Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

フロリダ大学教授マイク・スプランガー博士とカレン・ブライラー女史による東京講演

2009-12-24 | Weblog
 フロリダ大学教授マイク・スプランガー博士とカレン・ブライラー女史によるシンポジウムが小浜に引き続き東京海洋大学で行われた。
 スプランガー博士からは、シーグラントカレッジによる地域との連携について、ブライラー女史からは、4-Hセンターにおける体験型海洋教育、並びにCOSEEフロリダにおける学者と教師恊働によるマリンサイエンスワークショップについて話をいただいた。

 シーグラントカレッジについては、1966年に設置され年間予算として約60億円が連邦政府から、そしてほぼ同額が州政府自治体、企業から出資されている。合計120億円で全米の400人のスタッフが33の大学に所属していること、シーグラントのエージェントの役割は、「ゴム長をはいた地方役人」として地元重視の取り組みをおこなうことであり、地域住民や企業などとの合意形成を図ること、新しいプログラムを開発し、地域の実情に会わせた海洋教育を実施することなどである。また、海洋教育は海洋リテラシーが基本となっている。このような地域密着型の教育が認められ,政府予算が毎年増加している。

 一方、カレン女史からは4-Hセンターは体験型教育を重視しており、カウンティー(自治体)ごとに一人のエージェントを配置する。このエージェントは体験型教育活動を実施するための人材である。ライフスキル(生きる力)は,その20%が体験型教育によって身に付くものであり、体験型教育の重要性は認識されている。ちょうど、ジョンデューイが唱えていることを100年間にわたり、取り組んでいる。日本で言えば、青年の家にあたる。4-Hセンターはランドグラントカレッジの中に配置されているものである。すなわち、大学機関として、機能している。日本の独立行政法人の所属とは異なる。

 COSEEフロリダとは、フロリダ海洋教育センターである。こちらは全米科学財団が年間1億円の予算を出して、11大学に設置されているCOSEEに配分されている。おもに、海洋教育を推進するための機関である。2002年に設置された。この大きな目的が、研究者と教育者を結びつけ,より良い学校教育や社会教育を実施するためのもうけられたものである。海洋リテラシーもこのCOSEEによって作成された。さらに、マリンキャンプでは研究者は自分の研究をどのように教育に結びつけるのか、またどのようにわかりやすく伝えていくのかといった教育学的な知見を高めるとともに、教育者は科学やその方法について理解することを目的として実施されている。

 このような講義のあと、参加者からは、シーグラントカレッジのような役割を持った機関が日本にも必要では?、海洋大学に期待したいとの意見をいただいた。