今日は昨日よりさらに青空が拡がり、まさに小春日和。
散歩にはもってこいの陽気でしたが、昨晩10時過ぎからMさんといつものバーで2時過ぎまでやっつけ、今朝起きたのも9時、さらには「明日家に来て、ネット接続やってくんないかなぁ」というMさんからの依頼もあり、本日の散歩は中止となってしまいました。
というわけで顔を洗い、早々にMさんのお宅へ。
「あら、はやぇ~~」(笑)
とりあえずは役目を果たし、パソコン脇の棚をふと見ると『ザ・ベリーベスト・オブ落語』なるCDボックスを発見。
「あれ、Mさんも落語好きなんでしたっけ?」
「あ~~~そっか、バブさんも好きだったんだよね」
「どれどれ・・・あっ文楽、しばらく聴いてないんですよねぇ・・・」
「いいよ、貸してやるよ」
あはははは、おもわぬ戦利品です。
「え~と、志ん生、圓生、可楽に柳好、柳技、金馬、三木助に正蔵、馬生、小さんに文楽かぁ」
全部聴くのに幾日かかるでしょう「楽しみ楽しみ」
「さっそく、久しぶりの桂文楽からいこうかな」
五代目古今亭志ん生と八代目桂文楽とは、その芸風から李白と杜甫にもたとえられ、昭和落語界のまさに大看板でありました。
「よっ、黒門町!」
真面目で融通の利かない不器用さが、志ん生、圓生に比べ得意ネタが少なかったにもかかわらず「洗練の極み」とまで言わしめた噺を生み出す・・・じつに玄人受けする噺家さんであります。
『明烏』、『愛宕山』、『酢豆腐』といい噺が三題。できれば『鰻の幇間』も聴きたいところ・・・・・まっしかたないですね。(笑)
絶品と言われた食芸は、映像がないと楽しめませんが、音声だけでも姿が見えてくるようで、楽しませていただきました。
そういえば・・・・・
『酢豆腐』を聴き終え、思い出したのが二,三日前に母が言っていたことです。
「○○(私です)、『ちりとてちん』って、落語の題名だったんだな」
『ちりとてちん』とは母が毎日欠かさず見ているNHKの朝ドラです。
「ああ、長崎名物『ちりとてちん』ね」
「??????」
「だから、腐った豆腐を『長崎名物ちりとてちん』って言って、知ったかぶりに喰わせるって噺でしょ。」
せっかく、共通の話題があったと話を振ってくれた母に、冷たい言い方をしてしまいました。
江戸では『酢豆腐』、これが転じて上方では『ちりとてちん』という噺になったわけで、小さんの十八番でしたねぇ。
冷たく言った罪滅ぼしに、明日、母に文楽の『酢豆腐』を聴かせてあげようと思っています。
知ったかぶりの嫌われ者の若旦那、腐った豆腐を前にして
若旦那、これがなんだかご存じで
もちりんです、通人好みのこの逸品、よくぞご入手・・・・
てなこと言って、これは『酢豆腐』だとしょうし、一口。
若旦那、たんとお召し上がりくざいやし
いや、『酢豆腐』は一口に限りやす
いいねぇ、文楽は・・・・・あたしゃ一口と言わず、古今亭志ん朝の『酢豆腐』もいただきたくなっちゃったぁ。(笑)
さて、今日の一枚は、ロニー・マシューズです。
昨日の話ではありませんが、このアルバム、ジャケットがかなり悲惨な状態になっています。これは、知らぬ間にけっこう聴いていたということでもあるわけです。
聴いていてじつに気持ちの良くなる一枚だと思います。
私はだんぜんマシューズのオリジナル3曲のA面を聴くことが多いのですが、3曲目「THE ORIENT」のピアノ・ソロが凄い。
フレディ・ハーバードがジャズ・メッセンジャーズの一員として初来日したのは、この年のはずです。そして翌年、メッセンジャーズを離れ、自己グループを組むわけですが、そこにマシューズが加わっていたのは、ここでの共演が多少影響していたのでしょうか?
このアルバムを聴いた後、ハバードのグループによる初レコーディング「BREAKING POINT」を聴いてみるのも一興でしょうか。「えっ!?何でこんな前衛的になっちゃったの????」みたいなね(笑)
ちなみに、この2枚のアルバムの間にハバードが参加した、エリック・ドルフィーの「OUT TO LUNCH」あたりにその答えが隠されているかもしれません。
ともかく、名盤とは言わなくとも、もう少し評価が高くても良いんじゃないかなぁ・・なんて思う一枚です。
DOIN' THE THANG! / RONNIE MATHEWS
1963年12月17日録音
RONNIE MATHEWS(p) FREDDIE HUBBARD(tp) CHARLES DAVIS(bs) EDDIE KHAN(b) Al Heath(ds)
1.THE THANG
2.ICHI BAN
3.THE ORIENT
4.LET'S GET DOWN
5.PRELUDE TO A KISS
6.1239-A