
ヘゴ板は南国生まれのシダで、幹や樹皮は無数の細い根っこに包まれている。
表面がざらざらで根が絡みやすいのが特長でチラ界やシダ界では必須の、まさに大黒柱だ。
その支柱に根がつくことを着生という。
大地に根を張ってはじめて大人になる。
人間も同じだ。
前の支柱は明石の海岸で拾ってきた流木だった。
根っこのとっかかりがないのが気に入らなかったのか、10コほどのチラのうち
着生していたのは2つだけだった。
しかしその2つは約2ヶ月間の宿をか細い根っこでしっかりと抱きとめていたのだ。
古い寝床から引き剥がすのにはかなり心が痛んだ。
すまん…
次はもっといいのがくるから、とオレはキャバクラの支配人のように謝った。


       
古巣を離れた大ぶりなメデューサは何と子株を二つもつけていた。
今まで水苔で覆われていたので気がつかなかったのだ。
オレは興奮のあまり左右の小鼻を膨らませた。
よし、次は花だぞ、頑張れ!
あれ、普通は花が咲いてから子ができるのではないか?
いきなり子ができたら、できちゃった婚ではないのか。
まあ、植物界に人間の論理は通じない。
己の本能のおもむくまま、たくましく美しく生きておくれ。

嗚呼、ボタニカル!


カトレア

2014年08月14日 | 日記
                      

カトレア。
洋ランの女王にして、中南米コスタリカの国花。
昨日明石の園芸店でついに買ってしまった。

ランと言えば「胡蝶蘭」のことでお店の開店祝いの花だった、今までは。
植物好きになってからは、そのラン世界の奥深さを周辺からこわごわ覗いていたのだ。
しかし瀕死のオンシジュームをスーパーで買ってきた時点からすでに足を踏み込んでいたのだ。
オンシーはラン世界へ導くトラップだったのだ。
すでにベランダではオンシーは株分けして3つの鉢に収まっており、オレの一番手厚い庇護を受けている。

               
  

花も美しいが、鉢からはみ出す気根もおもしろい。
この根っこは空気が好きらしい。
鉢の中もバークという木のチップだけで土はない。
何本も長く垂れ下がった気根と太い茎(バルブという)、厚手の葉っぱについて黄色やピンクの花は美しい。
写真では花を大きくしたが、実際は八頭身でスタイルもいい。
二頭身の胡蝶蘭とはかなり趣が違う。
老舗旅館の大女将と孫娘くらいは印象が違う。
ある雑誌によれば名古屋にランの専門店があるという。
う~ん、こまったこまった。
絶対に近寄らないようにしようと心に誓うが、指先は既にグーグルマップに住所を打ち込んでいる。

嗚呼、ボタニカル!

ユーカリ

2014年08月09日 | 日記
                

銀色を少しまぶした緑色は涼しげできれいだ。
伸びすぎた枝を切り落とし、もったいないのでボットに入れてみた。
ユーカリは独特のいい匂いがする。
葉っぱが枯れたらポブリみたいに芳香剤としても使えるし便利だ。

ちょっとねっとりした匂いは油分のせいらしい。
こいつらは最大で70メートルを超える巨木にもなり
自分の油で山火事を起こし焼け野原になった後に種を発芽させるという
とんでもないやつなのだ。
やけくそというのか、捨て身というのかすごい技で、動物にはぜったい無理だ。
火事にも負けない種を残すとは想像を超えている。


                    

のんきだ。
そんな凶暴な主にすがりつくコアラには脱力する。
足が既に脱力感いっぱいだ。
丸まっていいるとユーカリの実のようで笑える。
彼は東山動植物園の人気者、ピースだ。

コアラにごはんとベッドを提供しつつ
森を独り占めしようとたくらむユーカリ族。
眠れるコアラは耳元でやつの何を聞くのか。

嗚呼、ボタニカル!


食卓の風景

2014年08月07日 | 日記

                

「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬさうな」
竹久夢二の詩にある、夏の宵を飾る宵待草。
本名は待宵草、又は月見草だ。

暑苦しい夏の夜にぼんやり黄色く咲く雑草。
夕方から開花した花びらは朝見るとすでにしぼんできていて、昼間は既に枯れている。
しかし、明日の夜を期待してか次の花の芽は「ぱんっ」と張っている。
夜になるとしっかり開花し誰かを待つ。



夢二の描く女性はみな美しい。
こんな人が待っていたら走って帰るに違いない。


                 

食卓を飾るもう一つはテッポウユリだ。
一輪挿しと比べると、ほぼ同じ大きさで存在感抜群だ。
きれいだけど顔が大きすぎてバランスが悪い、ちょっと残念なタイプだ。

夏の食卓を二つの花が彩る。
どちらも花をさわるとひんやりした湿り気があり心地よい。
花は五感でみるものだが、特に触覚だとオレは思う。

嗚呼、ボタニカル!


百日紅

2014年08月04日 | 日記
                

百日紅、あるいはサルスベリ。

暑い夏を涼しげに揺れる花はさわやかだ。
花期が長く、百日も咲いていることから命名された。
子どもの頃は猿が滑るほどのつるつるした樹皮が不思議で
いつ猿が来るんだろうかと心配していた。
サルノコシカケとワンセットで、猿は子供心に身近な存在だったのだ。

                

秋から春までの死んだように花も葉もない姿はまるで木の骸骨だ。
ただ、シルエットだけになった冬のサルスベリもまた美しい。
春になると骸骨たちは奇跡のように葉をたくわえ開花を準備する。

今はあちこちで開花し紅色や白、アイボリーの花をつけている。
花は削り立てのかき氷のようにも見える。
イチゴ味、レモン味、練乳味がするに違いない。
百日も咲く夏の花たちよ、暑い夏を優雅に彩れ。

嗚呼、ボタニカル!