《内容》
小蔵屋を営む老女・お草は、最近くさくさしている。近所に安さと豊富な品揃えが売りの和雑貨店・つづらが開店し、露骨な営業妨害を仕掛けてくるからだ。しかもつづら出店の裏には詐欺まがいの不動産売買の噂があって、草はほうっておけなくなるが…。コーヒー豆と和食器の店を舞台に、老女が街で起きるもめ事を解決するコージー・ミステリー。 (紹介文より)
―――どこで買っても、たわしはたわし、ごまはごま
―――一人に慣れるのは寂しいことだが、一人でいられないというのもまたつらいことだ
―――長い歳月の中で、記憶は形を変えてしまう。ある感情は膨らみすぎ、またある感情は疑われる。あるいは、なかったことにさえなるかもしれない。だから、間に合うなら確かめてほしかったのだ。これからの自分のために。