日本と世界

世界の中の日本

2021年度の予算

2022-01-11 19:03:55 | 日記

予算

 

一般会計総額

1066097億円

詳しい中身は

概要

国の2021年度予算案は、一般会計の総額が106兆6097億円と、2020年度の当初予算を3兆9517億円上回って過去最大となり、3年連続で100兆円を上回ります。歳出が大幅に膨らんだ背景には、高齢化に伴って「社会保障費」が2020年度より1507億円増えて過去最大の35兆8421億円となったことや「防衛費」が2020年度より610億円増えてやはり過去最大の5兆3235億円に上ったこと、それに新型コロナウイルスへの対応として、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として5兆円を計上したことなどがあります。

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新型コロナ関連

2021年度予算案に盛り込まれた新型コロナウイルス関連の主な事業です。

詳しい中身は

感染拡大防止

国立感染症研究所の職員を増員するための費用などとして9億円、各地の保健所の体制がひっ迫していることを受けて、感染症対策を専門で担当する保健師を現在の1800人から1.5倍の2700人に増やせるようにするための経費として、20億円が計上されました。

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暮らしに身近な予算

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介護報酬

2021年4月に改定される介護報酬について、新型コロナ対策の費用として0.05%を臨時に上乗せしたうえで全体で0.7%のプラス改定を行うため、196億円が計上されました。

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政権が掲げる重点施策

詳しい中身は

デジタル改革


また、小・中学校で1人1台、パソコンなどの端末を配備するのに伴って、小学校5年生と6年生、それに中学生を対象に、デジタル教科書を配布する費用として20億円が盛り込まれました。国の情報システムを標準化していくための費用として合わせて2986億円が計上されました。

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その他の主な予算

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防衛省

配備を断念した新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策として、新型のイージス艦2隻の建造に向けた設計などの費用として17億円が計上されました。

また、航空自衛隊のF2戦闘機の後継となる次期戦闘機の開発関連経費576億円が盛り込まれました。

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国債発行残高

9903000億円

普通国債の残高は2021年度末の時点で過去最高を更新する見通しです。

詳しい中身は

新たな借金にあたる新規の国債発行額は、43兆5970億円と、2020年度の当初予算の段階より11兆408億円増加しています。当初予算の段階で、新規の国債発行額が前の年度を上回るのは11年ぶりのことで、借金に依存する苦しい財政運営を反映しています。

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税収

574480億円

これは、2020年度の当初予算で見積もった63兆5130億円と比べて6兆円余り減っています。ただ、2020年度の税収は、新型コロナウイルスの感染拡大による企業業績の悪化で法人税の税収が大幅に減ることなどを反映して当初の見積もりを下方修正し、55兆1250億円と見込んでいます。

これと比較すると、2021年度の税収は、政府の経済対策によって景気が回復することなどを見込んで2兆3000億円余り増える見積もりとなっています。

2020年度の最新の見通しと比較してみると、消費税は1兆110億円、法人税は9560億円、所得税は1710億円、それぞれ増加することを見込んでいます。このうち、最も税収が多いのは消費税で20兆2840億円を見込んでいます。

ただ、新型コロナウイルスの収束の見通しが立たない中、企業業績や個人消費、それに伴う税収がどこまで回復するかは不透明さも残っています。

将来世代への負担も

かつてない規模に膨れ上がった2021年度予算案。深刻化する新型コロナウイルスへの対応でひっ迫する医療体制や打撃を受ける事業者を支える政策が幅広く盛り込まれました。

その一方で、最大の課題である社会保障費の増加には依然として歯止めがかからず、財政は悪化の一途をたどっています。

いわゆる「団塊の世代」がこれから75歳を超えていくなか今のままでは医療・年金・介護費などが急激に増加し、現役世代にとどまらず将来世代にも負担が重くのしかかっていくことになります。

新型コロナへの危機対応を果断に進めつつ経済を早期に成長軌道に戻し、財政の持続可能性をいかに保っていくのか。避けては通れない課題が山積しています。


「集団自殺」に向かう韓国【イ•ハクヨン論説顧問コラム】

2022-01-11 18:59:07 | 日記

「集団自殺」に向かう韓国【イ•ハクヨン論説顧問コラム】

1/5(水) 9:54配信

 

「集団自殺」に向かう韓国【イ•ハクヨン論説顧問コラム】

韓国の出生率の急落ぶりがはっきりしていた2009年7月、チョン·ジェヒ保健福祉相(当時)が、有名な語録を残した。

「北朝鮮の核より恐ろしいのが少子化問題だ」。

出生率を高める行事に参加し、「今の時期は国家準非常事態」とも述べた。

2008年、韓国の合計出生率(15~49歳の女性一人が一生に産む平均子女数)が1.19人に落ち込んだことを緊急問題としみなした。

人口維持に必要な最小出生率(2.1人)の半分になったからだ。

○「人口消滅する初の国家」 「核より怖い」は大げさすぎないか、と思った。

しかし、チョ·ヨンテソウル大学教授チームの報告書は、そうではないと指摘する。

今のペースの低出産が続けば、韓国の人口は2100年に1000万人以下に減り、

2305年には韓国人が、地球上から姿を消すという計算が出た。

韓国より先に少子化危機が始まった日本の人口消滅年度(2800年)よりはるかに早い。

 

2006年、英オックスフォード大学人口問題研究所のデービッド·コールマン教授は「地球上の最優先消滅国家第1号」に韓国を挙げた。

2020年に0.84人にまで落ち込んだ出産率は「チョン·ジェヒの警告」より恐ろしい現実をつきつける。

1971年に100万人を超えていた新生児数は、02年には49万人あまりに減り、20年には27万2000人と再び半分に減った。

人口減少は、単に「人数が減る」という問題ではない。

少子化と同時に進む高齢化により、人口構造が既存のピラミッド型から逆ピラミッド型に変わり、社会システムを根こそぎ覆してしまう。

韓国は、わずか38年後の2060年、全人口の中間年齢が61.3歳になり、働く人1人が老人1人を食べさせなければ(老年扶養比91.4%)する世界最初の国になる。

経済をはじめ、教育·国防·企業·年金制度など、国を支えるほぼすべての部門が大混乱に陥る。

2017年に韓国を訪問した当時のクリスティーヌ·ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が、韓国に「集団自殺社会」(collective suicide society)という直撃弾を飛ばした理由だ。

歴代政権がこうした「集団自殺」に対し、手をこまねいてばかりいたわけではない。

出産·保育段階から各種支援と補助金を増やし、出生率を高めるためのそれなりの政策を展開してきた。

2006年から15年間つぎ込んできた少子化関連予算だけでも、380兆ウォン(約37兆円)を超える。

にもかかわらず、出生率は、断トツで世界最下位に落ちた。

少子化対策にとどまらず、逆ピラミッド人口構造時代に備えた中長期的眼目の国政転換が急がれる。

4か月後に5年の任期が終わる文在寅政権は、この点で最大の批判を受けなければならない。

緊迫した人口危機に備えて社会システムを改革し、財政基盤を強化するどころか逆に走った。

 

2016年までは400兆ウォン(約39兆円)を超えなかった国家予算を大幅に増やし始め、今年の予算は607兆ウォンに増やした。

増やした金額の相当額を一度配分すれば後戻りできない福祉制度の拡充や公務員の大幅な増員など、長期にわたって国に財政負担をもたらす分野に投入した。

毎年莫大な借金をして予算を投じた結果、堅固だった国家財政基盤まで崩壊した。

国の負債が今年だけで108兆ウォン(約10兆円)増え、国家負債比率がGDP(国内総生産)の50%を超えることになった。

それだけではない。国内外の専門家の指摘に目を背け、「無条件の脱原発」を推し進め、国家エネルギー百年大計の根本を崩した。

そんな文在寅大統領が、新年のあいさつで「渋滞に巻き込まれた道を作り、大韓民国が世界の模範国家になった」と自画自賛した。

一握りの左翼運動家の背中に乗った独善的な国政を5月の任期末まで続けようというのだ。

さらに絶望的なのは、次期大統領選候補らの言動だ。

「民生」「公正」といったスローガンだけを並べ、「50兆」「100兆」などの「ばらまき競争」で国民の心を混乱させている。

緊迫した危機である「人口減少大災害」にどう対処するという大きな絵は見られない。

米作家ジェームズ·クラークは「政治屋(politician)は次の選挙を考えるが、政治家(statesman)は次の世代を考える」と述べた。

政治屋だけが溢れるこの国が嘆かわしい。

 

 

 


中国で人が消えていく、日本人も台湾の人たちも

2022-01-11 17:49:07 | 日記

 

中国で人が消えていく、日本人も台湾の人たちも【コメントライナー】

ノンフィクション作家・譚 璐美

 2021年2月、カナダ、日本、米国、欧州連合(EU)加盟国など58カ国は「国家間の関係における恣意的な拘束に反対する宣言」に署名した。「人質外交」を展開する中国への警告と、国際社会に人権擁護を再確認させるためである。

 発端は18年12月、中国ファーウェイ社の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)が詐欺容疑で、カナダで拘束された後、カナダ人元外交官と起業家が中国で逮捕された事件だ。

 20年8月には、オーストラリア政府が中国に新型コロナウイルス感染症の初動調査を勧告すると、中国中央テレビで働く中国系オーストラリア人キャスターが拘束され、国家秘密漏洩罪で起訴された。

 ◆判然としない逮捕理由

 日本人も例外ではない。暴行に及んだ中国漁船の船長が日本で拘束された直後、地質調査会社社員が中国で拘束された。さらに大学教授、商社員、語学学校経営者など15人が拘束され、7人が「スパイ罪」で服役中だ。

 北海道教育大学の元教授で中国籍の袁克勤氏が里帰り中に失踪した事件では、21年5月、2年ぶりに逮捕・起訴されていた事実が発覚した。

 中国人も次々に消えていく。大物政治家をはじめ、富豪、女優、弁護士、ジャーナリスト、国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)総裁まで、理由が判然としないまま逮捕され、世間から消えた。

 だが、台湾人の失踪事件はさらに多く、根が深い。

 中国と台湾の雪解けは08年5月、台湾で国民党の馬英九政権が誕生し、親中外交を進めた時だ。

 中国は経済交流を推奨し、税制優遇や各種手続きの簡素化を約束したため、中国へ進出した台湾企業は10万社に上り、中国在住の台湾出身者は100万人に達し、観光目的の往来などは毎年約500万人に上った。

 ◆ある日突然に警察が

 だが数年後、状況は一変した。

 中国では、ある日突然、地元の警察がやって来て、脱税や各種違反を口実に合弁企業の台湾人オーナーを拘束し、合弁パートナーである中国企業に所有権を渡すよう強要した。

 もし拒否すれば何カ月でも勾留し、承諾すれば国外退去にするという。地方政府と公安警察、合弁パートナーの中国企業が結託した所業だった。

 16年5月に台湾に民進党の蔡英文政権が誕生して後、これら企業オーナーを含めて、中国で失踪した台湾人は149人に上り、101人が拘留中などで所在が確認されたが、48人はいまだ消息不明だ。非人道的な扱いを受けている可能性が高い。

 ◆台湾人を中国に引き渡し

 現在、世界中で台湾人が消えている。スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は、16年から19年の間に、海外で逮捕された台湾人600人以上が中国に強制送還されたと報告した。

 台湾人を中国に引き渡した国は、最多のスペインが219人、カンボジア117人、フィリピン79人、アルメニア78人、マレーシア53人、ケニア45人と続く。

 その多くは、中国政府が「友好関係」を呼び掛けて引き取り、「国内問題」として中国本土へ送還した人々だ。

 中国は「一つの中国」政策の下、中国と外交関係を結びたい国には援助し、台湾との断交を迫って、台湾を国際社会から孤立させようとしている。

 中国政府によって次々に消えていく台湾の人々は、保護されるべき「国家」を失い、国際社会からも支援を受けられない。国際政治の「落とし穴」にスッポリはまり込んでしまったままのようだ。

 (時事通信社「コメントライナー」より)

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 【筆者紹介】

 

 譚 璐美(たん・ろみ) 東京生まれ。慶応義塾大学卒。慶応大学講師、中山大学(広東省)講師などを経て作家業に専念。日中近代史を中心に、国際政治、経済、文化など幅広く執筆。近著に「戦争前夜」(新潮社)、「帝都東京を中国革命で歩く」(白水社)、「中国『国恥地図』の謎を解く」(新潮新書)。

 (2021年12月27日掲載)


消えた「先軍」のスローガン 検証・金正恩政権10年(2)【礒﨑敦仁のコリア・ウオッチング】

2022-01-11 17:33:03 | 日記

消えた「先軍」のスローガン 検証・金正恩政権10年(2)【礒﨑敦仁のコリア・ウオッチング】

「金日成・金正日主義」を指導指針に

2021年12月27日から31日まで平壌の党中央委員会本部庁舎で行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会に出席する金正恩朝鮮労働党総書記 【朝鮮通信=時事】  

2021年12月27日から31日まで平壌の党中央委員会本部庁舎で行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会に出席する金正恩朝鮮労働党総書記 【朝鮮通信=時事】  

 北朝鮮の金正恩国務委員長(朝鮮労働党総書記)は権力を掌握してからの10年間、党規約と憲法の改正を重ねてきた。

この過程で先代指導者が創始した「主体思想」「先軍思想」も、自らが提示した「金日成・金正日主義」に書き換え、それを「唯一の指導的指針」と定めた。

祖父と父の名を冠した「金日成・金正日主義」がいかなるものかは必ずしも判然としないが、目的が明確だった主体思想や先軍思想に比べて解釈の余地は大きいとみられる。

そのことは、金正恩氏がイデオロギー解釈権者としてフリーハンドを手にしたことを示している。

 自らの名も憲法に刻んだ

軍隊の役割を規定した第59条で「朝鮮民主主義人民共和国の武装力の使命は、偉大な金正恩同志を首班とする党中央委員会を決死擁護して・・・」などとされたのである。

国家の最高法規が支配政党とその指導者を守っている形である。

 2013年には「党の唯一的領導体系確立の10大原則」が示された。

「10大原則」は、北朝鮮国民の行動規範とされ、39年ぶりに改訂されたものだ。

新たな「10大原則」の第10原則第2節では、「わが党と革命の命脈を白頭の血統で永遠に継いでいき、主体の革命伝統を絶えず継承発展させ、その純血性を徹底して固守しなくてはならない」と明記。

世襲による権力継承の制度化を目指したものと言え、北朝鮮体制はその王朝的な傾向をさらに強めた。

朝鮮労働党中央委員会第8期第3回総会で人民生活の安定問題に関する特別命令書を掲げる金正恩総書記=2021年6月17日、平壌【朝鮮通信=時事】

朝鮮労働党中央委員会第8期第3回総会で人民生活の安定問題に関する特別命令書を掲げる金正恩総書記=2021年6月17日、平壌【朝鮮通信=時事】

 体制の永続化を目指す金正恩政権にとって、最大の課題は経済である。

2021年6月、金正恩氏の名前で人民生活安定のための「特別命令書」が発令された。

詳細は不明だが、深刻な食糧問題を解決するため軍用米の放出を命じたとの観測が流れた。

核・ミサイル開発に対する厳しい経済制裁に加え、新型コロナウイルスの世界的流行を受けた国境閉鎖の影響で、北朝鮮では民衆への食糧供給が滞っているとされる。

 経済の立て直しを進める上で、こう着状態に陥っている対米外交の打開も、いずれは現実的課題として向き合わざるを得ない。

核兵器の開発を進めた結果、米国に対抗し得る抑止力や外交カードを手に入れたとしても、国際社会からの経済制裁は厳しくなる一方である。

制裁解除のためには真摯(しんし)な「非核化」交渉が必須である。

金正恩氏は「人民生活の向上」を訴え続けてきた。

2021年1月には党規約から軍事優先の政治を意味する「先軍政治」の文言を削除し、その部分を「人民大衆第一主義政治」に書き換えた。

「人民が白米に肉のスープを食べ、絹の服を着て瓦の家に住めるようにする」――祖父が掲げたこの目標を、金正恩氏はいつ達成できるだろうか。

体制長期化の可能性

 東欧革命に続いてソ連が崩壊したのは30年前、1991年のクリスマスの日であった。

社会主義陣営の総本山があっけなく瓦解するのを目の当たりにして、北朝鮮も崩壊するだろうと当然のように考えた人は少なくなかった。

 ところが、その後、金日成主席も金正日国防委員長も天寿を全うし、体制は現在の金正恩国務委員長へと引き継がれた。

30年前、北朝鮮の若き三代目が高齢幹部を次々と粛清しながら権力を盤石化し、「核保有」を宣言して米国大統領との首脳会談を実現させるなどという未来を、誰が想像しただろうか。

 依然として生年は公表されていないものの、1月8日に誕生日を迎えた金正恩氏はまだ38歳と言われる。

北朝鮮を建国した当時の金日成氏の年齢(36歳)とほぼ同じである。

金日成氏が1994年に死去するまで46年間も君臨したことを考えると、金正恩政権が今後数十年間にわたって継続する可能性を排除することはできない。

つまり、この10年間は長期安定政権の「序曲」に過ぎないかもしれないのである。

 北朝鮮が日本人拉致の事実を認めた⽇朝⾸脳会談から今年9月で20年。

金正恩氏への代替わりを経て体制永続化を図ってきた北朝鮮と、どのように向き合っていくのか。わが国には戦略と粘り強い覚悟が求められている。

朝鮮人民軍第1回指揮官・政治活動家講習会を指導するため平壌の4・25文化会館で名誉儀仗隊の迎接を受ける金正恩朝鮮労働党総書記=2021年7月24日【朝鮮通信=時事】

朝鮮人民軍第1回指揮官・政治活動家講習会を指導するため平壌の4・25文化会館で名誉儀仗隊の迎接を受ける金正恩朝鮮労働党総書記=2021年7月24日【朝鮮通信=時事】

【筆者紹介】

礒﨑敦仁氏

礒﨑敦仁氏

礒﨑 敦仁(いそざき・あつひと)

慶應義塾大学教授(北朝鮮政治)

1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員(北朝鮮担当)、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロウ・ウィルソンセンター客員研究員を歴任。著書に「北朝鮮と観光」、共著に「新版北朝鮮入門」など。

(2022年1月10日掲載)


試行錯誤しながら権力盤石化 検証・金正恩政権10年(1)

2022-01-11 17:22:03 | 日記

試行錯誤しながら権力盤石化 検証・金正恩政権10年(1)

【礒﨑仁のコリア・ウオッチング】

2021年12月20日

 

平壌の4・25文化会館で開かれた朝鮮人民軍第8回軍事教育活動家大会で演説する金正恩朝鮮労働党総書記

2021年12月【朝鮮通信=時事】

 北朝鮮の金正恩政権は今月で10年の節目を迎えた。

正確には金正恩氏が朝鮮労働党第1書記、国防委員会第1委員長に就任して党及び国家のトップとなったのは2012年4月のことであったが、前年12月に父親の金正日国防委員長が死去した直後から「偉大な継承者」と称され、朝鮮人民軍最高司令官に就任していたことから、今月で政権10年と言ってよい。

 この10年間、金正恩氏は自らの権力を盤石化するとともに、体制を永続化させることに邁進(まいしん)してきた。

ほとんどの重要政策は、この究極的な目標に従属していたが、その過程は試行錯誤の連続であった。

 たとえば新年の方針発表である。

金正日氏が死去した直後の2012年元日には、党や軍などの機関紙による「新年共同社説」という従前の形式が踏襲された。

だが、翌13年には祖父である金日成時代の「新年の辞」が復活、正恩氏自らテレビ演説した。

それも19年からは年末に党中央委員会全員会議を開いて1年を総括し、新年の方針も示す形に変わった。

姿を消した霊柩車の7人

 人事面でも目まぐるしい変化があった。

最初のサプライズは、2012年7月に李英鎬(リ・ヨンホ)軍総参謀長が突如解任されたことであったが、このポストはその後も次々と交代が見られ、現在の林光日(リム・グヮンイル)氏で金正恩政権下8人目である。

のみならず、総政治局長や国防相といった他の重要ポストも頻繁(ひんぱん)に交代があった。

金正日氏の葬儀の際、金正恩とともに霊柩(きゅう)車に寄り添った7人の幹部が、この10年間で全員姿を消したのは象徴的である。

金正恩氏による権力掌握と独り立ちは、予想以上に進んだと言える。

金正日総書記の永訣(えいけつ)式(告別式)で霊きゅう車に寄り添う金正恩党中央軍事委副委員長(平壌・錦繍山記念宮殿広場)=2011年12月28日【朝鮮通信=時事】

金正日総書記の永訣(えいけつ)式(告別式)で霊きゅう車に寄り添う金正恩党中央軍事委副委員長(平壌・錦繍山記念宮殿広場)=2011年12月28日【朝鮮通信=時事】

 粛清や世代交代だけではなく、今年6月には李炳哲(リ・ビョンチョル)党中央軍事委員会副委員長(政治局常務委員)とともに朴正天(パク・ジョンチョン)総参謀長が公然の場で批判された。

しかし翌月には二人とも降格に留まったことが明らかになったばかりか、朴正天氏については9月に党常務委員に大抜擢(ばってき)された。

 組織の改編や名称変更も頻繁に行われてきた。党を支える「金日成社会主義青年同盟」は、2016年に「金日成・金正日主義青年同盟」となり、今年4月には祖父や父親の名が取れて「社会主義愛国青年同盟」に変更された。

 軍をつかさどる人民武力部は、2016年に人民武力省に格下げされ、20年には国防省となっている。

新たな会議を立ち上がることも多く、今年3月には「市、郡責任書記講習会」、7月には「朝鮮人民軍指揮官、政治活動家講習会」が、それぞれ金正恩氏出席のもと初めて開催された。

指導者像は依然模索中

 なお、昨年から北朝鮮メディアは、各種の会議で金正恩氏が「司会」したと散発的に報じ、それまでの「指導」という表現からの変化が注目を集めた。

「指導」よりも「司会」のほうが中立的であり、負うべき責任は小さい。

形式的であれ、集団指導体制的な要素を取り入れようとしたのではないかと観測されたが、今年に入ってからは再び「指導」に戻る傾向を見せており、最高指導者のあり方も依然として模索中だと言える。

平壌の錦繍山太陽宮殿広場で行われた金正日総書記の逝去10周年中央追悼大会=2021年12月17日【朝鮮通信=時事】

平壌の錦繍山太陽宮殿広場で行われた金正日総書記の逝去10周年中央追悼大会=2021年12月17日【朝鮮通信=時事】

 体制永続化のために党組織の盤石化を重視したことについては一貫していたが、金正恩氏自身は第1書記から党委員長、さらに党総書記へと肩書を変えた。

国家の肩書についても、国務委員会第1委員長から国務委員会委員長(Chairman of the State Affairs Commission)、今年からは国務委員長(President of the State Affairs)となった。

 変化の激しさは体制の不安定さを示すものだろうか。

筆者はそうは見ていない。

むしろ逆であり、こうした組織体系の変遷からは、原理原則にこだわらず、内外情勢に柔軟に対応すべく試行錯誤してきた様子が伺える。

そしてその変化の速さは、金正恩氏への権力集中が着実に進んだことを物語っている。

集団指導体制ならば、意思決定にもっと時間を要するはずだからだ。

消えた「先軍」のスローガン 検証・金正恩政権10年(2)

礒﨑敦仁氏

礒﨑敦仁氏

【筆者紹介】
礒﨑 敦仁(いそざき・あつひと)
慶應義塾大学教授(北朝鮮政治)
1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員(北朝鮮担当)、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロウ・ウィルソンセンター客員研究員を歴任。著書に「北朝鮮と観光」、共著に「新版北朝鮮入門」など。

(2021年12月20日掲載)