「朝5時に迎えに行くね!」いよいよその日が来た。
元気なうちにいつか登ってみたいと思っていた「山」 。
山歴数十年のTチャン69と夫のシゲチャン75が誘ってくれた。
二人の山仲間の最高齢者は69から始めた女性(83)だという。
「65ならまだ間に合うかな。。」普段全く歩いていない。。。。
隣の家までの300mも歩きたくなくて軽トラで行ってしまう。。。
ましてや金曜日は一週間の疲れがピークに達する木曜の翌日だ。めずらしく不安がよぎる。
幾つもの不安事項をTチャンに報告するが6/25日を見送ると今年の予定は付かなくなるときっぱり言われて
(よし、行こう。限界突破!!) 目指すは1912m富良野岳。途中で挫折しても凌雲閣の温泉が待っている。
前日に装備持ち物確認。「衣類に綿のものはダメ。パンツも綿ならはかなくていい。日本手ぬぐい。水1L。弁当。。。」
「ないものは貸すから大丈夫」と言われたが、捨てずにしまい込んでいたあれこれで間に合った。
靴は二人の山仲間の人が貸してくれた。ストックはシゲちゃんのお父さんが亡くなる前に使っていたものを借りた。
車の中で珈琲とサンドイッチ食べて7時40分凌雲閣横の登山口を出発。「始めの30分は辛いからゆっくりね。」「はい」
ウグイスが横の藪で鳴いている。ふう、、もうずいぶん歩いた。。。2時間くらい経ったかと思えば。。まだ30分だった。
毎朝連続テレビ小説と火野正平の心旅ダラダラ見てる間にこんなに歩けるのか、、、時間軸がひっくり返る。。。
安定した次の一歩を確保するためにひたすら足下を見て歩く、、、景色見る余裕なし。顔を上げるとめまいがした。
渡されたキャンディを1個舐めたら解消。ゴロゴロの石から雪の斜面に変わり、、次はいっそう急な山肌を
大きな石の間をすり抜け、またぎ、よじ登ってひたすら前に進む。ふう、、だんだん力が失せてきた。。。
「シゲちゃん!ひわさんシャリギレーーー!!」口笛吹きながら軽々と前を行くシゲちゃんにTチャンが叫ぶ。
そこで急遽モグモグタイム。昼に食べる予定のおにぎり2個食べたらぐんぐん力が湧いてきた。へー?ほお!!
キュウリの漬物かじって、トマト食べて、梅干ししゃぶる。二人はバナナだけを食べている。
又歩き始めの30分がきつい。「あとどのくらい?」って聞きたいが、怖くて聞けず。
そのうち雲の中に入り雨粒が落ちてきた。
「このまま進むと気温が下がり体温奪われるけど、あと1時間で分岐点。どうする?」シゲちゃんが聞いてくれた。
(1時間!!そこからさらに富良野岳山頂目指すのか。。無理無理無理、、すでにふくらはぎパンパン)
「二度と来たくないって思わないように今日はここで引き返したいです!」と積極的に下山を希望。
「分岐点まで行くと視界が開けるんだけどねー!」Tチャンはそれを私に見せたくて連れてきてくれたのに。ごめん。
花の写真撮る口実で休み休み歩いて3時間、やっと半分か、、いつものメンバー(83歳含む)なら山頂で昼食だとさ。無言。。
帰り道は雪の斜面が融け出してさらに緊張したが12時前に下山。凌雲閣の温泉が心底身体に沁みる。
ここは初心者コースだから又来ればいいよ。二人は余裕綽々。69、75でこんな風になれるのだ、、、
何せ去年85日北海道一週踏破を成し遂げた二人だ。足下にも及ばず。子供だましのチャンチキオケサ(意味なし)
Tチャンは20年前乳がんの手術後、体力をつける為に山に登り始めた。心臓の持病もある。常に私の希望の光だ。
一応この日は人生最大の限界突破記念日と成る。明日から1日1回隣の家まで歩こう。歩きたい。歩けるかな。。。。
しかし、なんでまたうっかり、こんな私を天下の富良野岳になど誘うことに成ったのか。。。。
いつも私を観察しているTチャンが大丈夫って言うから大丈夫なんだな、と自分よりTチャンを信じた。。。
翌日は身体中が筋肉痛だった。次の日の朝まで続いた。そして身体は緩やかに回復し、気のせいか行く前より何かが安定した。
「新しい筋肉の芽が育つのかもね♪」Tちゃんが言った。
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