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全斗煥時代の韓国は本当に“暗黒”だったのか? 事実を直視しない「韓国人の歴史観」には付き合いきれない

2022-01-06 18:24:17 | 日記

全斗煥時代の韓国は本当に“暗黒”だったのか?

事実を直視しない「韓国人の歴史観」には付き合いきれない

カラーテレビにプロスポーツ解禁、オリンピック招致…実はあの頃の韓国は明るかった

黒田 勝弘

2021/12/17

genre : ニュース社会国際

 

 先ごろ亡くなった韓国の全斗煥元大統領(在任1980~88年)に対し韓国ではほぼ全否定の評価で非難、罵倒があふれた。

「光州虐殺」「軍事独裁」「民主化弾圧」……暗黒イメージばかりが強調された。

しかし当時、現地で目撃し、体験した実際の全斗煥時代は意外に明るかった。

それまで18年間続いた勤倹節約・質実剛健・贅沢は敵——という朴正煕政権が終わり、夜間外出禁止令解除など人びとの暮らしの規制、統制が一気に解除されたからだ。

 実は韓国にとって全斗煥時代は現在の“豊かな韓国”のスタートを切った時代だった。

わずか40年ほど前のことなのに、現在の韓国人の記憶からはそれが抜け落ちている。

政治過剰に堕した“韓国人の歴史観”をただす意味で、明るかった全斗煥時代の語られざる実相をあらためて紹介する。

「なぜ明るかったのか?」を紐解く全斗煥の権力掌握過程

 そのためには韓国における「70年代から80年代へ」という歴史の変化を理解する必要がある。筆者はその時代を現地で経験した。

 まず朴正煕政権(1961~79年)末期の1978年3月から1年間、語学留学した。

当時は共同通信の記者で帰国後、本社外信部に配置された。

1979年10月26日、側近による朴正煕大統領暗殺という大事件が起きた。

11月3日の国葬に際し、日本政府の弔問特使となった岸信介元首相に同行しソウルに行った。

 滞在を延長し約2カ月、戒厳令下の韓国を取材した。

そこで後の全斗煥政権誕生につながる軍部の若手による「12・12粛軍クーデター」に遭遇した。

 

「なぜ全斗煥時代は明るかったのか?」を説明するためには、全斗煥氏の権力掌握過程を知っておく必要がある。

「12・12」は全斗煥政権の前史にあたる。

朴正煕暗殺事件の合同捜査本部長だった全斗煥・国軍保安司令官が、陸軍士官学校同期の盧泰愚・第9師団長らとともに軍の古参幹部を追放し、軍の実権を握った。

深夜のソウルに戦車や装甲車が出動し、国防省や陸軍参謀総長公邸では銃撃があった。

参謀総長は大統領暗殺事件の現場近くにいて事件への関与が疑われ、捜査対象になっていた。

 翌1980年になると、朴正煕政権の後継体制をめぐり政治混乱が始まる。

与野党対立に加え学生デモが激化。

“ソウルの春”といわれたが政局は混迷を深めた。

 全斗煥将軍ら新軍部は、政情不安の中で野党政権誕生に危機感を抱き5月17日、戒厳令を拡大。

すべての政治活動を禁止し金大中氏ら有力政治家を連行、拘束した。

これに反発したのが、金大中氏の故郷の全羅南道・光州市だった。

ソウルや釜山など他地域でなくなぜ「光州」だったかというと、次期政権に金大中氏への期待が強く、それだけ反発が強かったのだ。

 学生、市民ら地域ぐるみの激しい抗議行動が展開され、制圧に軍が出動したことからデモ側も武装し武力衝突となった。

これが約200人の犠牲者(軍・警察を含む)を出した「5・18光州事件」である。

 この時、筆者は東京にいたが、共同通信ソウル支局が光州事件の報道を理由に5月末で閉鎖されたため、支局再開に向け新軍部サイドと折衝にあたった。

全斗煥氏が大統領に就任した1980年9月、臨時ビザを得て韓国に渡り、全政権の前半4年を現地でウオッチングした(支局再開は翌1981年4月)。

韓国の女性たちが化粧をするようになった理由

 全斗煥氏にとって「12・12」と「5・18」は政治的トラウマだった。

民主的手続きによらない、政治的混乱収拾という名目の非常手段による政権誕生だったため「政権の正当性」に“弱み”となった。

来日時の記者会見にて ©︎文藝春秋

 

 そこで全政権は新政権の意義を国民に印象付け、実感させるため、「新時代」をスローガンに思い切った政策を断行した

それが旧政権下で長年続いてきた社会的な統制、規制の解除、廃止だった。

その最大のものが1945年の米軍占領時代から続いてきた「夜間外出禁止令」の解除だった。

全斗煥大統領の在任期間は1980〜1988年 ©︎文藝春秋

 正式には「夜間通行禁止令」で通称「通禁(トングム)」といわれた。

国防・治安上の理由だったが、午前零時から4時まで外出や交通は禁止され、屋外での活動は一切認められず、街はゴーストタウンとなった。

つまり韓国国民には1日20時間しかなく、ひとびとは午前零時近くになると帰宅を急いだ。

こんな毎日が40年近く続いていたのだが、それをなくしたのだ。

 これは人びとの日常生活を一変させ、「時間を気にしなくてもいい!」という自由と余裕が生まれた。

 また街頭のネオンサインが解禁になり、街灯も増えた。

朴正煕時代はエネルギー節約のため夜はひどく暗かったのだが、全斗煥時代になり街も人も明るくなった。

さらに中高校生たちの制服を廃止しヘアスタイルも自由化した。

街から黒い詰襟服が消え、街は明るくなった。

 韓国を明るくしたもう一つの大きな要因はカラーテレビの放送開始だった。

「通禁」解除は1982年1月だったが、カラーテレビの放送開始は政権スタート直後の1980年12月だった。

それまでカラーテレビは“贅沢”とされ、国民は白黒テレビでガマンさせられていた。

 カラーテレビは人びとの日常を明るくしたが、それ以上の波及効果があった。

カラーの化粧品広告によって女性たちが化粧をするようになったのだ。

韓国女性の化粧は、それまでは限られた人たちが限られた場面でするもので、一般の人にはあまり見られなかった。

それがこの時からほとんどの女性が化粧するようになった。

これで人びとの風情も一気に明るくなった。


 そのほかプロ野球やプロサッカー、プロ相撲(韓国ではシルムという)などプロスポーツも全斗煥時代に始まった。

韓国にとって史上初めての国際スポーツ大会となったアジア競技大会(1986年)が開催され、1988年ソウル五輪の招致にも成功した。

スポーツが韓国人の日常の話題に上るようになったのだ。

物価高を抑え込み、経済成長は10%近くまで

 ソウル市内を流れる漢江の再開発・整備が行われ、「漢江公園」はソウル市民の憩いの場となり、遊覧船も浮かんだ。

今、漢江沿いは市民サイクリングでにぎわっているが、韓国のサイクリング時代の幕開けもこの時代だった。

全大統領が自転車に乗ってさっそうと漢江公園を走る姿が、政権PRとしてテレビニュースになっている。

 その後1989年には海外旅行も自由化された。

それまでは海外旅行は贅沢だったし、海外では北朝鮮によるスパイ工作の標的になるといって厳しく制限されていた。

海外旅行自由化で普通の人も海外に関心が広がった。

 韓国の懐メロ・ヒット曲に『アパート』というのがある。

今もとくに中高年層には人気がある演歌系の大衆歌謡だが、これが大ヒットしたのが1982年だった。

「アパート」は日本風にいえばマンション。

この時代、マンション暮らしが広がり、人びとのあこがれとなった。

歌はマンション暮らしをする恋人に想いを寄せる話だが、この時以降、全国民の住の関心は「アパート」となり、

今も「アパート分譲・入居・売買」は韓国の政治、社会を揺るがす最大イシューである。

 韓国の都市交通で地下鉄がスタートしたのは1970年代だが、国鉄の一部区間を地下化したに過ぎなかった。

本格的な地下鉄時代の幕開けは、全斗煥時代にソウルの都心を一周する「環状2号線」が開通してからである。

 それに経済状態もよかった。

 

全斗煥政権の最大の経済的成果は、前政権が悩まされていた物価高を抑え込んだことだといわれた。

そして経済成長率も10%に近く、景気は好調だった。

景気が好ければ社会は明るいし、人びとの表情も明るかった。

初の民主化選挙は野党分裂で……

 全斗煥政権は末期の1987年6月、民主化を求める反政府デモの盛り上がりを受けて憲法改正を受け入れた。

それまで代議員による大統領間接選挙制だったのを直接選挙制に変えたのだ。

国民一人一人が自分の手で大統領を直接選ぶというのが“民主化”の象徴だったからだ。

 その民主化選挙の最初となった次期大統領選は1987年12月に行われた。

そこには「光州事件」のいわば“主役”だった金大中氏も立候補した。

金大中氏は「5・18」で連行、拘束されたあと「内乱陰謀罪」などで戒厳令下の軍事裁判によって死刑判決を受けたが、後に減刑・釈放となり、米国滞在(亡命?)を経て政治活動を再開していた。

 

 選挙の結果は反政府・野党勢力が金大中・金泳三候補に分裂したため、「12・12」で全斗煥氏の同志だった軍出身の盧泰愚候補が当選してしまった。

この結果、新憲法下の民主化時代のスタートは盧泰愚政権が担うことになり、1988年ソウル五輪も盧泰愚大統領が開会宣言をした。

 しかし「光州のハン(恨)」の象徴だった金大中氏は5年後の1992年の大統領選でも金泳三氏に敗れ、大統領になったのはその次の1997年だった。

 ここにきてやっと「光州のハン」は晴らされたことになる。

金大中大統領が誕生した時、筆者は「これで高麗時代以来、権力から遠ざけられてきた湖南(全羅道)の“千年のハン”が晴らされることになった」と書いたことがある。

 その結果、金泳三政権下で「12・12」や「5・18」の不法性を理由に逮捕・投獄されていた全斗煥・盧泰愚氏も、金大中氏が大統領に当選した直後に赦免・釈放された。

これで「朴正煕暗殺事件」に始まる激動の韓国現代政治史は一件落着のはずだったが、そうはいかないところが韓国である。

 

2022年大統領選挙と“全斗煥発言”で見えた「韓国人の歴史観」

 韓国は今、大統領選たけなわである。

いつものように与野党の攻防が激しい。

お互い片言隻句で足を引っ張り合っている。

そんな中で野党「国民の力」の尹錫悦候補が全斗煥氏について、亡くなる前だったが「12・12と5・18を除けば政治をうまくやった」と語ったところ大問題になり、謝罪させられる場面があった。

 

 与党サイドはもちろんメディア、世論も一斉に非難した。

対抗馬の与党「共に民主党」の李在明候補は、その種の“歴史歪曲”発言は処罰する法律を制定して規制すべきだと主張している。

 すでに紹介したように全斗煥時代についての“尹発言”は正しい。

事実である。

しかし尹候補および所属の野党(保守系)が謝ったように、事実であっても政治的にはそれを言ってはいけないのだ。

李在明氏が大統領になり、そんな法律が制定されれば、こんなことを書いている筆者も処罰の対象になるかもしれない。

 多様な事実、多様な見方が封じられるとその事実は忘れられ、なかったことになってしまう。

まだ同時代を生きた人びとが存在する、わずか40年ほど前のことでもそうなのだ。

まして1945年に終わった日本による統治時代の事実など、どこかにいってしまっている。

日本時代にはいいこともあった」は韓国では今なお妄言であり禁句である。

それを言えば政治家は失脚し、識者は社会的に追放される。

 全斗煥時代の振り返りは「韓国人の歴史観」を検証する絶好の素材である。

韓国では歴史の見方が、人びとの暮し抜きというすこぶる政治過剰であると同時に、それがさらに後世の政治状況で左右されるのだ。

事実を直視しない「韓国人の歴史観」には日本人は付き合いきれない。

日韓関係がうまくいかない根本原因である。


「マンション価格は2倍近くに高騰」崩壊間近か…“韓国不動産バブル”のヤバすぎる現状

2022-01-06 17:40:53 | 日記

「マンション価格は2倍近くに高騰」崩壊間近か…“韓国不動産バブル”のヤバすぎる現状《文在寅の大失策》

配信

 
文春オンライン

不動産政策を乱発

文在寅大統領 ©AFLO

政府内には“諦めムード”も漂う

不動産バブルが崩壊する予感

不動産取引が激減している

日本のバブル崩壊よりも酷い惨状も……

チャン・ドンドン


習近平の「共同富裕」がもたらすジレンマ 阿古智子(東京大学大学院教授)

2022-01-06 16:37:34 | 日記

国基研ろんだん

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2021.12.27 (月)印刷する

習近平の「共同富裕」がもたらすジレンマ 阿古智子(東京大学大学院教授)

習近平政権は貧富の格差を縮小し、社会全体が豊かになることを目指すという「共同富裕」の実現を重点目標として打ち出している。

その目標達成の一環であるのか、最近中国では、IT企業や学習塾への締め付け、芸能人の摘発など富裕層を狙ったとみられる動きが目立っている。

そもそも「共同富裕」とはどういった考えなのか。

既得権益層抑えつつ再分配

中国は「社会主義」を堅持してきた。

しかし、江沢民の時代に導入した「三つの代表」の考え方によって、民間企業家も共産党員の資格が得られるようになり、現在では、労働者階級の敵であったはずの資本家が社会の中心的な役割を果たしている

「三つの代表」とは、中国共産党は

①先進的な社会生産力の発展の要求

②先進的文化の前進の方向

③最も広範な人民の根本的利益―を代表するという考え方である。

そもそも「社会主義市場経済」(中国の特色ある社会主義)も、計画経済であるはずの社会主義に市場経済を導入するという矛盾を孕んでおり、本来の社会主義からあまりにも大きくずれている。

こうした中で広がる一方の貧富の格差を縮めるために「共同富裕」の考え方が打ち出された。

富の分配の方法はさまざまだが、経済学者の厲以寧が1990年代に提唱した考え方によると、

市場経済の中で分配を行う「第一次分配」、

税金や社会福祉を通じて分配する「第二次分配」に加えて、

利益を出している個人や企業が道徳的な考えに基づき自発的に所得の一部を寄付するのが「第三次分配」だ。

中国では元々、内陸部の貧困地域と沿岸部の発展した地域とでパートナーシップを結んで行う支援活動「対口支援」が盛んだ。

私が農村で調査をする際にも、沿海部の企業や自治体の援助によって学校や病院が建てられていた。

被災地への募金活動などもこうした枠組みで行なっているが、半ば強制的な動員と言えるような活動が少なくない。

鄧小平も「改革開放」で提起

「共同富裕」は習近平が初めて提起したわけではなく、古くは鄧小平が改革開放の未来図として「先に発展した地域が遅れた地域を引き上げ、最終的に共同富裕に到達する」と述べている。

今、この言葉を改めて持ち出すのは、あまりにも格差が広がり人々の不満がたまっているからだろう。

習近平が来年の党大会で、異例の3期目を見据えていることも影響していると考えられる。

中国政治は、共産党幹部など特定の人たちに権力が集中し、不透明なお金が集まりやすい構造になっている。

政権を選挙で代えることができず、人々の不満が高まれば、体制を安定的に保てなくなる。

なるべく既得権益層の反感を買うことなく、それ以外の層の支持も得たいと目論んでいるのだろう。

実際、ネット通販大手のアリババ集団やIT企業のテンセントなどの大企業が次々に巨額の寄付を表明している。

民間企業は国の介入によって自分たちの経済的な基盤が崩されてしまうことを懸念しているからだ。

最近、中国当局は社会的に影響力のある芸能人やインターネットでよく知られている「インフルエンサー」などへの摘発も強化している。

浙江省の税務当局は12月20日、インターネットの生中継で商品を販売するサイト「ライブコマース」などを行い、フォロワー数は9000万人に上るとされる黄薇を脱税で摘発したと発表した。

黄薇は一昨年から去年にかけて、うその申告で所得を隠すなどし、約6億4300万元(約110億円)を脱税したという。

税務当局は黄薇に対し、約13億4100万元(約240億円)の追徴課税と罰金の支払いを命じた。

制度改革の欠如と大衆迎合

「共同富裕」は格差に不満を持つ庶民には受け入れやすいのだろう。

かつての習近平のライバルで重慶市の書記だった薄熙来は、「紅歌」と呼ばれる革命歌を市民に歌わせるなど、毛沢東の文化大革命を彷彿とさせる政策で人心をつかもうとし、都市に出稼ぎにきた農民工に戸籍を与えるなど、社会格差の是正を打ち出した。

薄熙来が腐敗問題で失脚したあと、習近平はトップまで上り詰め、薄熙来が行なったような大衆迎合的な政策を打ち出している。

習近平は「習近平思想」を教育現場で広めることにも力を入れている。

しかし、中国は毛沢東亡き後、個人崇拝によって国民同士が攻撃しあった文化大革命の反省に立ち、指導者の名前を付けて思想を広めてこなかった。

ただ、インターネットが主流になっている今、監視や検閲が強化されていても、旧来の動員の手法で国をまとめていくことは難しい。

中国は世界二位の経済大国になったものの、社会の階層間の格差は大きい。

政府が「脱貧困」を達成したと盛んにアピールしているのも、目玉になるプロジェクトを宣伝に使っている面があり、貧しい人たちの問題が解決したわけではない。

汚職摘発もアピールしてきたが、これも貧困対策と同様で、狙いを定めたところで取り締まりを行い、アピールするという側面が強い。

特権を持つ人たちを適切に監視するためには、広く国民に情報公開し、問題の通報を受け入れる制度が必要だ。

しかし、中国の場合、共産党の政権維持は絶対不可侵であり、腐敗を浄化するための制度自体が重大な欠陥を抱えている。

一党独裁下では解決策にならず

2000年代、民間のNGOやジャーナリスト、弁護士、学者がそれぞれの専門分野で公共の問題を議論し、国民もソーシャルメディアで参加する流れが広まった。

しかし、こうした社会問題の解決に向けた動きも、中国の一党独裁の下では体制を揺るがすものと見なされてしまう。

結局は社会の問題を解決できないというジレンマを生んでいる。

抜本的に制度を変えることが難しいため、小手先で問題解決を図るしかない。

さらに、実質的な成果が上がっていないにも関わらず、プロパガンダを強化し、政府の業績を讃えることに力を入れている。

富の分配を進めるのであれば、固定資産税や相続税の導入、所得税の税率の見直し、社会保障の地域格差の是正など、本来は第三次分配ではなく、第一次分配、第二次分配における制度改革を行うべきであろう。

 


日本、「科学力の勝利」中国の極超音速兵器を迎撃、高度素材活用し低コストで「撃墜可能」

2022-01-06 13:55:13 | 日記

日本、「科学力の勝利」中国の極超音速兵器を迎撃、高度素材活用し低コストで「撃墜可能」

2022年01月05日

  

    

 

日本を取り巻く安全保障環境が、日に日に悪化している。1月5日には、北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を行なった。日本は、こうした中でどのように安全を確保するのか。

 

中国や北朝鮮は、迎撃の難しい極超音速兵器の開発を進めている。日本は、これに対抗して新たな兵器開発に乗出すことになった。日本の高い科学力と高度素材を生かす新兵器である。火薬を使わず、電磁力によって超高速・長射程の弾を連続発射できる兵器「レールガン(電磁砲)」である。防衛省が、SFやアニメの世界でお馴染みであったこの新兵器の研究・開発に本腰を入れる。政府の2022年度当初予算案で、65億円が計上されている。

 


『日本経済新聞』(1月5日付)は、「ミサイル防衛、対中抑止へ次世代技術 防衛省レールガン 極超音速兵器を迎撃 日本の高度素材活用」と題する記事を掲載した。

 

防衛省はミサイル防衛の立て直しに乗り出す。電磁力で砲弾を発射してミサイルを迎撃する技術(引用者注:レールガン)を中核に据える。中国などが研究を進める変則軌道で飛ぶ極超音速兵器を打ち落とせるようにするもの。相手の発射基地まで届く長射程ミサイルなどの開発とあわせ、2030年までに体制を刷新する。

 

(1)「レールガンと呼ぶ技術を2020年代後半に実用化する計画だ。リニアモーターカーのように電磁力を使って弾を発射する。実用に近い試作機をつくる費用として22年度予算案に65億円を計上したもの。火薬の燃焼を利用するミサイルより高速なうえ、理論上はもっと低いコストで連射もできる。一般的なミサイルの初速は秒速1700メートル程度だが研究段階で同2300メートル近くを達成した」

 


レールガンは、秒速2000メートル(マッハ6程度)以上であり、超高速兵器である。しかも、ミサイル並みの長射程だ。連射も可能で、大量のミサイル攻撃にも対処できる。対地、対艦、対空の全てで活用が見込め、軍事的な「ゲームチェンジャー」になるとの見方もあるほど。つまり、万能兵器と言えるのだ。日本が、それを独自技術と高度素材を組み合わせて実現させる。

 

米国は、レールガンの研究で先行していたが既に研究を中止した。「効果がミサイルなどと大きく変わらず、コストに見合わない」と判断したとみられる。日本政府関係者は「通常弾頭へ舵を切った米国を頼りにはできない。日本が開発の先端を行くことになる」と強調している。以上は,『毎日新聞 電子版』(1月3日付)が報じた。

 


(2)「念頭にあるのは音速の5倍超で軌道を変える極超音速兵器だ。従来の弾道ミサイルが放物線を描いて飛び、経路が予測しやすいのと比べて迎撃が難しい。中ロや北朝鮮が開発で先行する。既存のミサイルも同時に複数が飛来すると守るのが困難だ。防衛省はミサイルでミサイルを撃ち落とす現在の体制は限界があると判断した。

 

レールガンは、音速の6倍超の飛行能力を持つ。音速の5倍超で軌道を変える極超音速兵器を凌ぐ速度で対応可能である。

 

(3)「日本は、次のような防御態勢を整備する。1)現行システムの強化 2)レールガン 3)離れた位置から反撃できる長射程ミサイル――の3段階で防ぐ体制にする。相手のミサイルを探知する能力を上げるため小型衛星網の整備も検討する。長射程ミサイルは攻撃を受けた際に相手拠点をたたく「敵基地攻撃能力」として保有を検討する。迎撃用ではなく相手に攻撃を思いとどまらせる目的だ。いずれも22年末につくる国家安全保障戦略などに記す案がある。いまはミサイルをミサイルで陸海から撃ち落とす体制をとる。発射まで時間がかかり1発の単価が高い。短時間で迎撃弾を連射して撃墜の確率を上げる装備が必要だ」

 

日本は、レールガンの実戦配備によって3段階の多様な防御態勢を取る。長射程ミサイルは、攻撃を受けた際に相手の軍事拠点をたたく「敵基地攻撃能力」によって、相手の戦意を挫く効果がある。攻撃すれば、必ず報復攻撃されることが分かっていれば、無駄な攻撃を予防できるからだ。

 


(4)「中国は21年の国防費が1兆3553億元(24兆7000億円)に上る。10年で2.3倍に増え日本に届くミサイルも大量に配備する。日本の防衛費は補正予算込みで初の6兆円台に乗せるが圧倒的な差がある。厳しい財政下で選択と集中も不可欠なため、最も手薄になるミサイル防衛を重視する。レールガンは各国が研究するが配備例はない。実用化には電気を通しやすく丈夫な材料がいる。耐久性や大電力の制御が課題だ。防衛省は素材産業が強い日本が優位に立つ可能性もあるとみる」

 

下線のように、レールガンには課題もある。大電力の消費もその一つだ。レールガン発射に必要な電力は、日本の家庭約7000世帯の年間使用量にあたる約25メガワットと膨大で、電源をどう確保するのかは大きな課題だ。発射の際に高熱が発生するため、連射にはレールの摩耗などの損傷も壁となるという。ただ、日本には水素発電の開発が進んでいる。これが実用化されれば、この面の制約条件をクリアできる。必要は、発明の母である。

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