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「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑨

2022-11-23 15:16:31 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑨

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

環境経営士Ⓡのホームページは「環境経営士」で検索をお願いします。

又はhttps://www.compact-eco.com/ で検索をお願いします。

                              

第1節 エネルギーを起点とした産業のGXの続き

鉄鋼

  • 水素還元製鉄等の革新的な技術開発・社会実装を加速するとともに、OPEXの抑制も図りながら、                       省エネや電化を含む製鉄プロセスにおけるエネルギー転換に繋がる設備投資を促進

 

自動車

  • 2035年までに新車販売で電動車100%を目標に、多様な選択肢を追求。蓄電池の大規模製造拠点の                       国内立地推進、電動車の購入・インフラ整備支援、中小サプライヤー等の前向きな業態転換支援など、                       エネルギー構造転換に向けた取組を推進
  • トランジション・ファイナンスの推進、水素・CR燃料の普及拡大、熱プロセスの脱炭素化、ストックで                    のCO2削減等を進める

 

運輸

  • 国際海運2050年カーボンニュートラル実現に向け、水素・アンモニアを燃料とするゼロエミッション船の                   技術開発支援を行いつつ、普及に向けた国内生産基盤を強化するとともに、IMO(国際海事機関)での議論を主導
  • 2030年SAF10%使用の他、水素航空機コア技術等の脱炭素化に係る新技術の開発・導入を促進
  • 鉄道資産の活用や沿線地域が連携する形での再エネ導入、燃料電池鉄道車両の開発・導入を推進

 

住宅・建築物、インフラ

  • 2030年以降の新築住宅・建築物のZEB/ZEH水準の省エネ性能確保に向けた規制の強

化を行う

  • カーボンニュートラルポートの形成に向け、新技術導入のための実証事業等を進める
  • 革新的建設機械による建設時の省エネ、公共事業での省CO2に資する建設材料の活用を促進

 

食料・農林水産業

  • 「みどりの食料システム戦略」に基づき、調達から生産、加工・流通、消費までの変革を推進し、持続可能な                 生産と消費を通じた新たな市場を国内外に創出し、日本発の新たな国際協調につなげる

 

CCS (「Carbon dioxide Capture and Storage」の略であり、CO2の回収、貯留を意味します。)

  • 2030年までのCCS事業開始に向け、法整備を含めた事業環境整備を進める

 

ネガティブエミッション

  • 低コスト化や省エネルギー化に向けた研究開発とともに、産業化につなげるための初期需要創出やボランタリー                カーボンクレジット市場における導入拡大を促す

(大気中からCO2を取り除くことによって、過去に排出した大気に蓄積されたCO2を回収し、場合によってはオーバー                    シュートを調整することが可能かもしれない。このような大気からのCO2削減技術をネガティブエミッション技術                (Negative Emissions Technologies: NET)とよぶ)


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑧

2022-11-13 15:09:08 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑧

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

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第2章 炭素中立型社会に向けた経済・社会、産業構造変革

  脱炭素の実現と同時に、日本経済の成長・発展を実現していく必要。現在のエネルギー

 需給構造を転換することに加え、産業構造も大幅に転換していくことが重要

  • 脱炭素の実現

   マクロ的なGHG削減目標の達成

例. 2030年の削減目安 産業部門 38%削減 業務部門 51%削減

  • 経済の成長発展

 成長と分配の好循環について、分配の原資を稼ぎ出す「成長」と次の成長につながる「分配」を

 同時に進めることが、新しい資本主義を実現するためのカギ。

 

-新しい資本主義実現会議より

第1節 エネルギーを起点とした産業のGX

⚫2050年カーボンニュートラルに向けては、国内外のビジネス環境(国内のインフラ制約、設備投資、

 国内外の規制等)、国内外各産業の市場規模を踏まえて、脱炭素手段の需給バランスや競争関係・

 補完関係の変化を見極めることが重要

⚫ クリーンエネルギー分野における国際的な大競争を勝ち抜けるよう、水素・アンモニアなどの成長が

 期待される分野において、投資の予見可能性を確保し、大規模な投資を引き出す

 

水素・アンモニア

  • 早急なサプライチェーン構築、導入拡大、商用化に向け、既存燃料との製造・輸送・貯蔵に要する                      コスト差を踏まえた支援措置と貯蔵用タンク・パイプライン等の共有インフラ整備を合わせて進める                     ための詳細検討を行う                   
  • 水素・アンモニアの新合成技術や、水素の発電分野における実証、運輸部門におけるインフラ整備、                     アンモニア高混焼・専焼バーナー等の技術開発・実証等を進める

 

洋上風力

  • 洋上風力産業ビジョンの策定による投資の呼び込みや、プロジェクトの案件形成を加速化により、                        国内需要を創出・育成する
  • アジア市場を中心とした海外市場を獲得するため、国際連携や国際標準化を推進

 

蓄電池

  • 液系LiB電池の生産能力を強化し、2030年に我が国企業全体でグローバル市場において600GWhの                       製造能力確保することを目標に、海外市場でのプレゼンスを再度拡大。2030年頃までに、全固体電池を                    本格実用化し、我が国が技術リーダーの地位を維持・確保
  • 国内市場では、2030年までに、蓄電池・材料の国内製造基盤150GWhの確立を目標に、蓄電池の                         製造能力拡大や、定置用蓄電システムの普及に向けた基盤整備を進める

 

原子力

  • 供給途絶の危機にある技術・サービスの継承やデジタル技術の活用等によるサプライチェーン・技術・                    人材維持の取組を支援
  • 高温ガス炉や高速炉等の革新炉の世界標準の獲得、国際プロジェクトにサプライヤが効果的に参入できる                   ような戦略的チーム編成、海外規格の認証取得や海外勢との案件マッチングを通じたサプライヤのビジネス                   機会創出を支援

カーボンリサイクル

  • 天然ガス火力や工場等の低濃度(10%以下)のCO2分離回収技術の早期確立に向け、低エネルギーでの                    分離回収を可能とする革新的な素材開発やシステム技術等の実証を推進
  • CO2を用いたコンクリート製造や、セメント製造プロセスの脱炭素化について、技術開発によるコスト                      低減、ライセンス事業を通じた国内外への販路拡大、国内・国際標準化やガイドラインを通じた付加価値の                  明確化等に取り組む
  • SAF(持続可能な航空燃料)、合成メタン、合成燃料、グリーンLPGの普及拡大に向け、製造技術の開発、                   サプライチェーンの構築、必要な環境整備を進める
  • カーボンリサイクルプラスチックの普及拡大のための資源循環を確立するための社会基盤を構築。
  • バイオものづくりでは、バリューチェーンの段階それぞれのプラットフォーム技術を確保したプレーヤーを                      育成し、付加価値の源泉を握る

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑦

2022-11-03 15:02:02 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑦

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

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クリーンエネルギー戦略など直近国家戦略の動向

クリーンエネルギー戦略 中間整理 (概要)令和4年5月 経済産業省

⚫ 2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス排出量46%削減という二つの野心的な

 目標に向け、グリーン成長戦略、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、パリ協定に基づく

 成長戦略としての長期戦略を策定し、今後の進むべき方向性を示してきた。

⚫ クリーンエネルギー戦略においては、成長が期待される産業ごとの具体的な道筋、需要サイドの

 エネルギー転換、クリーンエネルギー中心の経済・社会、産業構造の転換、地域・くらしの脱炭素化に

 向けた政策対応などについて整理。

⚫ また、今回のロシアによるウクライナ侵略や電力需給ひっ迫も踏まえ、今後進めるエネルギー安全

 保障の確保と、それを前提とした脱炭素対応に向けた対応も整理する。

 

第1章 エネルギー安全保障の確保

ロシアによるウクライナ侵略を受け、G7各国はロシアへの制裁強化に向け共同

歩調。ロシアからの石炭・石油輸入のフェーズアウトや禁止を含む、ロシア産エネ

ルギーへの依存状態から脱却することをコミット

⚫ 3月22日、東京電力・東北電力管内において、初めて需給ひっ迫警報を発令。

事案の検証と供給力確保、電力ネットワーク整備等の課題への対応が急務

⚫ 短期的な脱ロシアのトランジション(移行)、中長期的な脱炭素のトランジションに

向け、「再エネ、原子力などエネルギー安保及び脱炭素効果の高い電源の最大限の活用」など、

 エネルギー安定供給確保に万全を期し、その上で脱炭素の取組を加速

 

エネルギーの今後の方向

  • 資源 燃料 ・化石燃料のロシア依存度低減 ・燃料供給体制の強化 ・レアメタルの                              安定供給体制強化 ・メタンハイドレートの商用化に向けた技術開発や、国内海洋における資源確保
  • 電力の 安定供給 ・リスクを踏まえた供給力の確保 ・電源確保のための市場整備等 ・需給ひっ                        迫時の実効性ある需要対策
  • 省エネ・ 燃料転換 ・省エネ投資促進 ・ヒートポンプなど熱利用の高効率・脱炭素化 ・住宅・                         建築物の省エネ規制の強化 ・電動車・インフラの導入促進
  • 原子力 ・再稼働の推進等 ・バックエンド対策(放射性廃棄物の処理処分と原子力施設の廃止措置の                      ことです。) ・研究開発、産業基盤の強化
  • 再エネ ・再エネの最大限導入に向けた取組 ・地域間連系線の増強 ・デジタル化による系統運用の                       高度化 ・蓄電池・DRの推進
  • 水素・ アンモニア ・大規模サプライチェーンの構築 ・既存燃料とのコスト差・インフラ整備を                        踏まえた支援 港湾 ・カーボンニュートラルコンビナート・ポートの構築推進 CCUS ・2030年までの                   CCS事業化に向けた事業環境整備(国内法整備、 政府支援策等) カーボンリサイクルの技術開発や実用化の推進

 


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑥

2022-10-22 12:58:25 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑥

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

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ファイナンスを巡る動き

⚫ 2015年に、気候変動の情報開示に関するグローバルな要請を受け、民間主導の気候関

連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が発足。

⚫ また、年金・生保、アセット・マネージャー(投資家から集めた資金を不動産投資によって

 運用する人)、銀行、損保等の金融機関がネットゼロ加速のアライアンスを形成。賛同機関は、

 資金供給先の排出削減をコミットし、削減計画と進捗、実績を公表。

気候関連財務情報開示義務化の動き

⚫国際会計基準(IFRS)

TCFDの枠組みに従い、既存のサステナビリティ関連開示基準を統合し、IFRSに盛り込む方向で検討

 が進展。

 英国と日本は

英 国  • 2022年4月を目途に、会社法において大手非上場企業も含めてTCFDに基づく開示を義務化

      する見込み

日 本  ・2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、2022年4月開始の

      東証プライム市場に上場する企業に対しTCFD又はその同等の開示を義務化

GFANZ (Glasgow Finance Alliance for Net Zero)

✓ 2021年4月設立の金融イニシアチブ。年金・生保、アセット・マネージャー、銀行、損保のアライアンス

 を束ね、2050年ネットゼロ実現の加速を目指す動き。元イングランド銀行総裁マーク・カーニー、

 マイケル・ブルムバーグが共同議長。

✓ 11月3日、GFANZの参加金融機関は450以上、その金融資産合計は130兆ドル越え。これら主要な

  金融機関こそが今後30年で必要とされる100兆ドルを提供できると発言。賛同機関は、ネットゼロ、

  2030年までの半減にコミット。賛同金融機関は5年間の詳細な削減計画を毎年公表することになる。

✓ 主な賛同機関:バンクオブアメリカ*、Citi * 、HSBC * 、ブラックロック* 、第一生命* 、ロックフェラー

  基金* 、三菱UFJG、SMBC、みずほFG、アセットマネジメントOne、野村HD、DBS銀行(星)、ハナ銀行(韓)


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑤

2022-10-13 14:59:00 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑤

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

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海外企業の動き(サプライチェーンの脱炭素化)

⚫ 製造業においても、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指して取り組む

 グローバル大企業が現れ始めている。

⚫ デジタルを活用し、サプライチェーン上のCO2排出量を可視化するサービスも活発に。

米・Apple:2030年までにサプライチェーン脱炭素化

  • 2020年7月、2030年までにサプライチェーンも含めたカーボンニュートラルを目指すと発表し、                        サプライヤーがApple製品の製造時に使用する電力についても2030年までに再生可能エネルギー
  • 100%を目指す、との目標を掲げた。
  • この要求に応じると宣言したサプライヤーは2020年7月時点で計71社。このうち国内企業は、                          半導体関連製品を供給するイビデン(株)や、液晶画面のシートを製造する恵和(株)など、計8社。

 

独・BASF:(150年の歴史を持つ世界最大の総合化学メーカ)

全製品のカーボンフットプリントを提供

2020年7月、製品の原材料調達から出荷までの温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)を算出し、

 顧客への提供を開始すると発表。

  • 2021年末までには、全製品について、カーボンフットプリントのデータを提供できるようにする予定。
  • BASF社の製品を用いて最終製品を製造するメーカーにとっては、これらのデータを用いることで、                      自社製品のカーボンフットプリントを算出することが容易となる。

 

各社の排出量削減目標(2050年カーボンニュートラル)表があり(このメルマガには

表・リストは載せていません)

本リストは各社HP等を参考にし、事務局にて作成。CNの定義・範囲は企業によって異なり、ネットゼロ、

カーボンゼロ等の宣言企業も含む。

目標年が2050年以降や不明な企業、明確にCNの実現を目指すことに言及していない企業は含んでいない。

(2021年12月時点で確認できたものであり、網羅的なリストとなっていない可能性があることに留意。)