ヨーロッパで、ロシアがウクライナ領クリミア半島を武力併合したためEUなどから制裁を受けましたが、一転してアジアに目を向け始めたようです。
ロシア・北朝鮮・中国という陸上で国境を接する国同士の関係、そして日本やアメリカや韓国、さらにはEUも関係する、複雑な問題のようです。
ロシアが北朝鮮を必要とするのは
ロシアと北朝鮮は今秋、危険な軍事活動の防止に関する協定を結ぶ予定である。目的は国境での武力衝突の防止。専門家はこの協定を両国の関係の特殊性を示すものだと考えており、今後両国が近づくことを予想する。
ロシアは年内にも、危険な軍事活動の防止に関する協定を北朝鮮と結ぶ可能性がある。ロシア連邦下院(国家会議)のセルゲイ・ナルイシキン議長が6月23日にこのように話した。この協定が結ばれれば、両国の国境付近で武力衝突を防ぐために、細心の注意を払うことが両国の義務となる。
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ヴォロンツォフ部長によると、そのようなプロジェクトの中には、ロシアの沿海地方と北朝鮮の羅津港を結ぶハサン(ロシア)と羅先(北朝鮮)の鉄道がある。「『ロシア鉄道』社はこの港の埠頭の一つを49年契約で借り、刷新し、他の国への貨物輸出のために使用している。 将来的には、シベリア鉄道を経由した韓国の釜山から西ヨーロッパまでの輸送路創設の話になってくる」とヴォロンツォフ部長。また、北朝鮮を経由してロシアから韓国にガスパイプラインと送電網を建設することも計画されている。
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アメリカと韓国は1990年代、ロシアに北朝鮮との関係を断って圧力をかけてほしいと頼み、ロシアはそれに一部応じた。だが、北朝鮮の核問題の解決を目指す席にロシアが参加しなければいけなくなった時、アメリカと韓国は、ロシアには北朝鮮への影響力が十分にないとして、ロシア抜きで大丈夫だということをほのめかした。ロシア政府にとってこれは良い教訓となった」とトロラヤ所長。
北朝鮮はロシアを中国のカウンターバランスとして使いたがっているため、関係正常化に興味を持っている。一部の専門家は、ロシアと北朝鮮が接近すれば、ロシアと中国の関係にマイナスの影響をおよぼすと考えている。しかしながら、懸念するまでもないようだ。ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センターのコンスタンチン・アスモロフ主任研究員はこう話す。
「中国は注意深く観察しているが、ロシアと北朝鮮の関係発展を積極的に妨げようとはしていない。中国政府はおそらく、自国の立場へのいかなる脅威にもならないことを理解しているのだろう」:2015年7月2日 ゲヴォルグ・ミルザヤン, ロシアNOWへの特別寄稿
ロシアをめぐる国際関係として私が把握していることは、次の通りです。
ロシアと中国の関係
もちろん共産主義を中国に教えたのは旧ソ連。そのソ連が経済破綻で緊張緩和・修正主義に走った時に、それを口汚くののしったのが中国で、逆にソ連からは教条主義だとののしられました。これはかつての共産主義国同士の「ののしり合い」ですが、今でもイスラム教国間で、世俗主義・原理主義・イスラム教ではない、などという元気のよい対立が続き、ののしり合いが終わる気配は、みられません。これは「自分にだけ正義がある」とする、一神教特有の傾向で、共産主義国・独裁国家もこの例から洩れません。
しかし、ソ連崩壊後、中国が軽蔑していたその修正主義に自ら陥って「緊張緩和」を装うも、今やその中国経済が崩壊寸前とは、笑うに笑えない落語(笑)。←「笑えない」と言っておきながら、笑っているぢゃ~ないか(笑)。
そのむかし、いろいろ文化を教えたはずの日本から遣唐使の廃止など「こんな腐敗国家とはやってられない」とばかり無視された中国、今では、けったいなイチャモンをつけて日本を攻撃して何とか政権を維持する始末の中国共産党。
教えてもらったほうからも、教えてやったほうからも、共に煙たがられる中国の体質に、何らかの本質的な問題があるのかも知れません。もちろんこのような不作法な集団(国家とは呼べない)を野放しにしておくわけにはまいりませんが、日本の一部の人には「中国の横暴を見て見ぬふり、何も言わないのが立派な人である」という妙な意識がみられますね(笑)。狡猾(こうかつ)に中国人がそれを利用しているとも知らずに、のんきなものでおぢゃる!
ロシアとEUの関係
ロシアは、ウクライナ領クリミア半島を武力併合した結果EUから経済制裁を受け、いま財政状況が悪化しているようです。永遠に天然ガスをヨーロッパへ輸出してボロ儲けできると思っていた当てがはずれ、今ではアジアへ顔を向けつつあります。中国に対しては、ある種の敵対感があるため、北朝鮮に目を付けていますね。
ロシアと北朝鮮の関係
- 韓国が、中国とアメリカの間にあって鍵を握っていると信じているものの、誰が見てもそれは「危険な瀬戸際外交」に過ぎません。
- 同様に北朝鮮が、中国とロシアの間にあって鍵を握っていると信じているものの、誰が見てもそれは「危険な瀬戸際外交」に過ぎません。
- かくのごとく、南北朝鮮半島両国は、似たもの同士でおぢゃりまして、「身を滅ぼす瀬戸際外交」にしか生きる道筋を見いだせないようです。
- ウクライナ領クリミア半島の併合(2014年3月)で多くの国から経済制裁され、ロシアルーブルとロシアがその輸出に頼っていた原油価格の下落が重なり、深刻な財政状態にあるらしい。政府関係部署での大量解雇などありましたね。
- シリアの空爆に始まってISとの決定的な対決を選んだ(ロシア機が2015/10/31にエジプトで爆破墜落したのは、当初ISの犯行とは認めたくなかったけれども、いよいよISのテロと断定した)。この結果、シリア問題では、ISを破滅させる方向では米ロが一致したのはいいとしても、アサド政権をどうするかについては依然として食い違っていて、どうも気になります。
- 国家ぐるみの薬物疑惑。WADA 世界アンチドーピング機構がロシアの組織ぐるみの薬物問題を公表(2015年11月09日)、国際陸上連盟がロシア陸上競技連盟へ暫定資格停止処分(11/13)、来年2016年のブラジル(リオデジャネイロ)五輪へのロシアの出場が危ぶまれています。これに関連して、金沢マラソンで走ったロシアのウガロフに参加資格のないことが判明し、せっかく優勝したのに記録が抹消され(11月15日)、さいたま国際マラソンへ出場予定のロシアのアルヒポワ(ロンドン五輪女子マラソン3位)が走る前に参加資格を喪失(11月15日)。