世界のニュース トトメス5世
経済・投資・流行・歴史ほか
2019年06月19日17:00
親の収入が低いと子供も低収入の傾向が世界的にあるが、韓国では貧困の相続といえる状況になっています。
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相続税の最高税率は50%なのだが非課税となる例外があまりにも多いため、適用される人がほとんど居ない。
韓国に立身出世は無い
経済・投資・流行・歴史ほか
2019年06月19日17:00
韓国「ウォン」の下落が示す、文政権の失策と韓国経済の厳しい現実
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
先行き不安が
ウォン安につながっている
4月下旬以降、韓国の通貨“ウォン”が米ドルや円に対して下落している。
アジア通貨の中でも人民元と並んでウォンの下落が目立つ。
市場参加者の中には、「政治、経済および地政学リスクを反映してウォンが売られやすい状況になっている」と指摘する声が多い。
これまで韓国では、政府の後押しもあり財閥企業が巨額の設備投資を行い、海外から資材を仕入れて自動車や半導体などを生産・輸出して経済成長を遂げてきた。
ウォン安は財閥企業の収益を“かさ上げ”し、韓国のGDP成長率を押し上げた。
しかし、現在ではウォン安にもかかわらず輸出にブレーキがかかっている。
韓国最大の輸出先である中国経済は投資に依存した成長の限界を迎えた。
さらに、韓国経済を実質的に支配してきた財閥企業の経営内容も悪化している。
韓国の経済運営はかなり厳しい状況を迎えているようだ。そうした不安がウォン安につながっている。
今後はウォン安が経済にマイナスに働く部分が増える恐れもある。
文在寅大統領は支持率維持のため財政出動を重視している。
経済の長期停滞リスクが高まる中で財政が悪化すれば、韓国の政治と経済は一段と厳しい状況に直面するだろう。
それは、朝鮮半島情勢の不安定化など極東情勢に無視できない影響を与える。
厳しい状況に
追い込まれる韓国経済
韓国経済は、想定されてきた以上に厳しい状況に直面している。
経済環境の悪化は、政治の停滞懸念をも高めている。それがウォン独歩安につながっている。
1~3月期、韓国の実質GDP成長率はマイナス0.4%だった。
当初、経済の専門家らは、韓国経済はプラス成長を維持すると予想していた。
それだけに、マイナス成長突入のマグニチュードは大きい。
需要項目別にGDP成長率を確認すると、韓国経済が置かれた状況がよくわかる。
韓国経済の現状は、政府の支出頼みだ。
一方、これまでの経済成長をけん引してきた財閥企業の業況は急速に悪化している。
最終消費支出は政府支出に支えられて前期から0.2%増加した。投資(総固定資本形成)は前期比2.8%減少した。
内訳をみると、設備投資が9.1%減と大きく落ち込んだ。輸出も同3.2%減だった。
昨年半ば以降、世界の貿易取引は急速に減少している。それが韓国の輸出減少につながった。その結果、4月、韓国の経常収支は赤字に転落した。米中の摩擦が激化、長期化すれば一段と貿易は停滞するだろう。そう考えると、今回の経常赤字転落は軽視できない。
なお、経常赤字転落の背景には、海外への配当金支払いという要因もある。例年4月に韓国企業は海外投資家に配当金を支払い、所得収支の落ち込みから韓国の経常収支は他の月よりも少なくなる傾向にある。
輸出減少への懸念から、韓国の財閥企業は設備投資を絞り始めた。すでにサムスン電子はNAND型フラッシュメモリーの投資計画を減らし、追加の投資に慎重だ。文政権は民間の設備投資を支援しようとしているが、サムスンなどがそれに応えることは難しい。
以上をまとめると、財閥企業が設備投資を行って半導体などの生産能力を増強し、製品を輸出して収益を稼ぐという韓国経済の成長モデルは行き詰まっている。
輸出の減少により、韓国が海外から受け取るお金は減少するだろう。外国為替市場において投資家がウォンを売却するのは当然だといえる。
政治不安を受けた
資金の流出
政治への不安も、ウォンを下落させている。経済の安定には、政治の安定が欠かせない。わが国の政治を振り返ると、政治が経済の安定に欠かせないことがよくわかる。
2009年9月から2012年11月までの旧民主党政権は、政策運営の経験がないにもかかわらず“政治主導”を掲げた。結果的に、政府は官僚組織をうまくコントロールできず、経済は低迷した。
現在、文大統領は企業経営者や投資家の不安心理を高めている。
文政権の経済政策は、韓国経済を悪化させてしまった。
同氏の進めた最低賃金の引き上げは、企業に負担を強い、雇用の減少につながった。
若年層の失業率は深刻化しており、15~29歳の失業率は11%を超えた。
多くの韓国の若者が、将来への希望を持てず、わが国など海外にチャンスを求めている。
大手企業も米中摩擦の回避などを理由に、ベトナムなど海外に進出している。
その結果、韓国経済の長期停滞懸念が高まっている。
一方、労組は賃上げなどを求めてストライキを起こしている。
それは、韓国の所得・雇用環境を一段と悪化させるだろう。
それに加えて原油価格の上昇やウォン安が輸入物価を押し上げ、韓国の個人消費は減少傾向をたどる恐れがある。
すでに一部財閥企業の世襲経営は限界に直面し、錦湖アシアナなどでは経営が危機的状況に陥った。
リスク回避から外国人投資家は韓国株を売り、それがウォン安に拍車をかけている。
中国経済の減速が鮮明化すれば、韓国の株安・ウォン安は勢いづくだろう。
経済環境の悪化を受けて、文政権が国民に一時的な負担を強いる構造改革を進めることも難しい。
同時に、文政権が何もしないでいたとしても、世論は公平に富が分配されないことや、財閥創業家に経済的な力が集中していることを怨み、政権を批判し続けるだろう。
戦後最悪の日韓関係が一段とこじれる中、韓国が経済の安全弁である“日韓通貨スワップ協定”の再開を目指すことも難しい。
まさに、文大統領は八方ふさがりの状況に陥った。当面、韓国からの資金流出は続くだろう。
高まる韓国財政の悪化懸念
文政権は、財政支出を通して国民の富を増やしているとアピールしつつ、景気のモメンタムを強めたい。確かに、財政支出が増えれば、一時的に景気は勢いづく。
しかし、その効果は一時的なものにとどまるだろう。
韓国経済を支えたエレクトロニクス産業の失速は深刻だ。
それを政府の支出で補うことは難しい。1~3月期、近年の韓国経済を支えてきたサムスン電子の半導体事業は営業利益が6割も減った。
世界的な半導体ブームが終焉(しゅうえん)を迎えたと考えられることに加え、米中の摩擦も熾烈(しれつ)化している。
文大統領はさらに拡張的な財政政策を重視するだろう。
大統領の弾劾を求める世論が増える一方、保守派政党も批判に直面している。
来年4月、韓国では総選挙が実施される。積極財政以外に文氏が点数を稼ぐ手段は見当たらない。
これは過去の政権と対照的だ。歴
代の政権は輸出依存型の経済の安定のために、財政の黒字を重視した。
一方、2月と3月、韓国の財政収支は赤字だ。文氏はかなり前のめりに政府の支出を増やしている。
世界経済の動向次第では、韓国の財政は急速に悪化するだろう。
足元、韓国の金利は低下基調だが、それがいつまでも続く保証はない。
経常収支に加え財政も悪化すれば、どこかで韓国の金利には上昇圧力がかかるだろう。
低金利環境の中で韓国の家計債務は増加している。
一方、政策金利は1.75%であり、利下げの余地と効果も限られている。
輸入物価の上昇と金利上昇に対して、韓国経済の抵抗力は弱い。
文政権はそのリスクを冷静に評価できていない。
むしろ、今の状況がいつまでも続くと思い込んでいるように見えてしまう。
その不安が、ウォン独歩安の背景にある。
韓国の政治・経済は不安定化に向かっている。
その虚を突くようにして北朝鮮が米国との直接交渉を目指して軍事挑発を行い、極東地域の緊迫感が高まることもあるだろう。
わが国はそのリスクに対応するために、アジア新興国などとの関係強化を進めて国際世論を味方につけ、自力で国力の引き上げを目指さなければならない。
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
「定年延長問題を社会的に議論すべき時期だ」
2019年6月初め、洪楠基(ホン・ナンギ=1960年生)副首相兼企画財政相はテレビ番組に出演し、こう話した。
日本の実質的な定年延長のニュースも大きく韓国では報じられており、日本以上のスピードで高齢化が進む韓国でもすんなり定年延長に向かうのかと思いきやそう簡単ではないようだ。
韓国にも定年制がある。今は満60歳だ。
関連法が改正になったのは2014年で、2年間の準備期間をおいて2016年施行になった。それまでの定年は57歳だった。
定年延長からわずか3年しか経っていないのにどうして副首相が定年延長に言及したのか。
急速に進む高齢化が現実のものになり、様々な問題が目に見える形で出てきたからだ。
韓国で高齢化が急速に進んでいることは、街を歩くだけですぐに分かる。デパートでも地下鉄でも、飲食店でも、本当に高齢者が目につく。
韓国で65歳以上の人口が全人口の7%を超えて「高齢化社会」になったのが2000年。わずか17年後の2017年に14%を超えて「高齢社会」になった。
日本が、1970年→1994年と24年かかったのに対して、韓国はわずか17年間で変化した。
日本は、さらに13年後の2007年に20%を超えて「超高齢社会」になった。韓国は、9年間で2026年に「超高齢社会」に入る。
高齢化は、ずっと以前から分かっていたことだ。だが、日本でもそうだが、実際に、経験してみて初めていろいろな問題が生じ、遅ればせながらその対策も始まる。
「老後に対する不安」
韓国でも、どうやって生活していくか? が最大の関心事だ。
「“老後資金2億ウォン足りない”に日本は怒る…韓国は3億ウォン」
2019年6月18日、「朝鮮日報」はこんな興味深い記事を掲載した。
日本の金融庁が、人生100年時代を見据えた資産形成に関する報告書を作成して日本で反発を買ったことは韓国でも比較的大きく報じられた。
「95歳まで生きるには夫婦で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要だ」という内容に特に高齢者の関心が強い。2000万円と言えば、ざっと2億ウォンだが、韓国はどうなるのか?
こんな疑問に答えて、朝鮮日報が日本の年金制度に詳しい大学教授に、同じ条件で試算を依頼したところ、韓国では3億ウォン必要だという結果になったという記事だ。
円換算でざっと3000万円、日本よりもはるかに「不足額」が多いのだ。
日本の場合、年金を中心とした収入が210万ウォンだが、韓国の場合、年金受給額がずっと少なく収入が130万ウォンしかなく、「不足額」が日本よりずっと多いというわけだ。
もともと韓国では、老後の準備が不十分だという指摘が多かった。OECD(経済協力開発機構)の調査では、韓国の老人貧困率は45%で加盟国中で最低水準だ。
ではもっと年金を増額すればいいかと言えば、もちろんそんなことはできない。韓国でも年齢構造の変化で、年金の財政が今後苦しくなることは確実だ。
韓国メディアは、今のままではいつ国民年金基金の資金が「枯渇」するかという試算を頻繁に報道しているほどだ。
国民年金の支給開始年齢は、2012年までは満60歳だったが、2013年以降は「5年ごとに1年ずつ」引き上げている。1969年生まれの場合、65歳が支給開始となる。
老後に対する不安は高まる、国民年金の支給開始時期は遅くなる。となれば定年を延長するというのが現実的な選択肢だ。
定年延長については、2019年2月に重要な大法院(最高裁判所に相当)判決があった。
事件は2015年夏に起きた。4歳の男の子がプールで溺死してしまった。家族は、プールを運営する会社相手に損害賠償訴訟を起こした。
1審、2審はともに、「労働できる期間」を60歳までとして計算した。
ところが、大法院は、「労働できる期間を65歳に引き上げて計算し直すべきだ」として高裁判決を破棄して差し戻した。
韓国社会や経済構造が急速に変化しており、労働できる期間も実態に合わせるべきだという趣旨の判決だった。
現行の「60歳定年制度」に対して、大法院は、65歳までは十分に働くことができるという判断をしたのだ。
労組は定年延長に賛成の立場だ。労働者の権利拡大、さらにすでに組合に加盟してる労働者の希望からみても賛成は当然かもしれない。
では、すんなり定年延長に進むのかと言えば、全くそうとも言えない。最大の理由は、一般国民の間で、コンセンサスができているとは言えないのだ。
老後生活を控えた高齢者から見れば、定年延長は死活問題でもある。
また、財政健全性の維持という面から見ても、定年延長は待ったなしだ。
さらに、労働力確保という意味でも長期的には定年延長は避けられないだろう。政府によると「今後10年間、労働者市場から退出する労働者は年間80万人だが、新たに市場に入っているのは40万人に過ぎない」。
働き手は長期的には不足するのだ。
ところが、それでも反対意見も多い。まずは、若者の間で否定的な意見が多いのだ。
何しろ韓国の若者は空前の就職難に苦しんでいる。実質的な失業率は20%を超えているといわれる。
定年を延長して、すでに働いている50代後半以上の労働者の雇用が延長になれば、それだけ若者の新規採用が少なくなる恐れがある。
あまつさえ韓国では社会的な問題に対して「世代間対立」が深刻だ。
定年延長問題で、若者と高齢者の間で深刻な意見対立が表面化することは避けるべきだという意見が多い。韓国紙デスクは言う。
「日本では定年を実施的に70歳まで延長することが決まった。空前の人手不足が続いているということで、社会的なコンセンサスを得ることが容易だったが、韓国は全く状況が異なる」
もう1つは、野党などからの「経済政策がうまくいっていないことを隠すためではないか」という指摘が出ていることだ。
文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権は、所得主導成長論を掲げて経済、特に雇用政策を重視しているが、一向に成果が見えない。
そんな中で辛うじて「良い数字」が出ているのが高齢者の雇用者数の増加だ。
雇用指標が良くない中で、2019年5月の雇用統計を見ると、60歳以上の就業者数だけが35万人以上も増加した。
低賃金で週に何日間でも働きたいという高齢者に対して、政府機関などが簡単な作業をする雇用機会を作ったためだという指摘が多い。
若者は、質の高い正規職を求めるが、高齢者は比較的低賃金でも職に就く。定年延長で、高齢者に働く場をさらに提供すれば雇用統計上はプラスになる。
野党は、「数字を作るための政策だ」と批判しているのだ。
政府はもちろん、「数字を良くするために定年延長を進めることなどあり得ない」と真っ向から反論している。
さらに、企業も「定年延長」には消極的だ。ある大企業役員は次のように話す。
「2016年に定年を60歳に延長したばかりだ。日本のように、ある年齢に達すると、かなり年収が下がるような制度がまだ定着していない中で定年延長をするとコストばかり膨れ上がる」
「若者の採用を増やせという政府や大学からの圧力も強く、応じられない」
政府内でも「定年延長を議論するのはいいが、導入となるとじっくり検討すべきだ」という意見が多い。
結局、副首相が上げた「定年延長」のアドバルーンだが、トントンと実現する見込みはあまりないのが実情だ。
李載甲(イ・ジェカプ=1958年生)雇用労働相は6月13日、「毎日経済新聞」とのインタビューで、「まだ青年、特に“エコー世代”が増えている。あと数年はこういう状況で、定年を延長するとこの世代の雇用が悪化する恐れがある」と語った。
「エコー世代」とは朝鮮戦争後のベビーブーマ世代(1955~1963年生)の子供の世代(1979~1992年生)だ。
韓国では男子の兵役義務があり、大学院進学者も多く、この世代はまだ「就職戦線」の主要メンバーだ。
この世代の雇用問題が一段落しない限り、定年延長は難しいという立場を鮮明にした。
韓国紙デスクはこう話す。
「政府は近く、雇用年齢を延長する企業にインセンティブを与える政策を打ち出すなど何らかの対策を発表する」
「だが、定年延長は、検討課題として時間をかけて議論することになる。若者の雇用問題以外に、年金制度や軍人の定年問題など様々な複雑な問題があって、簡単には決められない」
「定年延長」議論は、韓国の経済社会が抱える様々な問題を象徴する難題なのだ。