韓国、「また最賃引き上げ?」来年3%説、3年間で33%「アップ」
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韓国政府の経済感覚はどうなっているのか。常軌を逸した振る舞いをやろうとしている。
よほど労組と強い「密約」でも結んでいるのだろう。
来年の最低賃金引き上げ率を3%にするという説が出ているというのだ。
昨年は、16.4%、今年は10.9%の引上げだ。この2年間で29%もの引上げである。
来年は3%程度に「抑制」するというが、韓国経済は保つのか。
すでに、1~3月期はマイナス成長経済になっている。楽観はできない状況だ。
『中央日報』(5月28日付け)は、「最低賃金の速度調節、3%でも3年間に33%アップ」と題する記事を掲載した。
韓国政府は24日、最低賃金委員会の公益委員を新しく委嘱した。
中立的で専門性を備えているという評価を受け、「最低賃金速度調節」に入ったという解釈があった。
青瓦台(チョンワデ、大統領府)からは3~4%引き上げ説が聞こえてきた。
青瓦台は「事実でない」と述べたが、政府と与党の一部でも「経済事情を考慮すべき」という声が出ている。いくつかの状況が速度調節に向かわせる雰囲気だ。
(1)
「来年に適用する最低賃金を3%ほど引き上げれば速度を調節したものと市場は受け止めるだろうか。
延世大経済学部のソン・テユン教授は「卓球ボールの3%とバスケットボールの3%は大きさが違う」とし「経済状況を考慮すると、引き上げ率ばかり論じる時ではない」と述べた。
ソン教授は「すでに大きく上がった状態でまた上げればその重みに市場が対応できるのかを確認する必要があり、その衝撃の程度を速度調節の判断基準としなければいけない」と指摘した」
最賃は、去年と今年で累計約29%の引上げとなり、経済は大混乱である。
これに懲りず、来年も3%も引き上げる案が出ている。
韓国大統領府には、経済の分る人間が一人もいないことを証明している。
「3%だから低い伸び率で良いだろう」という感覚に違いない。
こういう、経済のバランス(生産性との均衡)を考えない政治では、絶望的と言うほかない。
(2)
「最低賃金を来年3%だけ引き上げるとしても、名目時給は8601ウォン(約795円)となる。
今年より251ウォン上がる。週休手当を含む実質時給は1万331ウォンと、今年(時間1万30ウォン)より300ウォン上がる。
政府が公表(週休手当含む)する最低月給は179万7609ウォンとなり、今年(174万5150ウォン)に比べ5万2459ウォン増える。
来年の最低賃金を3%だけ引き上げても現政権に入って32.9%アップということだ」
韓国の最低賃金には、週休を含んでいる。つまり、「単純な時給」+「週休手当」=最低賃金である。
韓国の最低賃金は米国を上回っており、「世界一」という実態経済とはアンバランスな「高級」な最低賃金になっている。
韓国政府が、この誰も喜ばない最賃引き上げにこだわるのは、労組との密約があるからに違いない。「亡国の最賃引き上げ」である。
(3)
「労働部は21日、実態調査を通じて「急激な最低賃金引き上げのため雇用が減少した」という事実を確認した。
政府の最初の公式影響評価だ。最低賃金公益委員を務めたある大学教授(経営学)は「現政権の2年間に29%も上がって雇用市場が大きな打撃を受けたが、こうした状況で3年目に33%になれば、雇用市場が対応できるのか疑問」とし「こうした点で速度調節とは見なしがたい」と述べた。
文大統領は、原理主義者と言われる。
「最低賃金は高いほど経済成長に寄与する」と言う「左翼経済論」に取り憑かれているのだろう。頭脳は、学生レベルだ。文氏は、真面目な学生であっただろう。左翼理論の授業では、一番前に座り疑問も持たずに聴講していたと思われる。その副作用が現在、韓国経済を混乱させている。
(4)
「経営界ではマイナス論も出ている。「週休手当を含めて1万ウォン台となる時給8330ウォン」という具体的な金額も挙がっている。
今年より20ウォン(-0.2%)低い金額だ。名目時給が8330ウォンなら週休手当を含めた実質時給は1万6ウォン。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「最低賃金1万ウォン」公約を守る範囲で象徴性を強調するということだ。経済団体の関係者は「マイナス論は実際には最低賃金を低めず雇用市場にプラスの信号を与える象徴的な意味」と話した」
経済界では、今年よりもマイナス0.2%(20ウォン=約2円)の最賃案を提示しているという。時給でわずか2円下げるだけ。実質的には、今年並みの最低賃金に凍結する。これでは、労組が承認しないだろう。文政権が続く限り、韓国経済は泥沼にある。