昨日、日本東洋医学会の九州支部会で大分に来ました。いい天気で会場からは大分湾がきれいでした。
看板はマイナーな感じですが、会場である大分県医師会館の中は立派でした。
専門医貧乏2か月ぶりのブログ更新で皆さんには死んだかと思われている人もいるかもしれません。しかしながら今年は精神神経医学会と東洋医学会の専門医更新年で、更新条件の精神科600点、漢方専門医100点の点数取りに東奔西走しておりました。メインの産業医を退職してからも、安価な仕事の原稿書きに追われたり、6つに渡る学会出席や専門医の更新。肩書作りにお金と時間ばかりかかり無駄な時間が過ぎて、ブログもFBも停滞していました。先週は大分と佐賀に行きましたが紅葉も観ずに帰りました。サンフラワー号を見ただけです。
昨日ランチョンセミナー乾先生のテーマです。とっても役に立ちました
末期ガンの悪液質と漢方統合医療でもガン患者さんがカヘキシー(悪液質)になったら助ける治療が困難になってきます。それこそ麻薬などの鎮痛剤でQOLをアップすることしか作業が無くなりホスピスで死を待つばかりとなってしまいます。まるでガンが毒を出しているような感じで、食欲がなくなり気分は憂うつで、体はきつく筋肉はやせ細り脂肪は溶け、目だけが輝く、そういった様相となります。しかしそういった状態でも漢方が役に立ちます。
ガンの三大漢方薬ガン患者さんに投与する漢方は通常は証を取っての漢方治療というより病状で漢方を処方する医師が多いかと思います。体がきつく憂うつが強いなら補気剤の補中益気湯。肺がんなどの呼吸器系のガンと食思不振なら人参養栄湯。抗がん剤の血球減少などの副作用強く気力が落ちた患者には十全大補湯を使います。転移が起こるとそれこそ悪液質の玄関前になりますので、がん転移防止に十全大補湯を使うことが多くなりました。いずれにせよこれがガンの3大漢方薬です。
悪液質にならないためにはもっと考えた漢方治療が必要です。ハッキリ言ってガン患者さんに六君子湯を使うことも多くなりましたが、昨日の講義は六君子湯の効き目が科学的に証明されたお話しで十分勇気を与えられました。六君子湯は心身症にも良く使う漢方です。胃の幽門部を開き胃の内容物が十二指腸の方に落ちやすくなるので、胃のもたれが無くなります。また逆流性食道炎の患者さんにも良く出します。
グレリンを助けよ!!グレリンは食欲を増価させ胃腸の機能を高める物質です。がん患者さんはこのグレリンの分泌と機能が抑制され食欲が低下しています。その低下の原因がガンが出すサイトカインです。
カヘキシーすなわち悪液質にならないためにはまず食欲を落とさないことです。食べなければ免疫力が弱り最終的にはガンに負けてしまいます。カロリーが少ないと脂肪や筋肉が解けてさらに悪液質にベクトルが傾きます。
もう一つの悪液質の原因というか主たる原因ですが、ガンそのものが出すサイトカイン(炎症促進物質)が食欲低下を強く来すということです。家族が食べなきゃダメと思いガン患者さんに必死に食べさせようとしますが、患者さんも食べなくてはと思っていても食欲がでないのです。ちょっと食べただけでお腹が一杯となり食べれないのです。すべてはグレリンの低下のせいなのです。
六君子湯のダブルアクショングレリン増強へのダブルエフェクトというかデュアルアクションというか、六君子湯はグレリン分泌低下と感度アップがありガン患者さんの食欲を増進します。
今から紅葉を見にゆきますので、今日はこれにて失礼します。つづきは明日アップします。