食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

アランドロン・ラストメッセージ

2018-09-23 06:59:22 | 日記

昨晩、何げなくBS- NHKをつけると、「アランドロン・ラストメッセージ」なる番組が放映されておりました。 アランドロンと言えば、ベタに、映画「太陽がいっぱい」を思い浮かべます。 南イタリアのサンタンジェロを舞台に、彼演じる野心家の若者が、資産家の友人を殺害して、成りすまし、大金と友人の恋人を奪い取ろうとする内容でした。 映画史に残るどんでん返しのラストが、照りつける太陽に包まれ脳裏に焼きついております。 この映画を初めて観たとき、ヨットが港町に近づく場面で、「町は海から見るとなんときれいなのだろう」と驚いたものです。 まさにアランドロン = 太陽がいっぱいですね。 アランドロン出演の有名な(ほとんど有名ですが)映画に、「山猫」があります。 イタリア独立運動のさなか、シチリア島の没落貴族を描いた内容です。( 同時代を背景にした漫画に「母を訪ねて三千里」があります ) 面白いことに、日本とイタリア、まったく別の場所で、江戸幕府倒幕運動とイタリア独立運動という同じような歴史現象が起こっております。 当てはめるには無理がありますが、「山猫」では、薩摩・長州等の倒幕勢力に翻弄される江戸幕府側の大名、の立場が描かれております。 将来の展望がなく、ある時代の消滅を描く映画でして、三島由紀夫の滅びの美学にも通じる気がします。 事あるごとに述べておりますが、主演の公爵が述べる「すべてを維持しようとすれば、すべてを変えなければならない」というセリフが大好きです。 いろいろな事象・現象に当てはめられますものね。 監督はビスコンティ、彼自身、アルファロメオで有名なミラノの貴族ビスコンティ家の出身です。 映像の美しさはピカ一ですが、とても長く、ガリバルディなどある程度歴史背景を知らないと退屈します。 この連休、アランドロン映画に懐かしさを抱かれたなら、「地下室のメロディー」「サムライ」といった代表作を観られるのがよいかもしれません。 もちろん、「太陽がいっぱい」を筆頭に。