室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

ドラマ・リーディング in 三軒茶屋

2009-08-02 10:09:30 | Weblog
三軒茶屋のシアター・トラムで、林隆三&林真里花、父娘による“ドラマ・リーディング”があり、見に行きました。

演目は、《世界が緑色だった時(シェフのお話)》というタイトルで、アトランタ・オリンピック・フェスティバルの委嘱で作られた作品。代々、何世代にもわたる恨み、憎しみの連鎖から平和への解決の模索をテーマに書かれているという事で、11歳の姪も連れて行きました。

“ドラマ・リーディング”は、朗読の形式で台詞が語られるけれど、それだけではなく、演者の登場の仕方やライティング、モノローグなど、普通の演劇により近いので、単に“朗読劇”とは言いたくなかったんでしょうね。

薄暗い牢屋に居る老いた殺人犯(料理人をしていた)を、若い新聞記者の女性が訪ねて来る。何度も訪ねて来るうちに、様々な事が見えてくる。犯人は200年前に隣の親戚にロバを毒殺された家族の子孫として、5歳の時に、隣の従兄弟を殺すように父親に言われる。子供時代は一緒に遊んだ従兄弟なのに、親からの使命を受けて力を蓄え、料理人をしながら変装し逃走する従兄弟(ピアニスト)を追いかけ続ける。

ある時、レストランの常連となった従兄弟の皿のポテトに毒を盛ってとうとう殺害したのだが、それが他人だった事が判明する。犯人にとっては最早、当人でも他人でも良い、使命を果たしてウンザリしているのだが、度々面会に現れる女性記者は、実は間違って殺された男の娘で、出奔した父をやっと見つけたのだった…という設定。

本来なら父親を殺された恨みを晴らしたいところであろうが、食材や料理道具を持ち込んで、犯人と一緒に料理をする、というお話。

殺された父親が行方知れずで、探し求めていた父のシルエットを、もしかしたらこの殺人犯の中に求める…、までは行かなくても、縁のある人間として抹殺したくはなくなったのかもしれないなー、と思いました。

犯人は、結局どうなったのか? 女性記者に毒を盛られることは無いにしろ、死刑になったのか、そのまま牢屋暮らしなのか、などの結末は無く、ただ観客に投げかけただけで終わっているので、宙に浮いたモノを抱いて帰ることになります。タイトルの《世界が緑色だった時》のイメージも、日本とは全然違うアメリカの気候からきているそうで、想像の世界。想像の世界の部分が色々あることで、あまりシリアスでない、直接的ではないファンタジーっぽい空間になっていたのかもしれません。


隆三さんご一家とはご縁があって、ずいぶん長いおつきあいです。真里花ちゃんたちのピアノレッスンの出稽古に8年くらいでしょうか、伺っていました。劇団・円でだけでなく、声優さんとして、もはや“七光り”でなく色々と活躍しているのが、とても嬉しいです。それと、本当にお芝居が上手です。

本編の後、ステージ上で、隆三さん、真里花ちゃん、演出家、館長によるポスト・トークがありました。
ストーリーの解釈について、作者の内の一人で役者でもあるサム・シェパードについて、などの後、観客からの質問コーナーの中で、観客として来ていた江戸家子猫さんから「父娘の競演が羨ましい」という発言があって、隆三さんが照れながらも、とっても幸せそうで、ほんわかした雰囲気でお開きとなりました。観客も、みんな結局その場面が見たかったんだな、と思いました。

姪は、分かったのかどうか、よく分かりませんが、大人しくじっとしていられる年になったので良かったです。最後のファミリーな雰囲気は感じていたようでした。


せっかくチラシの緑の写真をアップしようと思ったのに、3日前からなぜか、MAC 2台ともメールが出来ず、携帯から送った写真を受け取れません。パソコンの末期的症状なのか? CATVのプロバイダーをちゃんと接続しないで、アドレスだけ残している方を使っているせいなのか? 何だかわかりません。

何とかせねば…。 何とかって?