Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

オンライン海洋対話「国境を越えた海洋リテラシー:2030アジェンダを加速するための海洋リテラシーイニシアチブへの官民の関与」にスピーカーとして参加

2024-08-26 | 水圏環境教育
ブラジルの海洋活動家であるパトリシア フラタード さんから 海洋対話「国境を越えた海洋リテラシー:2030アジェンダを加速するための海洋リテラシーイニシアチブへの官民の関与」にスピーカーとしてお誘いを頂いた。

2006年からはじめた海洋リテラシーの教育研究活動について紹介した。海洋リテラシー教育は,専門家の抵抗と,一般市民の無関心はとても強かったが,しかし,この18年で少しづつ前向きに変化しているように感じている。

海洋リテラシー推進の鍵は,専門分野と一般市民をどのように結びつけていくかだ。その意味では,港区ではじまった海街コミュニティ・スクールは,大変な意義がある。専門知識を有する人材が集う大学が港区にあること,同時に一般市民が港区の沿岸域をなんとか活用したいと願っていること。この両者をうまく融合させることによって,港区は海洋リテラシー教育が盛んな場所になりつつあると可能性を感じている。

以下のようなやりとりをモデレーターのダイアナ・ペイン教授と行った。
質問 1:海洋教育者と海洋リテラシーの専門家は、災害防止や異常気象の影響を受けた沿岸地域の復興に関して政府とどのように協力できるでしょうか。
Q1:海洋教育者とoceanリテラシーの専門家は、ボランティアとして活動し続けています。これは素晴らしい取り組みであり、コミュニティの発展とレジリエンスの向上に重要な役割を果たしています。

 しかし、学校教育では通常科目として扱われておらず、一般の人々に海洋リテラシーを職業として推進できる海洋リテラシーの専門家はいません。日本政府や国民は興味を持つ機会がありません。

  自分の経験、家族やコミュニティに何が起こったかについてお話します。
私は,北日本の東北地方東京から600km離れた小さな漁業の町で生まれ育ちました。
 なんとか海洋を通して地域を活性化させようと思い,水産高校の教員になりました。養殖,生態学を専門としています。感じたことは,漁業の町であるにも関わらず,ほとんどの市民は海洋に興味を持たないか,専門性が高く一般人は立ち入ることができない壁があった。
 海洋リテラシーを向上させるための工夫を感じ,2006年,東京海洋大学に移籍して,2006年8月のNMEAの参加の後,海洋リテラシー教育専門家養成コース「水圏環境リテラシー教育推進プログラム」を文科省に提案していただき認められた。2011年に東日本大震災3.11が起こり,海岸線200kmの市町村が大きな被害を受けた。犠牲者は2万人を超えた。わたしの家族も危険に直面した。家を失い,九死に一生を得た。当時,日本政府,そして殆どの市町村は,十分な啓発活動をしていなかった。この津波被害で,海洋リテラシーの拡大の必要性を再認識し,継続して海洋リテラシー人材育成と教育研究活動に取り組んでいる。

質問 2:防災と沿岸レジリエンスの促進における海洋リテラシーの役割について、G20 のリーダーにどのような提言をしますか?

Q2:防災と沿岸レジリエンスの促進における海洋リテラシーの役割は非常に重要なトピックです。しかし、先ほど述べたように、海洋リテラシーを促進できるコーディネーターの役割を果たす,海洋リテラシーの専門家はいません。海洋リテラシーの専門家を養成し、配置する必要があります。これがG20にお願いしたいことである。

 直ちに,政府が動き出すのは困難であることは理解できる。したがって,政府の指示を待つよりは,自分たちで動き出そうと東京の都心の沿岸部に東京海洋大学海街コミュニティ・スクール Ocean Town Community School (OTCS)System を2023年に立ち上げ,地域住民,学校,民間企業,地方行政とともに地域で海洋リテラシー教育活動を行っている。

 すでに2007年にoceanリテラシー養成プログラムを立ち上げて毎年30人程度の認定証を発給し,数多くの海洋リテラシー教育を実施している。海洋リテラシー教育は,生徒一人ひとりエージェンシーの向上により,海洋の市民性を育むことが大きな目的だと考えている。その点で大きな成果をあげていると考えている。

 しかし,海洋リテラシーの専門職としてのポジションがない。そこで,OTCSの拡大と充実を図りたい。最終的に職業人として働けるポジションが設置されるようになることを願っている。


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