『植物 オヤジ』

日々出会う植物たちの「たくましさ」と「美しさ」を再発見する、ハードボイルド・ボタニカルライフ。音楽、美食なども。

チランジア、あるいはエアプランツ

2014年08月03日 | 日記


チランジアたち。
暑い国の砂漠や密林から来た彼らに土はいらない。
エアプランツともいわれる所以だ。
100均ショップか大型園芸店、高級専門店で売っているが
普通のフラワーショップにはない。
近くにそういったお店がないと入手しづらいのが難点だ。

さて、このチラ族は美しいが変化に乏しい。
生きているのか?と思うこともしばしばだ。
持ち上げて重みを感じたり、お尻(根本)を覗いて色を確認したりする。
実際100均ではミイラになった子達をよく見る。
エアプランツというくらいだから水がいらないだろうと思われているせいだ。
水はいる。
水がいらないのは造花だけだ。
生き物なので水はいるのだ。
但し、水を好むやつとあまり好まないやつがいるのでやっかいだ。
大まかに銀色に光っているタイプはあまり水を好まず
みどり色したタイプは水を好む。
まあ、この夏場はあまり気にせず毎夜水をジャブジャブかけているが皆元気だ。
乾燥する冬場の方が気を遣う。
3600円も出して買ったやつが枯れてしまうと悲しいというよりがっかりする。
ほんとは値段と強さは関係ないのだが。

                
この子等は小さくてかわいいのが多い。
元気で形のきれいな子を手に取るともう戻せない。
子猫を抱き上げたに近い感覚だ。
かくしてどんどん増えていく。
オレのベランダでは専用のお家を与えられて特別待遇を受けている。

普段変化に乏しいので、新しい子株がでるとかなり興奮する。
小鼻に力が入る。
ウチのベランダなので他人はいないが
オヤジが植物をしげしげと眺めて鼻を膨らませているのはかなり危ない。
いつか花がさいたらオレの鼻も満開になるだろう。
おもしろ怖いが、オレはその瞬間を待ちわびている。

下の写真は他人様のものを借用した。

             ため息が出るほど美しい。

嗚呼、ボタニカル!


ア・ボ・カ・ド

2014年08月02日 | 日記
アボカドの種は以前から気になっていた。
あの立派な種を簡単に捨てていいものだろうか。
つるりとした赤ちゃんの頭のような卵形の種は
持ち重りがして存在感がある。
こいつから双葉がでたらかわいいし、テーブルに置いたらおしゃれだな。
一念発起して小さな鉢に植えたのは5月のことだった。


      

おしゃれな食卓をイメージしながら水を切らさないように世話をした。
1週間目、変化はない。
2週間目、そろそろ芽が出るかと思うがやはり変化がない。
1ヶ月後、全く変化がない。

飽きっぽいオレはこの時点で既に興味関心がなくなっていた。
そればかりか、赤ちゃんの頭だと思っていたものが急にオヤジのハゲ頭に見えてきた。
人肌のように黄色くテカっているところなどは日焼けしたハゲ頭そっくりだ。
人の知覚とはおそろしい。
興味を失ったとたんにそれは天から地へ身を落とす。
オレはこのハゲ頭をいつまで世話するのだ?
あろうことか、ハゲ頭には亀裂がはいり、頭蓋骨陥没的状況になってきた。

もはやおしゃれではない。

赤ちゃんを育てていたはずが、いつの間にかじいさんの介護に変わってしまったのだ。
見えないふりをしながらそれでも乾いたら気の毒なので水やりはつづけた。


         

昨日ひさしぶりにじっくりと見た。
地殻変動ばりに亀裂はひろがり、その痛々しく割れた頭にひもみたいなゴミがついている。
除けようとおもったら、それは発芽だったのだ。
使い終わった爪楊枝のような新芽にかわいさはない。
ハゲ頭からのびた1本のたよりない髪の毛はまるでサザエさんの父さんだ。
かくして今日から彼は「波平」となった。

もはやおしゃれではない。

が、楽しくほほえましい存在となった。
遠く逝ってしまわれた波平(声優)さんを忍びつつ
新しい父さんを見守りたい。

嗚呼、ボタニカル。