●6月5日(月)13-00 神谷町<ワーナー・ブラザース映画第2試写室>
M-064『ジーサンズ*はじめての強盗』" Going in Style " (2017) Warner Brothers / New Line Cinema / Village Road Pictures
監督・ザック・ブラフ 主演・モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン <96分・シネマスコープ> 配給・ワーナー・ブラザース映画
リタイアした高齢者友人3人が、不当な年金カットと生活苦から、銀行ギャングをするという話は、前にもあったが、この邦題を<ジーサンズ>にしたのは、エラい。
せっかくの原題を下手でヤボな邦題にするという例はヤマほどあるが、この<ジーサンズ>というのは、いかにもユーモアもあって、われわれ日本人にはいい味の邦題。
ま、「マダムと泥棒」や「現金に手を出すな」のように、高齢者による犯罪映画の傑作は多いが、とかく悲哀を伴うテーマなので、そこはユーモアの味つけが決め手になる。
このアカデミー助演男優賞受賞の3人の名優を揃えたというキャスティングが、とにかく嬉しいのだが、とくにマイケル・ケインは、若い時には、あの007の役の最終候補だった。
モーガン・フリーマンは「ショーシャンクの空に」でも悪事で獄中の男だったし、もうひとりのジーサンのアラン・アーキンも「ポイント・ブランク」などでクセものを演じた。
この老優3人を組ませたことで、もう充分に面白いクライム・ムービーなのだが、そこは後期高齢者ギャングなので、ドジは踏むし、ピストルは落とすし、息切れでオタオタした足取り。
という自分だって、あまり笑っていられない3老人のギャングなのだが、映画はコメディなので、FBI捜査官のマット・デイロンも先輩たちには敬意を表し、警察側の連中もボケなのだ。
面白いのは、覆面で銀行に押し入るのだが、その時に被っていたマスクが、マイケルがフランク・シナトラ、モーガンがサミー・デイビス・Jr、アランがディーン・マーティン。
つまり、同じワーナー・ブラザースの60年代の傑作「オーシャンと11人の仲間」のパロディ・キャスティングが、ここでは仮装ギャングとして銀行を襲う、という映画ギャグ。
襲撃された銀行に居合わせた少女が、マスクの男たちを見て・・・「シナトラ???」という辺りが、いかにも時差があって、<ジイサンズ>のギャグの古さが侘しくなる。
あの傑作は「オーシャンズ・11」のジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンのトリオで3作ほどシリーズリメイクされたのは、つい最近だったが。
たしかに、もういまやシナトラの名前すら化石化してしまっているのだから、このギャグに笑えるのにも、年期が要るのだ。ザマア見ろ。
■渋いサード・オーバーのヒットがファールラインを転々でツーベース。 ★★★☆+
●6月24日より、新宿ピカデリーなどでロードショー
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