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負けない生き方⑥

2017-11-06 07:00:10 | お話
負けない生き方⑥


🔹羽生、私は今日まで将棋を続けてきて、

1つのことに対して10年、20年、30年と同じ姿勢で、同じ情熱を傾け続けられるのが才能だと実感しています。

それでも、長い間やっているとどうしても浮き沈みっていうのはあるんですね。

例えば、朝起きて今日はちょっとしんどいなぁとか。

瞬間的なものなら無理してでもできるでしょうけど、

本当の長い歳月となると、

どうしても上がり下がり、ばらつきが出てしまう。

ですから、あまり前のことを振り返らないでやっていくことが、

長く続けていく上では大切なことなのかなとは思っています。

🔸桜井、 "いま" ですよ、 "いま" 。過去どうのこうのって言うより、やっぱり "いま" でしょうね。

"いま" っていうのはすぐ過ぎていくものだけど、

羽生さんは "いま" を丁寧にしているんじゃないですか。

他の棋士に比べて、たぶん羽生さんは1番丁寧に将棋を指しているんです。

そして、普段の日常の中でも丁寧にご自分の日を生きているから、

30年以上も強さを維持し続けていらっしゃるんだと思います。

🔹羽生、今日は編集者の方から、「自反尽己」というテーマをいただいていますが、

つまるところは、自分にできることを常に精いっぱいやっていくしかないと思います。

結果はどうなるか分からないですけど、

その時、その時に自分なりのベストを尽くすこと。

それでどうにもならないこともありますが、

その時はまた、その起こった出来事に対応していく。

そういうことが大事ではないでしょうか。

🔸桜井、羽生さんの場合は、将棋というものを自分で経営なさっているわけですよね。

経営責任は全部自分にある個人商店であって、そこがすごいところなんです。

いい会社に入ってもサラリーマン根性でやっている人は自立できていないけど、

羽生さんは自己経営、全部自分の責任でやっている。

そういう人は何があっても人のせいにしないし、できない。

自己責任に徹しています。

🔹羽生、確かにそうかもしれません。

🔸桜井、いま自己責任ということを言ったけれども、

僕はね、

いいことがあったら他人がしてくれたこと、

悪いことがあったら全部自分がやったことだ

と思うようにしているんです。

これまでたくさんの人を指導してきて、そう実感するようになりました。

だからこれは上から学んだことじゃなくて、下の人から学んだことですよ。

そういう考え方は損だと思って皆やらないんです。

でも僕は、損したほうが面白いと思う。

損得で言ったらら明らかに損。

普通の人だったらこんなバカやらないよなってバカやって、自分を落としてみるのが好きなんですよ。

どんどん、どんどん上り詰めていくっていうのは自分の性に合わないから、自分でわざと落とすんです。

そういう原点を忘れないためにも、

僕は駐車場に入ったら必ず落っこちているタバコの吸い殻を拾うんです。

それは良いことをしようという良心で拾うんじゃない。

ホームレスさんの気持ちになって自分を律するため。

浮かれそうになる自分を叱って、自分に反(かえ)るためともいえるでしょうね。

🔹羽生、そういう実践はとても大切なことだと思います。

まさに自反ですね。

🔸桜井、そういうのを習慣づけていると、どこかで助かるんですよ。

いいことばかりやってやろうとすると病気になる。

でも、そういう普通だったらやらないバカなこと、

面倒なことをやってあえて自分を落としてみると、

あとは上がるだけ。

だから、僕はあまりスランプとかがないんですよ。

世の中を綺麗にするためとか、そういう良心を入れないで、ただ自分を落としでくる。

そうして自分の原点に戻って、

またやるべきことを精いっぱいやるんです。

僕はそういうことを生き方の根底にしてきました。

🔹羽生、きょうも2時間半ご一緒させていただき、

大変心に残るお話を聞かせていただいてありがとうございました。

以前、桜井さんが、どうしたらそんなに強運にならるかと聞かれて、

「運は掴むものじゃなくて、運に選ばれるんだ」

と答えていらっしゃいましたが、

その意味がきょうわかったような気がします。


・おしまい・

(「致知」10月号 桜井章一さん羽生善治さん対談より)