瀝瀝(れきれき)散歩道

人の働き方をサポートする株式会社キャリア・ストラテジー代表、𠮷本惠子のブログです。

熊本スピリッツ〜ふらっと旅に出る・熊本編

2019-02-06 13:24:49 | 株式会社キャリア・ストラテジー

福岡に出張しました。
帰途は博多から新幹線に乗り(九州新幹線です!)
熊本に1泊、熊本空港から羽田に戻ることにしました。




駅には大河ドラマで注目されているマラソンの「金栗四三」とくまモンの大広告が!
「気力・体力・努力」金栗四三の好きな言葉ですが、
なんだか、朝霞の教室で聞いたような、、、



今回の熊本の旅は
明治期の建築物「旧五高」の記念館、外国教師館、日本のハンセン氏病の患者のために貢献した
宣教師、リデル、ライト女史の記念館、熊本城、夏目漱石、そして小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の熊本での足跡を追うことです。

ところが、熊本の地震で多くの建物が被害を受け、未だ復旧はしていないことが熊本に着いてから分かりました。
結局、見られるのは熊本城の工事中の外観と小泉八雲の旧居だけでした、、、残念!





さて以前に島根県松江に出張した時に、小泉八雲の旧居を訪ねました。
小泉八雲は「怪談」で有名ですが、実は「日本を愛し、日本人の心を究極まで研究した」ジャーナリストです。
(松江の記事もご覧ください↓)

日本の面影〜教える人の品性
https://blog.goo.ne.jp/huizihuizi_huizi/e/e1a173752d757f5ac5e67a494520f949

松江中学で英語の教師をしていた八雲ですが、日本の神話の故郷、八百万の神の住む島根、そして松江がとても気に入っていて、
熊本への移動は乗り気では無かったと言います。

ただ、給料が安すぎて、家族が食べていくのもやっと、ということで
大河ドラマでも注目されていますが、嘉納治五郎が校長を務めた旧五高(現熊本大学)で英語の教師をすることになりました。




島根のことを描いた「日本の面影」は実は熊本で完成しました。



↑小泉八雲の書斎 書くときは机と椅子で、休むときは座布団の上に座っていたそうです。
↓小泉八雲の旧居の梅。綺麗に咲いていました。




しかし当時の熊本は西南戦争で焼け野原。日本の神社仏閣、民話や神話を愛したハーンは熊本を見て落胆します。
八雲の求めるものが熊本には無かったからです。
しかし、五高で教えていくうちに、八雲は熊本の人たちの「心」、内面に焦点を当てていきます。
八雲を取り巻く教員たち、嘉納治五郎に倫理学の教員、秋山胤永(あきやまかずひさ)武家出身の生徒たち。
彼らには共通した何かがあるのです。


それは
簡易・善良・素朴 

これを「熊本スピリット」と呼ぶそうです。
下記はハーンが五高生を前に「極東の将来」と題した講演から採られたもので、熊本スピリットについて言及しています。

――Well, in making these remarks to you, ――representing not merely my own ideas,
but those of wiser and better men than I can ever be,
――I thought of what has been called the Kyushu Spirit.
I have heard that simplicity of manners and honesty of life were from ancient time the virtues of Kumamoto.
If this be so, then I would conclude by saying that
I think the future greatness of Japan will depend on the preservation of that Kyushu or Kumamoto spirit,
――the love of what is plain and good and simple, and the hatred of useless luxury and extravagance in life.

さて、諸君にこんなこと――単に私自身の考えだけでなく、私のとうてい及ばない聖賢たちの考え――を述べているうちに、
私は「九州魂」といわれているものについて考えてみた。
私は質素な習慣と誠実な生活は古来熊本の美徳であったと聞いている。
もしそうであるなら、将来、日本が偉大な国になるかどうかは、――九州魂あるいは熊本魂、――す
なわち 素朴、善良、質素なものを愛して、生活での無用なぜいたくと浪費を嫌悪する心を、
いかにして持ち続けるかどうかにかかっているのだと申し上げ、結論にしたい。

つまりは
「生活様式の素朴さと生活の誠実さは、古くから熊本の美徳だったと聞いている。
もしそうであるなら、日本の偉大な将来は、生活中で単純、善良、素朴なものを愛し、不必要な贅沢と浪費を憎む、
あの九州スピリットとか熊本スピリットといったものをこれからも大切に守っていけるかどうかによる」

熊本スピリットは今年から熊本県の道徳の教科書に取り入れられたそうです。


さて、改めて「極東の将来」を読み直してみると、、
現代にも十分通じる、的確かつ刺激のある文章です。
120年以上前の明治時代を振り返ることでなく、未来を見つめて前進しなければならない、と強く感じさせる提言です。

極東の将来 全文 http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kumamoto/bungaku/yakumo3.html

日本を愛し、日本人の心を鋭く見つめ、日本に帰化した小泉八雲
素晴らしいジャーナリストであり、教育者であったと思います。

彼が書いた本は、外国人が日本を理解するのに大変役立ったと言われています。
特に八雲の書いた最後の一作『日本―ひとつの解明』は日本人の精神史について詳しく書かれており
第2次世界大戦中、アメリカのウェストポイント、陸軍士官学校で日本人を研究するためのテキストとして研究されたそうです。

さて、小泉八雲旧居を訪れ、そこの館長さんと意気投合。
いろいろ話をしていたら、夕刻になってしまいました。

そこで、歩いてもいけますが、ホテルに戻るために熊本市電に乗ってみました。



レトロです。でも味わいのある市電。
観光客と市民で大混雑でした!








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