曇り時々晴れ、後曇り。一日、割といい天気だった。厳しい冷え込みも日中は収まっていた。
今日は遠出で青森市郊外の現場へ検査に出かけました。疲れる検査の後、「久々に、国際芸術センター青森を見てみようか。雪の状態も見ておきたい」と思い立ち、立ち寄って見ました。ま、検査した場所からはそれなりに離れてますが(笑)。
とかく最近のいわゆる”アート”はビデオ流したり音やら光やら出してみたりでなんだか退屈な余興みたいな印象で、この国際芸術センター青森でも主にソッチ方面の展示が主となっているようです。そういうの見るよりだったら、映画スターウォーズをぶっ続けで見続ける方がよほど芸術的だし、教訓も得られる、なんて思ってしまいます。
別に何やっても構わないのですが、ソッチ方面の作家さんでどうなの、と疑問を抱いてしまうのは、まだ自分で切ったり貼ったりしている分には「額に汗して」るからまだマシなのですが、そのうち名が売れてくると、切った貼ったすらしなくなって、工場生産みたいな状態になってしまうこと。作家の本分は自らの手で作品を作ることでしょう。マルセル・デュシャンのように思考こそ芸術である、とチェスに没頭し、芸術を放棄したと言われ続けながらこっそりと、「脳の中にある光景をそのままの状態で現実世界へ再現する」という驚くべき遺作を残してのけたのとは全く違っています。向いている方向性は全く違いますが私だって現代に生きている訳ですから「現代アーティスト」な訳です。よく分からないものをこしらえて、「これが分かったらあなたも芸術を解する高揚な感性をお持ちですよ」という馬鹿げた黙示録があまりに美術界を侵食しすぎている気がします。
話が逸れてしまいました。国際芸術センター青森をば。
有名な安藤忠雄氏の設計による建築で、完成当時、見学会で見に行った印象が強いです。あれから概ね十数年……、歳食いました(笑)。
森の通路を歩いて行くと、見えてきました。木の格子による通路は残念ながら手入れがおろそかになって今は通れません。ついでに熊さんの目撃情報もあり、危険地帯です(笑)。ちなみに冬なので熊さん達は冬眠中、特に気にせずどんどん進みました。
見えてきました。それにしてもかなりの積雪。
こんな雪庇が人に当たったら死人が出る、そんな途方もない雪庇です。
空間の切り方は何度見てもさすが、安藤さんと思えます。スパッと明確ですものね。そして、外壁の鋼板仕上げはメンテナンスをしているのでしょうか? 随分味が出ていていい感じです。こういうの、やってみたいです。
通路上の雪庇はなんとかしてほしいですね。それこそ当たったら死人が、というか私に当たったら私があの世行きです。ちなみに今日は特に展示など無いので来館者はそういないという判断かも知れません。
この窓の先に実は水盤があるのですが、残念ながら雪で埋まってしまっています。それでもこの外の引き込み方はさすがです。
ライブラリー。こういう部屋が私も欲しい(笑)。
久々に見た施設は割と綺麗に使われていますが、とにかく屋根雪が恐ろしかった。安藤氏は空間の構成・切り取り方・シンプルな意匠はさすがというしかありません。残念なのは、雪への対策が乏しいな、ということ。自然と格闘する建築とは申しましても、あの雪庇では大怪我、下手すれば死人が出てしまいます。そういう残念な部分は、雪庇防止のヒーターを設けるなど改善も可能です。
久々に見ましたが、デザイン・構成・細部の意匠は素晴らしいです。惜しむらくはもう少し「見たくなる」展覧会なりイベントなり開催して欲しいことでしょうか。
今日はいいもん、見させて頂きました