Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

道頓堀川を初訪問 ーなんと,あの水生植物〇〇〇〇が・・・ー

2024-09-11 | 水圏環境教育
JTB教育旅行事業部からの招待
JTB大阪教育旅行事業部からの招待を受け,大阪羽曳野市と道頓堀川を訪問した。JTB大阪は,昨年度から鉄団子を使った浄化実験を開始した。もともとはGO GREEN CUBEを立ち上げた故山下崇さんがはじめた取り組みだ。昨年急逝した後,山下さんが地元の高校生,羽曳野市,大阪市の行政とともにおこなっていたGO GREEN PROJECTをJTBが継続拡大して取り組んでいる。GO GREEN PROJECTでは,全国各地から使い捨てカイロを回収して無毒の添加剤を加えてプレスしたCUBEを製造する。このCUBEには鉄と炭が入っていて水中で電気を発生させながら水中の有機物や有毒な硫化水素などを鉄イオンに吸着させることができる。故山下さんの要請を受けて,本研究室が技術の監修を行っている。現在,GO GREEN PROJECTの権利を譲り受けがGO GREEN JAPAN(愛知県海部郡 あまぐんと読む)がCUBEの製造・販売を行っている。

世界遺産の墓山古墳の浄化活動
世界遺産墓山古墳の外堀の浄化活動のために大阪府羽曳野市を訪れた。世界遺産であるにもかかわらず,大阪にある古墳群の外堀の水は悪臭が酷いという。理由は生活排水が流れ込むからだ。多くの古墳は宮内庁が管理していて誰一人立ち入ることが出来ない。しかし,水質管理の法律もなく,生活排水や農業用水は垂れ流しである。関心が低い上に,排水を垂れ流す,悪臭が酷くなる,の悪循環で今や古墳の水質は改善されないままになっている。

JTBのKさんのご案内で,まず最初に立ち寄ったのが羽曳野市役所。市役所は墓山古墳の北側に位置していて外堀の堤の斜面すぐ横に建てられていた。墓山古墳は4世紀に作られたものだという。

世界遺産のすぐ横に市役所があることに意味を感じ取った。地元の人々にとって中心的な場所なのだ。市役所の裏側の外堀の堤の斜面を登ると市役所の職員の駐車場と教育委員会の展示室があった。その先に,周囲をフェンスで囲まれた外堀が見えてきた。臭いは全くしなかった。ただ,水の色があざやかな緑色。世界遺産の管理をしているYさんに案内され,墓山古墳の堤を1周しながら外堀の様子を観察した。外堀の周囲にはびっしりと個人の家が立っていて,生活排水を流している塩ビパイプが各家から突き出していた。見た感じでは生活排水が流れ込んでいないようだ。農地が南側にあった。農業用水を地下水から組み上げていた。それが外堀に流入していた。水自体はきれいである。魚の稚魚が泳いでいた。しかし,生活排水も流れ出している。農薬や肥料が流入している可能性がある。
桃山学院中学高校のS教諭にもインタビューした。昨年から故山下さんとともに世界遺産墓山古墳外堀浄化プロジェクトをスタートした。スタートする前には,相当な臭いが漂っていたようだが,今年になって全く臭いがしなくなったという。臭いが取れたという地域住民から感謝の言葉を頂いているという。しかし,水面の水草がなくなり,今年は植物プランクトンが大増殖しているという。今年は水量が少なく,表面水温は30度を超えている。鉄を入れたことで植物プランクトンが増えたかどうかが,プランクトンの同定によって明らかになるのではないか。二酸化炭素を大量に吸収している可能性がある。
(補記)
最初に目に止まったのは,大阪は古墳が多いということだ。大阪平野の平坦な空間に高さが40mほどの小高い山が点々とある。ちょうど山口川沿いの黒森山の団子山のような大きさ。その山は鬱蒼とした森林で囲まれ一見すると古墳だと思えない。なぜ古墳が多いのか。なぜ,わざわざ古墳を作ったのか。何らかのメリットがあるために作ったのであろう。人間が住みやすいような快適になるように作ったものだと思う。単なる天皇をたてまつるためのものではない。おそらく,平和の象徴としての古墳なのだ。大和民族というが山とともに生きることに和らぎを感じとる人々だったのではないか。そうすると山と川と海に恵まれた場所は平和な場所ということか。大祓の祝詞「大倭日高見の国を平穏な国と定め、」とあるように日高見の国とは森川海に囲まれた平穏な国なのである。

初めて訪問した道頓堀川
GO GREEN PROJECTのもう一つの取り組みが,道頓堀川浄化作戦だ。JTBでは,修学旅行生の教育メニューとして,CUBEを使って道頓堀川の浄化活動を計画しているという。道頓堀川のイメージはどうだろうか。私の中では,ドブ川で悪臭を放ち落水したらお腹を壊す,というイメージであった。初めての道頓堀川,意外と水が綺麗であった。大変な驚きだった。道頓堀川のテラスの一番の下流側になんとバイカモが生息していた。バイカモとは湧き水のようなきれいで透明な水が流れないと生息できない。そして,バイカモの周囲に付着した珪藻をボラが美味しそうに食べていた。閉伊川でも余り見ることが出来ない。閉伊川のサケのふか場から流れ出しているクリークや,閉伊川支流の長沢川で見かけたことがある。

さらに,さらにアマモがポツン,ポツンと見えていたのだ。地元の方々もわかっていたかと思うが,参加してくれた桃山学院高校の生徒さん地元の生徒さんも初めての事実であると驚いていた。道頓堀川の水面をよく見るとちぎれたアマモが点在していた。

継続して観察することで,必ず新しい事実が生まれてくる。また,修学旅行生の参加によって道頓堀川のイメージは大きく変わるだろう。これかの活動の中心になってくれる高校生たちに期待を寄せた。

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