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韓国の引退後の暮らし、日本と比較すると…

2019-06-10 16:33:13 | 日記

韓国の引退後の暮らし、日本と比較すると…

6/10(月) 12:07配信    

中央日報日本語版

 

最近、韓国では65歳以上の高齢人口が増え、経済が徐々に弱まっていくという危機意識が広まっている。

高齢者が増えると同時に生産可能人口が速いペースで減少し、生産と消費は以前に及ばないという見方のためだ。

韓国より高齢化が約15年ほど早く進んできた日本はどうだろうか。

日本の過去15年が韓国が迎える今後15年の姿になり得るのだろうか。
 

日本は1991年以降、長期的な不振を経験した。

最近は人手不足になるほど就職事情が良くなったというが、ほとんど15年以上も2%前後の経済成長率が続いている。

日本の長期的な不況に対する日本内部の解釈はさまざまだ。

◆高齢化が日本の「失われた20年」を招いたのか

一方では人口変動、特に高齢人口の急増と生産可能人口の減少が「失われた20年」の根本的な原因だと主張する。

経済成長率の低下は人口変動と重なって発生した。

また、労働生産性も悪化したが、これは生産可能人口が減少したためであり、結局、日本の経済沈滞の原因は人口の高齢化という論理だ。
 

別の一方では「失われた20年」と人口変動はそれほど関係がないと主張する。

この主張は家計の金融資産が2000年代に入って増加したが、不動産貸出など負債比率は減少してきたことを根拠とする。

「失われた」という表現も適切でないとみる。

日本が先進国に到達する前の経済成長率を基準にすると2%は低い水準だが、他の先進国と比較すると2%は普遍的な水準であるからだ。

マクロ経済学的な側面でこのように日本の過去20年に対する評価は分かれるが、平凡な一般市民の暮らしはどうか。

最近、日本には空き家が増えているという報道があるが、実際に日本を旅行してみると「失われた」という表現が合わないほど生活の質は悪くないと感じる人が多い。

むしろ暮らしやすい国という印象を受けるのが事実だ。

◆韓国の高齢化の波紋、日本より大きい
 

では、韓国も今後、理由が高齢化であれ何であれ経済成長率が低下しても、過去15年の日本のように個人の生活の質が持続的に良くなり、特に引退後の暮らしが潤うのだろうか。

残念ながら日本の高齢者の暮らしが韓国の高齢者にも同じように当てはまる可能性は大きくないようだ。

あえて複雑なマクロ経済学的分析をしなくても、人口学的な観点から見て、韓国の高齢化は日本の高齢化と質的に大きく異なるしかない。

まず、高齢化の速度と高齢者の規模など韓国の高齢人口による社会の波紋は日本に比べてはるかに大きい。

日本で高齢化を進めた世代は韓国のベビーブーマーのような「団塊の世代」だ。

1947年から49年までの間、毎年200万人以上がベビーブーマーとして生まれた。

団塊の世代直後の出生児は25%ほど少なかった。このわずか3年間にしかならない団塊の世代が日本の高齢社会をつくった。
 

韓国のベビーブーマーは55年生まれから63年生まれと見なされるが、この時期は出生率が非常に高かった。

出生数だけで見ると58年から74年までが毎年95万-100万人ずつ生まれた実質的なベビーブーマーだ。

今後、韓国の高齢化は17年間も続いたベビーブーマーがつくるが、日本の過去15年間の高齢化は3年間にしかならない団塊の世代がつくったのだ。

韓国の高齢化が社会に起こす波紋は日本よりはるかに大きくなるしかない。

当然、今後15年間、高齢者に対する社会福祉恩恵も日本の場合と比較して大きく分散するしかないというのが韓国の現実だ。

◆日本の半分以下の韓国国民年金
 

引退後に経済活動ができない時、社会が準備した公的年金制度は老後を保障する最も基本的な手段となる。

引退した直後は退職金もあり、まだ年齢もそれほど高くないため、経済活動も可能であり、経済的な問題に直面しないケースが多い。

しかし時間が経過して75歳を過ぎる頃から状況が急変するのが一般的だ。

この時期になると、国の老後保障制度が重要になる。
 

韓国の代表的な公的年金は国民年金だ。国民年金が所得の代わりにならないレベルということはよく知られている。

また、持続可能性も問題が多い。現在、国民年金の平均受領額は52万ウォン(約4万7600円)。

今後年金を受領するベビーブーマーは加入期間が長いためこれより多く受けるだろうが、それでも25年間ほどの老後を頼るにはかなり少ない。
 

日本の場合、基礎年金と厚生年金があるが、普通、会社員生活をして引退した人はこの2つを同時に受ける。

勤労期間で差があり、男女間の平均受領額は異なる。

現在、男性は18万-19万円、女性は9万-10万円ほど受けている。

日本の1人あたりの所得は韓国より高いが、現在、韓国の生活物価の方が高い点を考慮すると、日本の公的年金は超高齢者の老後を保障する機能を十分に果たすが、韓国の国民年金はその機能を果たすのが難しい。

韓国の今後15年が日本の過去15年と同じでないもう一つの理由だ。

 


"スマホ不振"で行き詰まる韓国経済の末路

2019-06-10 16:18:33 | 日記

"スマホ不振"で行き詰まる韓国経済の末路

 
真壁 昭夫        
 
2019/06/10 09:15
 

4月、韓国の経常収支が7年ぶりの赤字に転落した。

経常収支が赤字に転落した主な原因は、韓国の輸出が急速に減少したためだ。

その背景には、輸出依存度の高い中国経済に減速感が出ていることに加えて、主力の輸出製品であるスマホなどIT関連機器の需要が落ち込んでいることがある。

特に、サムスン電子の半導体事業の減速は顕著だ。

韓国銀行(中央銀行)は、今回の経常赤字転落は海外投資家への配当金支払いによる一時的なものと説明しているが、あまり説得力はない。

むしろ、今後、韓国経済は一段と厳しい状況に直面する可能性が高いとみられる。

米国は中国の通信機器最大手ファーウェイへの制裁を発動し、中国はそれに対して報復すると明言している。

米中の摩擦は激化し、今のところ、両国の折り合うポイントが見つからない状況だ。

世界各国のスマートフォンや5G関連の通信機器への需要、IT関連の設備投資は落ち込むことが懸念される。

これまで半導体を輸出の主力製品として経済成長を実現してきた韓国にとって、経常収支の赤字転落は輸出主導型経済の行き詰まりを意味する。

当面、輸出の大幅な回復と見込むことは難しい。

それに加えて、足元のウォン安が輸入物価を上昇させ、経済を圧迫する懸念もある。

それは、社会心理を一段と悪化させ、韓国の政治と経済の停滞懸念を高めることになりそうだ。

一握りの財閥企業が韓国全体を左右するいびつな構造

韓国経済には、2つの大きな特徴がある。

1点目は、韓国経済がサムスン電子を筆頭とする「財閥(チェボル)企業」の業績拡大に依存していることだ。

サムスン電子1社の売上高は、韓国のGDP(国内総生産)の15%程度を占め、上位10社の売り上げを合計するとGDPの45%程度に達する。

なお、サムスンの営業利益の70%程度が半導体事業からもたらされている。

これはかなりいびつな経済構造だ。

事実上、サムスン電子など一握りの財閥企業の業績が、韓国経済の成長を左右している。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、経済格差の拡大と固定化を食い止めると主張し、財閥改革を標榜した。

しかし、実際に改革を進めることは口で言うほど容易ではない。

なぜなら、財閥企業の経営が揺らげば、韓国経済そのものが大きく傷つくからだ。

韓国政府は企業業績のかさ上げで「ウォン安」を重視

2点目は、貿易への依存度が高いことだ。

韓国の貿易取引はGDPの80%程度に達する。

これは、わが国の2倍以上の水準だ。

韓国経済は、わが国などから資材を調達し、それを用いて半導体などの製品を生産し、それを中国などに輸出することで成長してきた。

また、韓国政府は企業業績をかさ上げするためにウォン安を重視してきた。

過去数年間の韓国の輸出を見ると、サムスン電子の株価とかなり相関が高い。

2016年初旬ごろから中国では景気対策が進み景気が徐々に上向いた。

中国は「中国製造2025」の推進のために半導体を買い求めた。

加えて、世界的にスマートフォンが急速に普及し、データセンター向けのDRAM需要も高まった。

サムスン電子は、その需要を取り込んで半導体輸出で収益を獲得した。

2017年秋口まで韓国の輸出は増加基調で推移し、ほぼ同じタイミングで同社の株価も最高値をつけた。

この時期、韓国の消費者信頼感も大きく上昇した。2017年11月には、韓国銀行が利上げを実施した。近年の韓国経済は、サムスン電子の半導体輸出に支えられたのである。

韓国の輸出に急ブレーキがかかる要因とは

2018年に入ると、韓国の輸出は伸び悩み始めた。

公共事業の削減に加え米中の貿易戦争から、中国経済が急速に減速した。

また、世界的なスマートフォン販売台数の鈍化やデータセンター向け設備投資の一巡から半導体市況が悪化した。

2019年に入ると、米中摩擦の激化や欧州の政治混乱から多くの企業が設備投資を手控え、半導体需要がさらに落ち込んでいる。

その結果、年初から5月末まで、韓国の輸出は前年同月比ベースで減少している。

これが、韓国の経常赤字の原因だ。

経常収支とは、海外との財(モノ)やサービスの貿易や、投資(例、海外子会社からの配当受け取りなど)の状況を示す。

経常収支が黒字であるということは、その国が海外からお金を受け取っているということを意味する。反対に、経常赤字である国は、海外に対してお金を支払わなければならない。

韓国経済は一段と厳しい状況を迎える可能性

2018年、韓国の経常収支は764億ドル(約8兆3000億円)の黒字だった。

このうち、貿易収支が約1120億ドル程度と、圧倒的に大きい。

財閥企業の輸出競争力を高めることで成長してきた韓国にとって、経常収支が黒字であることは経済が成長していることの裏返しだ。

2019年第1四半期、韓国の実質GDP成長率はマイナス0.4%に落ち込んだ。

原因は、企業の設備投資と輸出が減少したためである。

その上、4月の経常収支が赤字に落ち込んだ。

これは、輸出主導型の韓国経済が成長の限界に直面したことと言い換えられる。

米中の摩擦激化は世界のサプライチェーンを混乱させ、貿易取引は低迷するだろう。

韓国経済は一段と厳しい状況を迎える可能性がある。

サムスン電子では、半導体事業に加え、スマートフォン、ディスプレーの主力3事業が総崩れだ。

加えて、LG電子の液晶事業も急速に業況が悪化している。

稼ぎ頭のエレクトロニクス産業の業績が急速に悪化する中、韓国が輸出で成長率を高めることはかなり難しくなっている。

韓国はエネルギー資源や食料のほとんどを輸入している

韓国では、財閥企業の経営悪化を受けた景気後退のリスク上昇に加え、政治への懸念も強い。

外国人投資家は韓国株を売り、ウォン売り圧力が高まっている。輸出が減少傾向をたどり経常赤字が続くようだと、ウォン安は韓国経済にとってマイナスに働く。

なぜなら、韓国はエネルギー資源や食料のほとんどを輸入しているからだ。

自国通貨安は輸入品の価格を上昇させ、個人消費を圧迫する。ウォン安は徐々に家計の重しになるだろう。

本来であれば韓国政府と韓国銀行は外国為替市場に介入し、過度な通貨安を抑えたい。

これまでにも韓国は自国に適した為替レートの水準を実現するために、頻繁に外国為替市場に介入してきた。

問題は、北朝鮮への対応をめぐり、米国と文政権の関係がこじれていることだ。

韓国が自国に適した為替レートの実現を目指して為替介入を行えば、トランプ政権は韓国に対してより強硬な姿勢をとるだろう。

景気失速の懸念がある中、通貨防衛の利上げも困難だ。韓国が従来のようにウォンの為替レートをコントロールすることは難しい。

財閥企業の輸出競争力に依存してきたツケ

文大統領は景気を支えるために、財政出動を重視している。

政府は、財政出動を呼び水にして財閥企業の設備投資や雇用を勢いづけたい。それは、文氏が支持率回復を目指すためにも重要だ。

一方、すでに韓国の財閥企業は過去数年間に大規模な設備投資を行ってきた。サ

ムスン電子などは設備投資を減らしている。文政権の財政政策の効果は一時的なものにとどまり、財政の悪化懸念が高まりやすい。

その状況が続くと、韓国の国債利回りが上昇し、企業や家計には一段の重しとなる恐れがある。

第2次世界大戦後の長い間、韓国は財閥企業の輸出競争力に依存し、成長を実現した。

一方、内需の厚みは増していない。韓国が輸出減少のマグニチュードを吸収し景気を落ち着かせることは難しい。

経常収支の赤字転落により、韓国経済の停滞リスクは高まっている。

真壁 昭夫(まかべ・あきお)

 

法政大学大学院 教授

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。(写真=dpa/時事通信フォト)