上海下町写真館2010

上海より半年ぶりに帰国しました。マイペースで故郷の風景や歴史などをご紹介します。

「彫花楼」は江南一の中国式住宅だった(2):蘇州市東山風景区

2012年11月21日 06時00分00秒 | 旅行
客寝室から見た前庭。

門をくぐり、前庭の次にある応接間「大庁」。


後ろの中庭で公的空間と私的空間とを分けています。

廊下の天井や欄間、窓枠や腰壁にも細かい造作があります。



中庭の後ろにある「后庁」。「内庁」とも「女庁」とも呼ばれていました。


室内には中国の古代物語が彫刻されているそうです。

1階にある台所。大勢の下女が働いていたのでしょう。


竈や蒸し器がしつらえてあり、内井戸もあります。

台所の隣にある食堂。意外と質素な食卓が2卓ありますが、表面は大理石のようです。



「花庁」。建物の様式や内装についての記載はありますが、家族がどのように使用していたかの説明がありません。



前庭の左手にある客用の寝室。


家族の個室は全て2階にあります。

主人の書斎。


色付きガラスが嵌められた窓は洋風ですね。

2階から見える玄関門は「レンガ櫓」と翻訳されています。



3階部分は隠し部屋になっており、各種宝物が貯蔵されていたそうです。


外部からも内部からも、建物が3階建てであることは防犯上わからないような構造になっていました。

上海の外灘は外国人が創造した蜃気楼都市でしたが、地方にこれだけの文化的にも貴重な住宅があったことは、そのおこぼれを拾った江南の経済的繁栄の結果でしょう。
文化大革命の時はここもかなりの狼藉があったらしいですが、最近になってこれを補修できるだけの財力が生まれたのですね。
また、文化を継承している技術者集団が存続していることも幸運なことです。

撮影:CANON EOS5D3 + EF24-105mmL


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