ドナウ川の白い雲

ヨーロッパの旅の思い出、国内旅行で感じたこと、読んだ本の感想、日々の所感や意見など。

富山市街を散策する … 冬の北陸の旅 ( 4/4 )

2019年04月24日 | 国内旅行…冬の北陸へ

   富山駅南口を出て、路面電車(富山ライトレール)の1日券を買った。1回券は200円、1日券なら620円。市内を環状する路面電車に何回でも乗れる。

 今日の宿はビジネスホテルだ。ただし、駅前ではない。富山城のさらに南にあり、路面電車に乗って行く。ちょっと不便だが、そう広くない市街地を、路面電車の車窓から観光しながら宿へ行くというのも悪くないと思った。

 その路面電車は、JR富山駅の駅前ではなく、駅の構内のはずれから出ている。あまり見かけない構造だが、JRと話し合ってこういう構造にしたのだろう。雨や雪の日にも、乗りやすい。

 ( 富山駅の構内から出る路面電車 )

 車両はレトロな感じのものもあれば、最近、環境に配慮してヨーロッパのどの街にも走るようになった瀟洒なトラム風車両もある。そのばらばら感が面白い。レトロな車両の方も、もちろん低床・ワンステップ型である。

   ( 駅の構内から出てきた路面電車 )

 電車はお城を眺めながら走った。

 そして、富山駅から5つ目のステーションで降りると、ホテルはすぐだった。一応、温泉の内湯がある。小ぎれいで、安い。

 手荷物を預けて、いよいよ市内観光に。

        ★

 まずは、さっき電車でそばを走った富山城へ歩いて行った。

 大阪城を見なれている目には、いかにも小さなお城である。石垣の石も小さい。だが、姿が堀の水に映って、清らかですがすがしい。 

 

   ( 富山城と堀 )

 戦後、残っていた石垣の上に再建された。

 お城の中は「富山市郷土博物館」になっている。

 江戸時代、富山藩は前田藩の支藩で、10万石だった。そのせいで、明治以後もずっと、加賀100万石の城下町・金沢に対して、そこはかとない劣等感を持ち続けてきたという。そういう歴史の及ぼすニュアンスも、面白い。

        ★

 季節になれば、お城のそばから「松川遊覧船」が出る。

 松川沿いは、日本さくら名所100選の一つ。この遊覧船には、ずいぶん以前に乗った記憶があるが、改めて桜の頃の写真を見ると、麗しい。

 今は、季節外れで、船の清掃が行われていた。

  ( 松川沿いの遊歩道 )

 街を歩いていると、あちこちに雪吊りがあり、また灌木には冬囲いが施されている。

 手間暇かけているのは、木々を雪の重みから守るだけでなく、冬の風情ある景観として、街を飾るためでもあるらしい。冬には冬の富山がある。

 確かに、街に気品が感じられる。

   ( 冬囲い )

 ぶらぶら歩いたり、何度も路面電車に乗ったりして、富山駅前の名品店にも入ってみた。

  ( 路面電車 ) 

 下の写真の左手に自転車が並んでいるのが小さく見える。市民が自由に使えるレンタサイクルだ。

   ( 富山駅とレンタサイクル )

        ★

 空が晴れてきた。もしかしたら見ることができるかもしれない。

 富山市内から立山連峰を望む場所がある。市役所の展望台だ。

 今日、二度目だが、また市役所へ行ってみることにした。

 市役所の建物に入ると、中央フロアの一角に展望台へのエレベータがある。

 エレベータが降りてくるのを待っている間に、横に立つ市役所の職員らしき人に聞いてみた。「ここから、本当に立山連峰が見えるんですか」「晴れていたら、大パノラマですよ。今の季節は、しばしば見ることができます。そういうときは、我々も見に上がります」 …… 自慢げだった。

 ただ、既に午後も遅い。地上が晴れ渡っていても、3000m級の高山では霧で霞んで見えないことが多い。

 エレベータが展望台に着くと、完璧とは言えないが、見えた。なかなかの景色である。

 ごつごつしているのが、剣岳。 

    ( 剣 岳 )

 なだらかな山並みが、立山連峰だ。

 20代のころの夏、あのてっぺんの雄山に登り、ご来光を見た。 

   ( 立山連峰 )

         ★

 日が暮れるのを待ちかねて、居酒屋へ行った。

 冬の北陸は、居酒屋がいい。魚が旨い。

 最近、再放送だが、太田和彦という人の居酒屋探訪記を見ている。日本のあちこちの居酒屋を紹介する、「いい旅、いい酒、いい肴」という番組だ。

 この人、私と似た世代で、不思議なくらいあれこれの趣味・好み、感覚が一致する。旅が好きで、港が好きで、日本酒が何より好きで、それも必ず燗酒を注文する。肴の好みも一致する。

 全国の居酒屋を紹介する著書も何冊かあり、太田さんが富山駅付近で紹介しているのは、「あら川」。

 そこへ行ってみた。

 なかなか美味しかった。

 パリでは、ミシェランの星が付くと客が押し寄せるようになり、すると値段が上がり、やがて高いばかりで味が落ち、客が減り、経営者が代わって、ついには「ここは、昔、名店であった」と言われるようになる。

 テレビや本で紹介されても、謙虚にがんばってほしい。

        ★

 富山市を訪ねる以上、岩瀬地区に行くべきだが、海のそばは寒そうなので今回はやめた。

 昔、北前船の港町であった岩瀬は、富山市再生の取り組みのもう一つの象徴である。富山駅北口から、これも自慢のポートラムというトラムが出ている。

 いつかはわからないが、次に富山に来たときは、行こう。

         ★

 翌日は、高岡で降りて、高岡城址公園にある射水神社に参拝し、そのあと、金沢から特急で帰った。

 

     ( 射水神社 )

 

 

 

 

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