Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

宇宙へのいざない5ー六本木ヒルズ星空観察会

2009-11-01 | 宇宙へのいざない
六本木ヒルズ屋上において、星座の観察会が開催された。この観察会では、天
文学研究者が望遠鏡や双眼鏡を持ち寄って、市民に開放するというもの。この日
は、あいにくの曇り空であったが、25倍の望遠鏡で木星を観察した。多くの参加
者は木星の衛星を観察するのは、はじめてのようであった。東京のど真ん中でも
星の観察はできるのだ。私も、木星と3つの衛星を見て「おっ、すごい!」と思
わず歓声を上げた。

 天文学者と話す機会があった。天文学はあくまでも科学的に探究することが中
心となる。純粋な科学の対象である。これに対し、海洋は幅が広いとらえ方があ
り、レアメタル鉱物資源や、水産資源、生活に必要な水資源と人間生活に大きく
関わっている。また科学的な探求の対象でもある。複雑な系をなしている。

 また、ある研究者は、木星の衛星に生命が存在している可能性があり、現在木
星の衛星にある物質を用いて人工的に生命を作る実験をしているという。地球の
生命誕生の実験は?と尋ねると、熱水鉱床あたりが生命誕生の可能性があるが、
全く生命がいない状況を再現できず、実験が難しいという。

 惑星を持つ恒星は300ぐらい発見されているが、地球の大きさ程度の惑星は1つ
しか発見されておらず、生命の可能性があるかどうかも明らかになっていない。

 水星、金星、地球、火星は太陽系惑星の中で鉄が多い。それは、鉄が一番安定
した元素の中で重いものであり、太陽に引き付けられたからだという。地球も中
心部は鉄でできている。火星はその中心部分と同じ大きさで鉄がむき出しになっ
ている状態であるという。

宇宙への誘い4ーアインシュタインの宇宙定数

2009-10-31 | 宇宙へのいざない
 光までの距離が変わると色が変わる。色がどう変化するかを見てどのくらいの距離かを測定できる。

 ハッブルとヒューメイソンが銀河が遠ざかる速度を分光観測で測った。銀河の距離はパッブルの法則に従うと、遠い銀河ほど大きな速度でわれわれから遠ざかっている。

 ハッブルの法則は宇宙の膨張をよく説明できる。どの銀河も四方へ広がるように見える。宇宙は膨張するのである。

 しかし、このハップルの法則が出る前は、宇宙は停止していると考えられていた。1916年、一般相対論であるアインシュタインの方程式で、静止宇宙の解を得るためにλを導入した。一方で、1920年フリードマンとルトールは宇宙は膨張しているということを唱えたが、アインシュタインは認めなかった。

 しかし、ハッブルの法則が発見されてから、アインシュタインは「人生最大のミスであった」と語ったという。しかし、この宇宙定数こそが、”宇宙膨張は加速している”という近年の発見(ダークエネルギー)を予言していたのである。

宇宙への誘い3ー天の川銀河の形

2009-10-29 | 宇宙へのいざない
 宇宙にはたくさんのちりがあるのをごぞんじだろうか?,チリによって星間減光の波長依存性があるが、可視光よりも赤外線で小さい(チリがじゃまをして見えにくくするが,赤外線で見るとよく見える)。そのため、天の川銀河は川の様な形状をしている。しかし、赤外線で見ることで実際の天の川はいて座の方向を中心にしておわん形をしていることが分かったのである。

 現在,遠赤外線で天の川の観測を行っている。銀河系の中心にある変光星を灯台にして中心までの距離を測定するために、1364 個のミラ型変光星を発見し観測が行われた。その結果、銀河系中心までの距離は2万7千光年であることが明らかにされた。
(写真は天の川銀河=Wikipediaより)

宇宙への誘い2ー銀河は独立しているのか?

2009-10-27 | 宇宙へのいざない
 1920年までは、セファイドによる銀河の距離決定はできていなかった。たとえば、球状星団はわかるのであるが、渦を巻いた天体はどこにあるのか、マゼラン雲は星がなく100分の1の大きさであるが、それらの大きな違いはわからなかった。
 
 渦巻星雲の大きさは2つの考え方があり、大論争がおこった。銀河はそれぞれが別であるのか,それともそれぞれの銀河は一つの塊の中に一緒に存在するのかどうか。しかし、ハッブルはこの論争に終止符を打った。

 セファイド変光星をM31,M33星雲で発見したのである。そのことで本来の明るさがわかり、それぞれの渦巻星雲を調べると90万光年であった。これをきっかけに銀河は独立しているのである,ということを証明した。ほとんどの渦巻き銀河は、数100km/s以上で遠ざかっていることもわかった。

宇宙へのいざない1ー宇宙の科学での大発見”セファイド変光星”

2009-10-27 | 宇宙へのいざない
 六本木ヒルズで開催された、東京大学宇宙教育研究センター研究員による宇宙へのいざないの講義を拝聴した。

 天の川は400年前にガリレオガリレイにより発見された。ちょうど今から400年前の1609年だ。
今日は天の川の中心まではどのくらいなのか、それを明らかにした科学者たちの歴史、科学史を紹介する。

 地球から星までの距離は三角測量による方法によって、年収視差で距離を測ることができた。
1兆km=1光年の1000倍まではこれでわかるがそれ以上はわからなかった。
この方法では、天の川の全体像はわからなかった。

 1920年になって標準光源を利用する方法が女性科学者ヘンリッタ・リーヴィットにより開発された。
それは、次のような原理である。

 「同じ明るさだったらと奥にあるほど暗く見える。これと同様に本来の明るさが分かれば、みかけの明るさから距離を求めることができる。例えば、星の明るさは、シリウスは太陽の23倍、ベガは50倍、ベテルギウスは13400倍であるが、地球からの距離が遠いので、1.5等級、0.0等級、0.4等級である。」

 しかし、距離がわかるためには、本来の明るさがわかる星がないといけない。リーヴィットが発見した星は周期的に膨張収縮を繰り返し、明るくなったり暗くなったりする。小マゼラン雲のセファイド変光星だ。1700個のセファイド変光星があることがわかり、周期が長い星ほど,本来の明るさが明るい星であることを発見した。このことから、周期が長い星は宇宙の灯台として使うことができる。さらに、みかけの明るさとの差を求めると距離が推定できるのである。(つづく)