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アラブの王族が天皇陛下を尊敬する理由
国際2019年5月24日掲載
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新天皇陛下と新皇后陛下( )
中国との貿易戦争の真っ只中、今月25日にトランプ米大統領が国賓として来日する。
貿易問題以外にも、対北朝鮮政策など、安倍首相と話し合うテーマは多くありそうだが、今回のもう一つのトピックは、新天皇が初めて迎える国賓だという点だろう。
つまりトランプ大統領は、今月即位された天皇陛下と初めて会見する外国首脳であり、宮中晩餐会も開かれる予定だ。
国賓を宮中晩餐会でもてなす様子は、日本人にとってはお馴染みの光景だ。
しかし、首相による晩餐会と、宮中晩餐会両方で賓客をもてなすというやり方は、世界的に見るとそう多いわけではない。
当然のことながら、皇室、王室を持たない国ではこうしたやり方は不可能だ。
憲法上、天皇は国政に関する権能を持たないのだから、宮中晩餐会は、一見、単なるセレモニーに見えるかもしれない。
しかし、ジャーナリストの西川恵氏は、新著『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』でそうした一面的な見方を否定する。
それどころか「皇室は日本にとって最大の外交資産である」とまで言い切るのだ。たとえば、こんな例があるという(以下、引用はすべて同書より)。
「2009年に先の両陛下は12日間にわたってカナダを訪問した。
両陛下が西海岸のバンクーバーを発って帰国の途に就いた翌日、7月15日付の日刊紙『バンクーバー・サン』はこう訪問を総括した。
『深い思い出と人間同士の結びつきを作った両陛下のカナダの旅であった。このような善意と友情と愛情の分かち合いを基礎に、我々は将来を築いていけるのである』
日本とカナダはいま友好国だ。
しかし大戦中は交戦国で、カナダの日系人は敵性外国人として収容所に入れられた。
日系人が市民権と参政権を得て、カナダ国内を自由に移動できるようになるのは、戦後の1949年である。
カナダ政府が戦争中と戦後の政策は誤りだったと認め、賠償するのは88年である。
これを押さえて記事を読むと、より深い意味合いが浮かび上がってくる」
西川氏によれば、皇室を外交資産たらしめているものは「皇室の長い歴史と伝統の蓄積、それに立脚した先の両陛下を中心とした皇族の人間力とでもいうべきものだ」と言う。
もちろん、首脳だろうがメディアであろうが、他国の王室、皇族に敬意を示すのは普通のことである。
しかし、天皇へのそれは単なる社交辞令を超えたものがある。
西川氏が同書の中で紹介しているのは、アラブの王族にまつわるエピソードだ。
2006年から09年までの3年間、駐サウジ大使を務めた中村滋(しげる)氏は、在任中、日本からの要人がアブドラ国王に謁見するとき、必ず陪席した。
こうした際、国王の最初の発言は決まって「天皇陛下はお元気でおられるか」だったという。
アブドラ国王は皇太子時代の1998年10月に、公賓として来日し、徳仁皇太子夫妻から夕食のもてなしをうけた。
翌日には天皇陛下(当時)とも昼食会をもった。
こうした経験が、アブドラ国王の心に深く残ったのだろう。これだけではない。
「長年、サウジの駐米大使を務めたバンダル・ビン・スルタン王子は帰国後、国家安全保障会議の事務局長という重要ポストに就いた。
面会が極めて難しいことで知られたが、中村氏とは2度私邸で会い、イランとの水面下の交渉などを明かしてくれたという」
そしてこの時、王子は
「自分は通常、外国の大使には会わないが日本は例外である。なぜなら日本の皇室を尊敬しているからだ」
と述べたという。
皇室への尊敬の念はサウジ以外のアラブの王室でも同様だ、というのはアラブに通じた人の共通認識なのだという。
「70年代の石油危機のとき、大協石油(いまのコスモ石油)の中山善郎社長は、
アラブ諸国から石油の安定供給を受けるには
『皇室外交があれば最高』
『菊の御紋の威光はアラブの王様に絶大』と語っている」
トランプ大統領との晩餐会は、どのような雰囲気でおこなわれ、どのような反応を導くことになるのだろうか。
2019年06月10日17:00
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輸出で稼ぐのは難しくなる
と
韓国に米中の影 半導体不振で4月の経常収支7年ぶり赤字
- 2019/6/5 19:13
ソウル=鈴木壮太郎】米中貿易戦争が韓国経済に影を落としはじめた。4月は海外とのモノやサービスなどの取引を表す経常収支が7年ぶりの赤字に転落した。米政府による中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への実質的な輸出禁止措置発動で主力の輸出品目である半導体は市況回復が遅れる見通しだ。輸出不振が長期化する懸念が強まってきた。
韓国銀行(中央銀行)が5日発表した4月の国際収支(暫定値)によると、経常収支は6億6000万ドル(約714億円)の赤字だった。世界貿易の減速に伴う輸出減少に、企業による配当の海外送金シーズンが重なった。経常収支の赤字転落は欧州債務危機の影響で輸出が振るわなかった2012年4月以来だ。
経常収支の悪化は通貨安の要因になる。だが、韓国ウォンの対ドル相場は5日、1ドル=1178.6ウォンに上昇した。市場は4月の経常赤字を織り込み済みで、急ピッチで進んでいたウォン安が一段落するとの見方からドルが売られた。
韓国銀行は「4月の赤字は配当の支払いという季節要因。基調をみてほしい」と説明するが、輸出不振が赤字転落の主因なのは間違いない。
産業通商資源省によると、5月の輸出は前年同月比9%減の459億1000万ドルで6カ月連続のマイナスだった。減少幅は2月の11%を底に4月は2%まで縮小したが、5月は再び拡大した。
輸出の足かせは品目別で半導体、地域別では中国だ。輸出全体の2割近くを占める半導体が前年同月比31%減った。自動車や機械は堅調だったが、石油化学やディスプレーも2桁減だった。
地域別では最大の貿易相手、中国が同20%減った。米中貿易戦争で中国企業との取引が滞り始めた。米国は6%増、日本は2%増と堅調だった。
輸出に今後、大きく影響しそうなのは、米国による対中制裁関税「第4弾」と、ファーウェイと米企業との取引の事実上の禁止措置だ。IT(情報技術)機器に使う半導体メモリーの世界市場はサムスン電子とSKハイニックスの韓国2社の占有率が高い。ファーウェイの生産が抑制されれば市況回復は遅れ、こうした韓国企業が打撃を受けそうだ。
主要メーカーで構成する世界半導体市場統計(WSTS)は、19年の市場規模が前年より12%減るとの予測を発表した。18年秋時点では2.6%成長を予測していた。
半導体メモリー市況は18年10月から悪化しているが、グーグルやフェイスブックなど米IT大手によるデータセンター投資が遅れ、メモリーの在庫が消化されない一時的な要因のためだとされてきた。在庫調整が進む19年下半期以降、再び回復に向かうとの見方が支配的だった。
だが、米中貿易戦争の激化は楽観論を吹き飛ばした。市場ではファーウェイに供給できなくなった米マイクロン・テクノロジーのメモリーが市場に流れ、需給はさらに緩むとの観測も浮上する。有進投資証券の李承禹(イ・スンウ)常務は「メモリー市況の底は20年の第1四半期~2四半期にずれ込む」と分析する。
メモリー市況の回復の遅れは韓国政府や通貨当局が描いてきた「19年下半期の経済回復シナリオ」にも暗い影を落とす。
「韓国経済は下半期にかけて回復に向かう」――。洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相や韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁はこれまでこう口をそろえてきたが、これは半導体市況が回復し、輸出や投資が再び上向くことを前提にしていたからだ。
韓国銀行は4月、19年の国内総生産(GDP)成長率見通しを従来の2.6%から2.5%に下方修正した。だが、民間では2%を下回るとの予測も出ている。市場では政府・通貨当局が成長率予測をさらに下方修正するとの見方が広がる。
勝又壽良の経済時評
日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。
2019-06-11 05:00:00
韓国、「無知」中国よりも怖い、日本の報復は最強「外交保護権」
テーマ:ブログ
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、9~16日、北欧3カ国を国賓訪問する。
その間、ノルウェーのオスロフォーラムで韓半島(朝鮮半島)の平和をテーマに基調演説をするという。
問題の日韓外交は最悪状態であり、事務当局に日本との交渉を指示した様子も窺えない。
6月末のG20は、目前に迫っている。
日韓首脳会談が開かれなければ、日本を「悪者」にして逃げる積もりであろう。
韓国は、米中との間でも外交課題を抱えている。
ファーウェイ製品の「5G」を巡る問題である。
米国は、安全保障上の理由でファーウェイの「5G」導入を見送るように迫っている。
中国は導入するように高圧的な態度だ。
韓国の「二股外交」が、決断を迫られている瞬間である。
韓国はこれまで、経済は中国、安全保障は米国という二刀流で対処してきた。
だが、ファーウェイ問題は、安全保障と経済の両面に関わる。
ここで旗幟を鮮明にしないで「ヌエ」的に振る舞うと、米国から「セカンダリー・ボイコット」を受けかねない。
『朝鮮日報』(6月9日付け)は、「米中日の報復におびえる韓国」と題する寄稿を掲載した。
筆者は、尹徳敏(ユン・ドクミン)韓国外国語大学碩座教授・元国立外交院長である。
(1)
「韓国が、『反ファーウェイ』に賛同すれば、ある程度の中国の報復は避けられないだろう。
だが、かつてのTHAAD報復措置の経験から、中国の報復は思ったより限定的なものだと考えられる。
まず、THAAD報復騒動があれだけ大きかったのにもかかわらず、対中貿易は14%増加した。
韓国の対中輸出は、そのほとんどが中国の産業に不可欠な部品素材だ。
韓国はファーウェイの通信機器を買うが、ファーウェイはそれ以上に韓国製部品を買わなければならない構造だからだ」
韓国は、THAAD(超高高度ミサイル網)導入を巡り、中国から種々の制裁を受けたが、対中輸出では14%も増えていた。
中国の産業に不可欠な部品素材であるので、韓国からの輸入を増やさざるを得なかったわけだ。
これで、韓国はファーウェイ問題により、米国寄りに対応しても問題ないことが分った。
(2)
「米国企業はもちろん、日本、英国、台湾など多くの企業が『反ファーウェイ』に賛同しており、事実上、韓国製以外の代替製品を見つけるのは難しい。
また、世界有数の企業がすべて賛同している状況で、韓国だけ報復するのも難しい。
今回の事態は、人工知能(AI)や5Gなど未来成長動力を左右するデジタル・プラットフォーム競争で中国に圧倒されていた韓国企業にとって、ひょっとすると千載一遇のチャンスとなるかもしれない」
ファーウェイ問題は、韓国ビジネスにとってプラスに働く可能性の方が大きいという結論だ。
韓国は「二股外交」で悩む必要はない。米韓同盟に忠実に対応すべきであろう。
(3)
「ファーウェイ社の報復よりも韓国経済にとって致命的な脅威となるのは日本の報復だろ。]
中国の報復は市場を失う危険があるが、日本の報復は韓国産業界の急所を脅かす。
韓国大法院(最高裁判所)が昨年出した強制徴用被害者への賠償判決後、韓日関係は国交正常化以降で最悪の状況にある。
強制徴用問題は1965年の韓日基本条約で両政府が最終的に解決した事案だ。
韓国大法院の判決は、条約に明記されていることを覆したものだ。
当然、日本は強く反発している。
ところが、驚くべきなのは、「大法院判決には関与できない」という理由で、韓国政府が日本の対話提案に応じず、8カ月近く傍観しているということだ」
ここでは韓国大法院判決を批判している。司法が、外交に介入した悪例だ。
韓国政府は大法院判決に「悪乗り」して、この問題を放置している。
(4)
「その間、被害者たちは法的手続きを踏んで韓国国内にある日本企業の資産を差し押さえたし、日本政府は自国企業の差し押さえ資産が売却されれば外交保護権を発動して報復に出る構えだ。
日本の報復が現実のものとなれば、日本の装備や材料に依存している韓国の主力製品である有機発光ダイオード(OLED)、スマートフォン、半導体生産のすべてが「まひ」する。
また、金融措置により国の信頼度が下がり、韓国経済に大きな打撃を与える可能性がある」
日本政府には、「外交保護権」があると指摘している。
次のような内容だ。ある国家の国籍を有する私人が他国の国際違法行為によって損害を受けた場合に、国籍国が国際違法行為を行った国に対して国家責任を追及する国際法上の権限をいう。
日本企業が、韓国にある資産を差し押さえられ、売却されるという損害を被れば、日本政府が韓国の国家責任を追及できる国際法上の権限である。
これは、日韓政府間の争いに発展する。
文大統領は、弁護士出身であるから、この程度の知識があるはず。ここまで、問題がこじらせるのを待って、反日運動にテコ入れする積もりなのか。