JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

あんたの歌は封印歌謡

2007年12月17日 | m-o

今日は昨日にも増して寒い一日でした。とは言っても、このあたりは雪も降らず、太陽が燦々と輝いていますので、灯油の値上げで苦しむ寒冷地の方々の苦労を思えば贅沢は言えません。・・・・う~~~ん、それでもやっぱり寒いものは寒い。(笑)

会社の同僚が、私が好きそうだとこんな本を持ってきました。石橋春海著『封印歌謡大全』です。
内容を簡単に言ってしまえば、発売禁止や放送禁止になった歌を「封印歌謡」と称して、戦前から平成までの幅広い時代の曲を紹介・解説した本であります。
例えば、以前このブログでも紹介した岡林信康の『手紙』はもちろん、阿久悠が亡くなられた時に紹介した杏真理子の『さだめのように川は流れる』やザ・モップスの『ブラインド・バード』、つぼイノリオの一連の歌、等々ずらっと100曲近く紹介されています。

そんな中、幾つかの知らなかったことが書かれていて、ついつい読みいってしまいました。

 ♪ウエディン・ベル からかわないでよ ウエディン・ベル
  本気だったのよ ウエディン・ベル ウエディン・ベル・・・・♪

私が、学生時代からお付き合いをしていた女性と別れ、何故か後に我が娘の母(あははは、つまりは愚妻のことですけど)になる女性と同棲を始めようかというときに、盛んにラジオから聞こえてきたシュガーの『ウエディン・ベル』、私にとってはいろんな意味で思い出深い歌なのですが、これがNHK神戸放送など一部の地域では『放送禁止歌』(それぞれの自主規制で)になっていたのだそうで、理由は♪くたばっちまえ アーメン♪の部分が「宗教を誹謗している」というものだったそうです。
つまり「キリスト教徒である外国人が多く住む地域には不適切」という過剰とも思える気遣いをしたのだとか。
けっきょく、この歌でシュガーは紅白に出場したそうなのですが「その時この歌詞はどうなったのだろうか?」紅白を見ない私には全く記憶がございません。

 ♪あの子とふたり押し入れで 見せっこしたよ幼い日
  チンチンつまんだ あの子がね 私も欲しいとつぶやいた
  オー・チン・チン オー・チン・チン あのチンポコよ 何処行った♪
                ハニー・ナイツ『オー・チン・チン』

 ♪おど おどのために 三人死んだ 一人は 嫁の正子
  出稼ぎに行った兄のいないすきに 夜になれば しのびこんで
  内股ひろげさせて・・・・・・・・♪
                                三上寛『おど』

 ♪国は京都の 西陣町で 兄は二十一 その名はモンテン
  妹十九で その名はオキヨ 兄のモンテン 妹に惚れて・・・・♪
                山崎ハコ『きょうだい心中』 

 ♪戦争だ戦争だ戦争だ 待ちに待った戦争だ
  国が認めた戦争だ みんなで殺そう戦争だ
  鉄砲マニア集まれや 欲求不満の奴も来い
  暴れたい人待ってます ストレス解消これ一番♪
                                泉谷しげる『戦争小唄』

それぞれに「封印歌謡」となった世相や時代があるわけで、全てが納得いく理由のもとに封印されたものばかりでもありません。
以前、戦時下でのジャズ等々、いわゆる敵国音楽に対する不当規制について、我がサイトにて一部紹介させていただきましたが(こちら)、時に「表現の自由」をも脅かす驚異へと発展する可能性も秘めているわけで、作品を受け取る我々がそれを見極め、不当な関与は許さないという信念は持つ必要があると感じます。

「よし、それじゃ久々に、岡林の『手紙』をいっぱつ聴かせやしょうか!」
「やめなさい、あんたの歌は、どんな時代にも封印されたほうがいいんだから」
「え~~~ん」

ともかく、興味のある方は、簡単に読めてしまう本ですので一読あれ。

さて、今日の一枚は、「封印歌謡」とは全く関係ないのですが、ハービー・マンとサム・モストです。
二本のフルートがノリよくスイングして、重量感というものは感じないものの、粋でお洒落な一枚だと思います。

私なら「酒を飲んでいるときより、午後のティータイムにどうぞ」と言いたくなるかな。
えっ?それじゃバブむきじゃないって、私だってそんな午後の一時を過ごすこともあるんです!(笑)

絶対に聴くべきだとは言いません。でもたまに変速クインテットもよろしいのではないでしょうか。

THE HERBIE MANN - SAM MOST QUINTET
1955年10月12, 17日録音
HERBIE MANN, SAM MOST(fl) JOE PUMA(g) JIMMY GANNON(b) LEE KLEINMAN(ds)

1.FASCINATING RHYTHM
2.WHY DO I LOVE YOU ?
3.IT'S ONLY SUNSHINE
4.LOVE LETTERS
5.LET'S GET AWAY FROM IT ALL
6.FLYING HOME
7.I'LL REMEMBER APRIL
8.EMPATHY
9.IT MIGHT AS WELL BE SPRING
10.JUST ONE OF THOSE THINGS
11.SEVEN COME ELEVEN