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肥宝館 -貧すれば丼する-

【和歌山 和歌山駅】 井出商店「特製中華そば(850円)」

和歌山ラーメン井出系の総本山へ

ラーメンファンの間で『和歌山ラーメン』というと、新横浜ラーメン博物館が呼称した影響もあって、「車庫前系」と「井出系」の2系統に分類するのが一般的だ。前者は1940年に和歌山市の高松地区で髙本光二氏が創業した屋台「丸髙」を祖とする中華そばで、豚骨醤油のスッキリとしたスープが地元で広く親しまれている。

そして後者が、今回訪れた「井出商店」の生み出した濃厚豚骨スープのラーメンだ。車庫前系に比べ井出系は和歌山県内では少数派だそうだが、井出商店が新横浜ラーメン博物館に出店したり、メディア露出もあって認知度が高いため、井出系こそ和歌山ラーメンという誤解を生んでいる部分もある…とは地元の方のお話。

尤も、車庫前だ井出系だといった呼び名も、県外で定着したものではあるが。もう少し能書きを垂れると、井出商店は1953年に初代・井出つや子氏が屋台から創業した。当時は醤油味の澄んだスープで提供していたそうだが、2代目の井出紀生氏が試行錯誤を繰り返し、豚骨を乳化させた、現在の形となる濃厚な一杯に昇華した。

店舗はJR和歌山駅から歩いて6分ほど。駅の西側を南北に走る国体道路沿い、田中町交差点に建っている。こじんまりとした店内は、カウンター9席とセンターテーブル6席の計15席。麺メニューは「中華そば」の一本勝負で、チャーシュー増しの「特製」や、麺大盛、別皿提供の「味付煮玉子」や茹でた「玉子」を追加していくスタイルだ。

また、和歌山のラーメン店では定番のサイドメニュー「早ずし」も提供している。正体はサバの押し寿司で、これを食べながら着丼を待つのだそうだ。今回オーダーしたのは「特製中華そば(850円)」。10人ほどの行列が出来ていたものの、スタッフの人数が多く回転も非常に速いので、並びはじめから着丼までは10分ほど。

獣臭の残るスープは、豚骨と鶏ガラを10:1でブレンドし、強火で丸1日炊いたもの。こうすることで骨の随からゼラチンが溶け出し、スープと脂を乳化させトロリとした仕上がりになるそうだ。醤油のカエシは控えめで、円やかな飲み口に仕上がっている。そこに合わせるのは中太のストレート麺。小麦の香り良くスープとの相性も抜群だ。

そして幾重にも重なったバラ肉のチャーシューは、トロトロの仕上がりで麺に絡みつく。タレの味が強過ぎないので、肉の旨味を存分に楽しめる。ほか、歯ごたえあるメンマ、刻みネギ、そして和歌山ラーメンでおなじみの梅の花を模った蒲鉾が丼を彩る。濃厚にして後味はサッパリ。さすがラー博を湧かせた一杯である。ぜひ一度!

<店舗データ>

【店名】 井出商店
【住所】 和歌山県和歌山市田中町4-84
【最寄】 JR阪和線「和歌山駅」西口徒歩6分

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