密かに楽しみにしていたマスタークラスへ
チェロ習い始めてから数回プロの公開クラスを聞いたことあるのですが、正直、得るものは無かったです。
自分の技術があまりに無さ過ぎて何を言っているのか理解出来てなかったから。
曲りなりでも数年練習しているとそれなりに今の自分の問題点と将来突き当たる問題点が見えてきますので、
今回行ったマスタークラスは非常に勉強になりました。
演奏家で優れているからと言っても必ずしも優れた教師とは限りませんが、堤先生はその点非常によい先生でもありました。
問題点を指摘して、その理由とどうすれば解決するのか具体的な技術で説明してくれます。
よい先生だなと思ったのは、受講生が自分で問題点をどの程度理解しているかを雑談を装った質問で把握していた所です。
技術的にはどの受講生もそんなに大差ないと思いまけど、中学2年生の受講生が音楽的には一番豊かな演奏だったのが驚きでした。
内気な女の子で、堤さんがいろいろ質問を変えて探るのですが、どうもはっきりした答えが返ってきません。
チェロは好きと言ってましたが、思い入れがあって演奏しているのではなく、先生に言われた通りに演奏しているような印象受けました。
それであの表現力とは驚きです。天才かも。
本当は言葉で表現する力が無いだけで、思っている事をそのまま音楽に出しているのかも知れませんが、だとしてもあれだけ語れる力量はやはり凄い事です。
以下、自分の為のメモなので、興味ない人は読んでも面白く無いです。
ーーーーーーーーーーーーーー切り取り線ーーーーーーーーーーーーーーーー
♪受講生と演奏曲
桐朋女子高校音楽科3年(チャイコフスキー ロココ風の主題による変奏曲)
東京芸大1年(ハイドン チェロ協奏曲2番 第1楽章)
中学2年(サンサーンス チェロ協奏曲1番 第1楽章)
東京芸大1年(バッハ 無伴奏4番)
♫弾き方
【チャイコフスキ】次の音を出す前に、次の音色のイメージを作ってから音を出す。
【チャイコフスキ】大事な音と音の間は通過するだけではなく、むしろ歌う。
【チャイコフスキ】高音へ跳躍する前の音は貯める(すぐに跳躍するのではなく十分時間を取って歌う)
【チャイコフスキ】ビブラートを一律にかけない。かけすぎない。かけ方を変える。
【チャイコフスキ】細かい音が続くときは、左手ではなく右手がリードする感じで。左手は右手についてゆく感じ。
一個一個の音を確実に淡々と弾くより音楽に乗せて弾く事の方が大事。
【チャイコフスキ】速いパッセージは同じ弓量を当てるより、例えば一拍目を多めに使うなど弓量に変化をつけると音楽的になる。
【ハイドン】古典は細かい音であっても1音1音響かせる。
【ハイドン】弾き始める時(休符後の演奏開始の場合も)最低2拍感じてから弾く。ブレスで計る場合「すっ/♪」ではなく、「すぅ/♪」みたいな。
【ハイドン】音が動き出すフレーズを弾く前の音は気持ち長めに取る。
【サンサーンス】運弓は音価が同じであっても全く同じに弾くのではなく、フレーズとの関係を意識して。
【サンサーンス】ロングトーン後の拍、ロングトーンは十分に歌う。(強く弾くのではない、拍を活かすための助走と理解)
【バッハ】バロックは1音単位ではノンレガートで弾くのが基本だが、曲全体ではレガートで弾く。
【バッハ】音価が違っても小節内では弓速度は一定で弾く。(バロック特有と理解)
【バッハ】弾き始め、入る前に弓の重さを感じてから弾き始める。
【バッハ】重音は二重奏のイメージで。
【バッハ】速いパセージは右手がリードする。スラーの場合であればシンプルに弓を左右に動かすだけだと意識することで、左手の力が抜けて崩壊しない。
【バッハ】三連符は真ん中の音を弾くつもりで、最初の音を意識して弾くから崩壊する。
【バッハ】ひとつの塊になっているフレーズでは1拍目の後は勢いで弾く。
♫右手の技術
【チャイコフスキ】朗々と響かせたいロングトーンは腕を伸ばして弓先を弾くより、多少直角から外れたとしても肩を開いてしまう。
【ハイドン】右腕はまるくスムーズに動かす。アップダウンボウの切り返す時に腕(脇)を動かすのではなく、切り返す直前に腕を先行させる。次の動きを先取りすることで弓切り返しても音が痩せない。音がやせるのは腕が先行していないから。手首は緩やかにして固めない、手の形は腕に伴って変化する。
【サンサーンス】腕は円運動。
【サンサーンス】例えば、「♪」ダウン「♪」ダウン「♪」アップで弾く時、元の弓位置に戻すためのアップボウは倍速となるが、切り返し時の不自然さを無くすためには腕の動きを先取りする事で弓スピードが上がり自然に音がつながる。
【サンサーンス】弓返し時に音が途切れない為には常に弓が動いているということが必要。腕の円運動。フランスでは8の字運動と教えている。
【サンサーンス】アップボウ、ダウンボウはバイオリンをイメージした英語。フランスではアップは押す、ダウンは引くという単語が当てられている。奏法はフランス語の方が適切に表現している。
♫左手の技術
【ハイドン】指は叩かない。叩くという表現がよくない、実は指を引力に引かれるように落とす。叩くことは余計な筋肉を使うことで速いパッセージを困難にする。
【ハイドン】音がはっきりしないのは、指を落とすスピードの問題。必要以上の力は使わない。発音したらすぐに抑えている左指の力を抜くことで倍音もでるし速いパッセージも楽になる。いつまでも押さえつけていない。
スケール練習でテンポをいろいろ変えて練習するとよい。
【サンサーンス】実は左手も右手と同じで、音階上がるときは腕を押す、下がる時は腕を引くというイメージでポジショニングする。(手や指のポジショニングが先行して腕がついて行くのではなく、腕が先行するということ)
♫その他
【ハイドン】演奏場所の残響時間を考えて弾く(残響消えないうちに次の音を出す演奏するな、と堤さんがウィーン・フィルに言われた)
【ハイドン】音楽は虹だ(カザルスが言った)音楽は山だ(斎藤秀雄が言った)。(その心は、小節、フレーズ、曲の中にはそれぞれ山と谷がある)
【バッハ】カラヤンの企業秘密。後拍を心持ち長めに演奏する事でカッコよく聞こえるんだ。(とカラヤンが企業秘密だと言って堤さんに教えてくれた)
チェロ習い始めてから数回プロの公開クラスを聞いたことあるのですが、正直、得るものは無かったです。
自分の技術があまりに無さ過ぎて何を言っているのか理解出来てなかったから。
曲りなりでも数年練習しているとそれなりに今の自分の問題点と将来突き当たる問題点が見えてきますので、
今回行ったマスタークラスは非常に勉強になりました。
演奏家で優れているからと言っても必ずしも優れた教師とは限りませんが、堤先生はその点非常によい先生でもありました。
問題点を指摘して、その理由とどうすれば解決するのか具体的な技術で説明してくれます。
よい先生だなと思ったのは、受講生が自分で問題点をどの程度理解しているかを雑談を装った質問で把握していた所です。
技術的にはどの受講生もそんなに大差ないと思いまけど、中学2年生の受講生が音楽的には一番豊かな演奏だったのが驚きでした。
内気な女の子で、堤さんがいろいろ質問を変えて探るのですが、どうもはっきりした答えが返ってきません。
チェロは好きと言ってましたが、思い入れがあって演奏しているのではなく、先生に言われた通りに演奏しているような印象受けました。
それであの表現力とは驚きです。天才かも。
本当は言葉で表現する力が無いだけで、思っている事をそのまま音楽に出しているのかも知れませんが、だとしてもあれだけ語れる力量はやはり凄い事です。
以下、自分の為のメモなので、興味ない人は読んでも面白く無いです。
ーーーーーーーーーーーーーー切り取り線ーーーーーーーーーーーーーーーー
♪受講生と演奏曲
桐朋女子高校音楽科3年(チャイコフスキー ロココ風の主題による変奏曲)
東京芸大1年(ハイドン チェロ協奏曲2番 第1楽章)
中学2年(サンサーンス チェロ協奏曲1番 第1楽章)
東京芸大1年(バッハ 無伴奏4番)
♫弾き方
【チャイコフスキ】次の音を出す前に、次の音色のイメージを作ってから音を出す。
【チャイコフスキ】大事な音と音の間は通過するだけではなく、むしろ歌う。
【チャイコフスキ】高音へ跳躍する前の音は貯める(すぐに跳躍するのではなく十分時間を取って歌う)
【チャイコフスキ】ビブラートを一律にかけない。かけすぎない。かけ方を変える。
【チャイコフスキ】細かい音が続くときは、左手ではなく右手がリードする感じで。左手は右手についてゆく感じ。
一個一個の音を確実に淡々と弾くより音楽に乗せて弾く事の方が大事。
【チャイコフスキ】速いパッセージは同じ弓量を当てるより、例えば一拍目を多めに使うなど弓量に変化をつけると音楽的になる。
【ハイドン】古典は細かい音であっても1音1音響かせる。
【ハイドン】弾き始める時(休符後の演奏開始の場合も)最低2拍感じてから弾く。ブレスで計る場合「すっ/♪」ではなく、「すぅ/♪」みたいな。
【ハイドン】音が動き出すフレーズを弾く前の音は気持ち長めに取る。
【サンサーンス】運弓は音価が同じであっても全く同じに弾くのではなく、フレーズとの関係を意識して。
【サンサーンス】ロングトーン後の拍、ロングトーンは十分に歌う。(強く弾くのではない、拍を活かすための助走と理解)
【バッハ】バロックは1音単位ではノンレガートで弾くのが基本だが、曲全体ではレガートで弾く。
【バッハ】音価が違っても小節内では弓速度は一定で弾く。(バロック特有と理解)
【バッハ】弾き始め、入る前に弓の重さを感じてから弾き始める。
【バッハ】重音は二重奏のイメージで。
【バッハ】速いパセージは右手がリードする。スラーの場合であればシンプルに弓を左右に動かすだけだと意識することで、左手の力が抜けて崩壊しない。
【バッハ】三連符は真ん中の音を弾くつもりで、最初の音を意識して弾くから崩壊する。
【バッハ】ひとつの塊になっているフレーズでは1拍目の後は勢いで弾く。
♫右手の技術
【チャイコフスキ】朗々と響かせたいロングトーンは腕を伸ばして弓先を弾くより、多少直角から外れたとしても肩を開いてしまう。
【ハイドン】右腕はまるくスムーズに動かす。アップダウンボウの切り返す時に腕(脇)を動かすのではなく、切り返す直前に腕を先行させる。次の動きを先取りすることで弓切り返しても音が痩せない。音がやせるのは腕が先行していないから。手首は緩やかにして固めない、手の形は腕に伴って変化する。
【サンサーンス】腕は円運動。
【サンサーンス】例えば、「♪」ダウン「♪」ダウン「♪」アップで弾く時、元の弓位置に戻すためのアップボウは倍速となるが、切り返し時の不自然さを無くすためには腕の動きを先取りする事で弓スピードが上がり自然に音がつながる。
【サンサーンス】弓返し時に音が途切れない為には常に弓が動いているということが必要。腕の円運動。フランスでは8の字運動と教えている。
【サンサーンス】アップボウ、ダウンボウはバイオリンをイメージした英語。フランスではアップは押す、ダウンは引くという単語が当てられている。奏法はフランス語の方が適切に表現している。
♫左手の技術
【ハイドン】指は叩かない。叩くという表現がよくない、実は指を引力に引かれるように落とす。叩くことは余計な筋肉を使うことで速いパッセージを困難にする。
【ハイドン】音がはっきりしないのは、指を落とすスピードの問題。必要以上の力は使わない。発音したらすぐに抑えている左指の力を抜くことで倍音もでるし速いパッセージも楽になる。いつまでも押さえつけていない。
スケール練習でテンポをいろいろ変えて練習するとよい。
【サンサーンス】実は左手も右手と同じで、音階上がるときは腕を押す、下がる時は腕を引くというイメージでポジショニングする。(手や指のポジショニングが先行して腕がついて行くのではなく、腕が先行するということ)
♫その他
【ハイドン】演奏場所の残響時間を考えて弾く(残響消えないうちに次の音を出す演奏するな、と堤さんがウィーン・フィルに言われた)
【ハイドン】音楽は虹だ(カザルスが言った)音楽は山だ(斎藤秀雄が言った)。(その心は、小節、フレーズ、曲の中にはそれぞれ山と谷がある)
【バッハ】カラヤンの企業秘密。後拍を心持ち長めに演奏する事でカッコよく聞こえるんだ。(とカラヤンが企業秘密だと言って堤さんに教えてくれた)
堤さんの語録、面白く読ませていただきました。みのるさんがおっしゃるように、先生の言葉を理解するためには、生徒にも知識や経験が必要です。良い公開レッスンを聴講されましたね。これからに役立つことがたくさんありましたね。
先生のお話をしかと受けとめ、記録なさって感心しました、はらしまさん!
とても参考になります。
こちらは、ダンベルさんの詳細記録を楽しみにしています、なんて。
どんなマスタークラスでも絶対おっしゃるネタを押さえたいものです。
堤先生は淡々と優しい感じですが、
予定時間を1時間近くもオーバーする程熱意あふれたレッスンでした。
それでも、もっともっと聞いていたい内容でした。
トゥル先生もかなり御高齢までレッスンされていたと思うのですが、スタイルは違っていてもエネルギッシュなのは同じですね。
是非ダンベルさんの詳細レポートを期待したいです。
受講生と演奏曲が違えば異なる表現で教えてくれるのでしょうね?
共通のネタですか?
それはやはりカラヤンの企業秘密でしょう(笑)
じっくり噛みしめさせていただきます。
最近の僕の興味関心は
「虹だ!」「山だ!」あたりです。
だいたいの事は今の先生に既に言われていた事なのですが、改めてメモに落として読み返すと心に刻まれます。
弾き始めの拍感はつい先日疑問に思っていたので納得しました。
メモを数えたら13箇所が京都でもおっしゃったことでした。京都はソナタ2曲に無伴奏2曲なのでコンチェルトにない指導もありました。
昨日同じ曲を弾いて指導を思い出して弾いたら一つよくなった。
スーパーレッスンですね。
音大生みたいな高度なスキル持っていないアマチュアでもすぐ試せる助言がありがたいです。
私もいくつかすぐに試して自分のものにしようと思いました。