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🧠老年医学の権威が明かす「脳の若返り」メソッド SNSの活用法と“高齢者ならでは”の勉強法とは? 202206

2022-05-31 00:02:31 | 健康関連

老年医学の権威が明かす「脳の若返り」メソッド SNSの活用法と“高齢者ならでは”の勉強法とは?
デイリー新潮 より 220531  新潮社


 いつまでも健康でいたければ勉強することだ。堅い話ではない。好きなことや得意なことに取り組めば意欲が増し、脳の若さが保たれ、意欲的だから多くのことに積極的になる、という好循環が生まれる。老年医学の第一人者が教える健康長寿のための勉強法とは。

 ***
和田秀樹医師

 現代日本のキーワードのひとつに「人生100年時代」があります。
終戦後間もない1947年には、男性50.06歳、女性53.96歳だった平均寿命が、
それぞれ81.64歳、87.74歳(2020年調べ)まで延びたことからも、実感をもって受け止められているのではないでしょうか。

 しかし、一方で健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳(19年調べ)です。
平均寿命との間に男性で9年、女性で12年の開きがありますが、これは寝たきりになったり、だれかの介助が必要になったりする期間を指します。

 つまり,「人生100年時代」の実態は、必ずしも健康長寿に結びついていないのです。
言うまでもありませんが、なにより大事なのは健康寿命を延ばすことです。では、そのためになにをすべきでしょうか。有効な手立てが適切な勉強です。

 もちろん70代、80代と年齢を重ねてからでも勉強はできます。自信をもってください。ただ、あえて「適切な」と言ったのにはわけがあり、高齢者にとっての勉強では、勉強の定義を変える必要があります。

⚫︎実は側頭葉はそれほど衰えない
 かつて月刊「文藝春秋」で、『思考の整理学』で知られる外山滋比古先生と、定年後の勉強法をテーマに対談したときのこと。外山先生は開口一番「70代、80代が勉強なんてしてはいけない」と言ったのです。

 もちろん、高齢者は勉強しなくていいという意味ではありません。外山先生は、勉強の定義を変えるべきだ、と言っているのです。日本人は往々にして、勉強とは新しい知識を詰め込むことだと思っていますが、年を取ってからは、これまで蓄えてきた知識をアウトプットすることが大切だ、という訴えです。

 その当時、外山先生が実践されていたのは、週に3回ほど、それぞれ別のグループでディスカッションをし、言いたいことを言い合うという勉強法でした。

 脳の老化を予防し、脳を若返らせるために勉強する、という人が多いと思います。しかし、実は人間の脳、特に言語性知能をつかさどる側頭葉などは、年を取ってもそれほど衰えないことがわかっています。80年代に行われた少し古いものですが、東京都小金井市の住人への調査では、70代でも言語性知能は落ちていませんでした。

⚫︎前頭葉は40代から萎縮
 ところが思考や意欲をつかさどる前頭葉は衰えやすく、40代から萎縮がはっきりすることがわかっています。前頭葉の衰えが進むと、少し専門的な言い方になりますが、「認知的成熟度」が下がってしまいます。

 世のなかで起きることは、なにごとも白か黒かで判断できるものではなく、必ず中間のグレーゾーンがあるものです。しかし、認知的成熟度が下がると、どんなものごとも二分割して考え、グレーゾーンが許せなくなります。こうなると他人の意見を受け入れられず、ディスカッションも成り立たず、話は説教臭くなり、周囲から煙たがられてしまいます。そのうえ、こうした二分割思考の人は、うつ病になりやすいという指摘もあります。

 ですから、高齢になるほど、前頭葉をできるだけ萎縮させないための勉強が求められ、そのためにはアウトプットこそが重要なのです。70年も80年も生きてきたのだから、知識や経験はもう十分に蓄積されています。これからは新しい知識を詰め込むよりも、自分がため込んでいるものを、自信をもってアウトプットしていきましょう。

 勉強というと、日本人はどうしても、本を読んで新しい知識を吸収しようとします。もちろん、それも意味がないことではありませんが、それだけでは脳の若返りに、あまり役に立ちません。アウトプットすれば、相手から意見や反論も返ってきます。そこでディスカッションすることも、脳の活性化に有効です。

⚫︎インプットより重要なアウトプット
 アウトプットがなぜ重要なのか,記憶のメカニズムにからめて,もう少し説明しましょう。
年を取って、記憶力が低下した、と話す人は多いですが、そこには記憶のメカニズムへの誤解があります。というのは、70代くらいの人が経験する記憶障害の多くは、久しぶりに会った友人の名前が思い出せない、といった想起障害です。

 では、なぜ想起障害が起きるかというと、人間の脳は上書きされればされるほど、昔の記憶を引き出しにくくなるからです。年を取るほど上書きは増えるのに、インプットばかり重ねていれば、脳内に蓄積された記憶は想起されにくくなります。でも、アウトプットする経路を作ってやれば、想起しやすくなります。

 会社に通わなくなると会話する相手が減り、アウトプットの機会も減少しがちです。すると、せっかくインプットした知識が出てきにくくなり、記憶力が低下したと思い込み、自信を失ってしまう人がいます。しかし、アウトプットが中心の勉強をすれば、記憶の想起がうながされ、前頭葉が活性化するのです。

 こうした機会を増やすためには、会話仲間を作るといいです。それが難しければ、考えたことをSNSに投稿してみるのもいいでしょう。SNSでも反応が返ってくれば、ディスカッションもできます。そのときに大切なのが、「認知的複雑性」が高い意見を発信できるかどうかです。

⚫︎グレーゾーンを許容できなくなる
 先ほど認知的成熟度について述べましたが、つまりこういうことです。曖昧さをよしとして、グレーゾーンを受け入れることができるのが、「認知的複雑性が高い」といわれる状態で、そういう人が認知的成熟度の高い人です。

 しかし、年を取ると前頭葉の衰えとともに、認知的複雑性が低い考え方をしがちです。白と黒の間のグレーゾーンを考えられなくなってしまうのです。

 たとえば、いまなら「プーチン大統領は完全なる悪だ」という考え方しかできない人は、認知的複雑性が低いといえます。道徳的には、ウクライナに侵攻した悪人でしょう。しかし、経済を活性化してロシアに富をもたらした人物でもあります。このように人物や物事を多面的に見ることができる人ほど、話を聞いてみたいと思いませんか。

 そして認知的複雑性が低く、物事を二分割思考でしか捉えられない人は、味方だと思っていた人から少しでも批判されたりすると、たちまちその人を敵だと判断してしまいます。自分の考えが絶対だと思うあまり、異なる意見の人を攻撃することもあります。

⚫︎ルーティンの排除
 自分の思考や態度を見直したときに、こうした傾向があると感じられたら要注意です。残念なことに、テレビのワイドショーを見ていると、認知的複雑性の低い人ばかりがコメンテーターを務めています。テレビとしては、白か黒かはっきりと意見してくれる人のほうが、番組を構成するうえで好都合なのだと思いますが、それを「なるほど」と鵜呑みにしていては、脳が退化してしまいます。

 老年医学の分野での例を挙げましょう。その世界の専門家は長いこと「老人とはだいたいこんなもの」という見方をする人ばかりでしたが、私の大先輩の柴田博先生は、地道なフィールドワークを重ね、コレステロール値がやや高い人のほうが死亡率は低かったことなど、それまでの常識をひっくり返す発見をしました。鵜呑みにしないで常に疑う、という姿勢の大切さを教えてくれます。

 そのために大切なのは、ルーティンを排除することです。ルーティンとは、同じ著者の本ばかり読んだり、同じ新聞だけを読み続けたりすることで、そうしていても前頭葉は活性化されません。むしろ、自分からも異論が出るくらいの本を読んだほうが、前頭葉への刺激になります。

 たとえば、朝日新聞の愛読者が「正論」を読んでみるのです。論旨に納得しろ、と言っているのではありません。「ふざけるな」と反感を覚えるだけでも脳への刺激になります。その際、ぜひ反論を考えてみてください。その意見を友人に話すだけでアウトプットになり、すでに立派な勉強です。

 加えて言うなら、意見を表明するという他人との交流それ自体が、前頭葉の機能が低下するスピードを遅くし、脳や感情の若さを維持するために役立ちます。

⚫︎好きなこと、得意なことを
 勉強の定義を変えるという前提の話が、かなり長くなってしまいました。しかし、そこを押さえておかないと、肝心の脳の活性化につながらないのです。

 では、いよいよどんな勉強をするかですが、いちばん大事なのは、自分が好きなこと、得意なことに取り組むという点です。

 日本人の悪いクセに減点法型の発想があります。いまの70代、80代は、とにかく欠点をなくしなさい、という教育を受けてきた世代で、会社でもいろいろな業務で平均点が取れ、大きなミスがなかった人ほど評価されました。

 ところが現代は、ある事柄にすごく精通しているような、特化型の人が評価されます。
そのように時代は変わったのに、いまも減点法型の発想から抜けられず、会社を離れてからも、欠点を減らすための勉強をしてしまう人が多いのです。しかも欠点を減らすための勉強は、一般に難しいし、つらいし、やっていて楽しくありません。

 片や好きなことや得意なことなら,勉強していて楽しいし,能力を伸ばしやすいものです。

 たとえば、金属をあつかう商社に勤めていた人なら、金属について詳しいはずです。それを武器に、ロシアとの関係が悪化するとレアアースの入手が困難になってまずい、という話をするのもいいでしょう。ロシアは悪だから国際社会から排除しろ、と訴えるだけの人よりも認知的複雑性が高い話ですから、前頭葉への刺激になるし、周囲も「どういうことだ」と思って引き込まれます。

⚫︎最初のステップは「好きなもの」を振り返る
 ここが大事ですが、相手に「話が面白い」と思わせないといけません。他人と同じ話をしても、面白くありませんが、その人なりの経験や知識に基づいた話なら、面白く聞こえるものです。

 もちろん、会社での経験だけでなく、幼いころ絵を描くのが好きで、大人になってからも絵画については詳しい、という人なら、もう一度絵を描いてみてもいいでしょう。あるいは、美術史を勉強しなおすのもいいかもしれません。歴史好きなら、自分が好きな分野や時代について深め、自分なりの考えをめぐらせてみてもいいでしょう。

 いずれにしても、自分の人生を振り返って、なにが好きだったか、なにが得意だったかを、あらためて考えなおしてみることが大切で、それが最初のステップになります。

⚫︎何を始めるのにも重要な読解力
 ただ、その際も日本人の悪いクセが頭をもたげがちで、「自分の長所と短所を書いてみてください」と伝えると、短所ばかり書く人が多いのです。短所を洗い出し、埋めていく作業をしてきた人が多いからかもしれませんが、これを機にぜひ長所を探してください。

 たとえば、会社でKYだと思われてきた人も、裏を返せば人と違う考え方ができるわけで、短所もあらためて検討すると、長所になったりするのです。

 こうして自己分析を重ねた結果、好きなことや得意なことが見つかれば、それを勉強していけばいいのです。高齢になったら、あえてつまらないことや面倒なことをする必要はありません。その逆で、自分の欲望に正直になったほうがいい。欲望があればこそ人は自発性や向上心をもち、自発性や向上心があればこそ、行動に移せるからです。

 ただ、なにを始めるにも読解力は必要です。いまの70代前後の人は、日本人の中学生までの学力が世界一、二を争っていた世代。つまり、基礎学力は十分に身に付いているはずです。それでも自信がない人、アウトプットの際にうまく表現できないという人は、あらためて読解力を身に付けることをお勧めします。

 中学受験用の国語の問題集や、高校生向けの小論文の問題集に取り組むのがいいと思います。年だからうまく話せない、本の内容がよく理解できない、などとあきらめることはありません。基礎学力、読解力を学びなおせばいいのです。

⚫︎学者にエネルギッシュな人が多い理由
 さて、勉強して脳の若さを維持できれば、意欲が湧き、エネルギッシュでいられます。その証拠に学者は、スポーツをバリバリやっているわけでもないのに、元気な人が多いです。反対に、前頭葉の萎縮が進んでいる人は、意欲をどんどん無くしてしまいます。

 男性の場合、男性ホルモンの分泌量の低下についても注意してほしいです。特にその一種のテストステロンは意欲に深く関与し、なかでも集中力や判断力、好奇心などの高次精神機能に深く関わっています。だから意欲を維持するには、テストステロンの分泌量を保つことも欠かせません。

 そのためには、日本ではタブー視されがちな性的刺激が有効です。だから「年がいもなく」などと気後れしないで、女性のいる華やかな店でアウトプットを試みてもいいのです。

 身体機能が衰えると脳機能にも影響する、ということも、認識しておいたほうがいいでしょう。

⚫︎肉をよく食べて、日光に当たる
 意欲が失われると、家でごろごろと寝てばかりになる人が多いです。すると運動量が減って、身体機能が衰えていきますが、1日当たりの歩数が少ない人(5736歩未満)は、多い人(1万407歩以上)に比べて約3倍も、前頭葉が萎縮しやすいという研究結果もあるのです。

 もちろん運動は、気分を切り替えてメンタルの健康を保つためにも有効です。

 このように、勉強をして前頭葉を萎縮させず、脳の若さを保つことは、意欲を維持するためにはもちろんのこと、フレイルと呼ばれる心身の活力が低下した状態に陥るのを予防するなど、心身全体によい影響をもたらすのです。

 もうひとつ忘れてはならないのが、脳内の神経伝達物質のひとつで、「幸せホルモン」の別名もあるセロトニンです。中年期を過ぎると徐々に減少しますが、セロトニンが減ると気分が落ち込みやすくなります。現にうつ病の人はセロトニンの量が少ないのです。結局、セロトニンが減れば、勉強もままなりません。だから増やすために、肉をよく食べて、太陽の光に当たることが重要です。

⚫︎若者でも前頭葉を使えていない人も
 このように勉強を続けるためには、よく歩き、肉を食べ、日光を浴びるという、健康で長生きするための基本的な心がけが欠かせません。その結果、意欲が湧いて勉強が進めば、前頭葉が活性化されてさらに意欲が増し、活動的になってもっと健康になる、という好循環が生まれます。

 そもそも人間の脳は、一生のうちに全体の1割も使われません。せめてその1割を勉強などに使わなければ、老化に負けていくばかりになってしまいます。

 現実には、若者でも前頭葉をちゃんと使えていない人が大半ですから、気を付けていないと、認知的複雑性の低い考え方しかできなくなってしまいます。

 だからこそ、人も出来事も白と黒に単純に分けられるものではなく、間にグレーの領域があるのだという当たり前のことを認識し、答えは何通りもあるということを、肝に銘じてください。勉強を重ねながら、こうしたことを意識的に身に付ければ若者に勝てます。

 そうやって脳の若さを維持してこそ、人生100年時代に健康で長生きを実現できるのです。


◆和田秀樹(わだひでき)精神科医(老年医学)1960年大阪生まれ。東京大学医学部卒。
和田秀樹こころと体のクリニック院長、国際医療福祉大学大学院特任教授。高齢者専門の精神科医として30年以上、高齢者医療の現場に携わっている。『「人生100年」老年格差 超高齢社会の生き抜き方』(詩想社)など著書多数。

「週刊新潮」2022年5月26日号 掲載
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📆 【2022年6月の幸運カレンダー】一粒万倍日と吉日が重なる今月最強の幸運日は?

2022-05-30 23:19:00 | 📚 豆知識・雑学

【2022年6月の幸運カレンダー】一粒万倍日と吉日が重なる今月最強の幸運日は?
  暮らしニスタ より 220530


「一粒万倍日」など毎月ある幸運日、知らずに逃していませんか?“運が動く日”を知ってアクションを起こし、幸運を呼び寄せましょう。

この『幸運カレンダー』では、毎月の幸運日と気をつける日をお知らせ。ぜひチェックしてくださいね!


◆2022年6月の幸運日は?
・6月9日(一粒万倍日・天一天上(てんいちてんじょう)・とづ・十死)
・6月10日(一粒万倍日・天赦・百事よし・たつ・仏滅)
・6月12日(金星と天王星が合)
・6月16日(太陽と土星が120度・太陽と海王星が90度)
・6月17日(大安・月徳日・婁(ろう))
・6月21日(一粒万倍日・とづ・十死・金星と冥王星が120度)
・6月23日(大安・のぞく・神よし)

それぞれの幸運日の意味を知ってアクションを!
6月の幸運日を、日を追いながらご紹介していきましょう。

⚫︎6月9日(木)は、ひと粒の種が万倍にも実るという一粒万倍日であり、争いをつかさどる天一神が地上を離れて天に戻る16日間の初日である天一天上の日。物ごとは何であれスムーズに運ぶはず。
 しかし、この日は諸事が閉鎖される「とづ」と、ことごとくによくないことが起きやすい十死とが重なります。つまり一粒万倍日と天一天上の吉意が小さくなってしまうのです。
 とはいえ慎重に暮らせば幸運を得ることもできるはず。とくに積極的にケチケチすることで金銭面が安定するでしょう。倹約精神を第一に考えると吉日になるというわけです。

⚫︎6月10日(金)は、一粒万倍日と、天の恩恵があるため何も障害がないという天赦日、さらには全ての凶運を打ち消すとされる百事よし、そして十二直という暦で最吉日と言われる「たつ」とが重なり、最強の幸運日となります。
ショッピング、会合、旅行など何をやっても上々の運びとなるでしょう。
 ただし、この日は仏滅。気になる方は新しいプランを開始するのだけはやめたほうがいいかもしれません。

⚫︎6月12日(日)には、金星と天王星がぴたりと重なります。独自のセンスを発揮でき、魅力的に輝ける日です。メイクをちょっと変えたり、インテリアにひと工夫すると、誰もが羨ましがるようなあなたになれるはず。

⚫︎6月16日(木)、太陽と土星が120度になります。目上の人から可愛がれるでしょう。誠実に努力を続けてきた結果なのです。礼儀正しく接すれば嬉しいアドバイスももらえそう。
 ただし、この日は太陽と海王星が90度になるため、根拠のない自信を持つのは禁物。信頼を失います。あくまでもあるがままの自分でいてくださいね。

⚫︎6月17日(金)は、大安にして、今月の福をつかさどり、何をするにも吉と出る月徳日(げっとくにち)。また古代中国の天文学に基づいた二十八宿では婁(ろう)に当たります。
 婁は契約、取り引きのスタート、造園などに喜びが訪れる日。ローンの契約をしたり、副業を始めたり、あるいはガーデニングをするのにはふさわしいと言えるでしょう。

⚫︎6月21日(火)は、ご存知、一粒万倍日。そして金星と冥王星が120度になり、西洋占星術では熱烈な愛が生まれるという吉日。
 ただし十二直では「とづ」という諸事万端が閉じてしまう日であり、十死という凶日でもあります。宝くじを買ったりギャンブルを楽しんだりすると損失が出る恐れがあるので気をつけて。

⚫︎6月23日(木)は、大安、のぞく、神よしと吉日が3つ重なる大吉日。「のぞく」とは十二直ですべての凶事が取り除かれる幸運な日です。また神よしは不浄なことさえ避ければ吉という日。
 とりわけ神事祭礼には最適です。神社仏閣などのパワースポットに足を運んでお願いごとをすれば、きっと天が叶えてくださるはず。


◆2022年6月の気を付ける日は?
・6月3日(三隣亡・不成就日・大明)
・6月11日(不成就日・大安・大明・のぞく)
・6月19日(不成就日・母倉)
・6月20日(不成就日・大安・十死)
・6月27日(不成就日・とる・百事よし)
・6月29日(太陽と木星が90度)

 6月の本当に気をつけたい日はこの日!
気を付けたい日にも触れておきましょう。最悪の日はたった1日しかありません。

⚫︎それが6月29日(水)。太陽と木星が90度になるため、西洋占星術では贅沢をしてお金をなくす日と考えられます。
 また,だらしない生活で自己嫌悪におちいってしまうかも。心を引き締めておきたい日です。
 6月29日(水)以外は、確かに気をつけたいけれど、吉意を持つ日が重なるため、救いがあります。

⚫︎たとえば6月3日(金)。不始末が隣近所にも及ぶという三隣亡、そして物ごとが実らないとされる不成就日ですが、太陽の光が地上界の隅々まで照らされるという大明(だいみょう)の日でもあります。三隣亡、不成就日の凶意は打ち消されるでしょう。

そのほかの不成就日である6月11日(土)、6月19日(日)、6月20日(月)、6月27日(月)はいずれも吉日と重なっています。

⚫︎6月11日(土)は、大安、大明、それに百凶を除くと言われる「のぞく」と、

⚫︎6月19日(日)は天が万物と育ててくださる母倉と、

⚫︎6月20日(月)は不成就日かつ十死ではありますが、大安でもある。

ーさらに6月27日(月)は万物の活動を促してくれる「とる」の日であり、凶日と重なっても、それを避けることができる「百事よし」の日でもあります。

 どの日についてもビクビクすることなく、ご自分の思いのままに行動しても大丈夫でしょう。
 6月の幸運な日、気を付ける日を参考に、ひと月をハッピーに過ごしましょう♪


◆占い/マリィ・プリマヴェラ
プロフィール●慶応義塾大学法学部卒。幼い頃にプラネタリウムで見聞きした星座にまつわる神話に惹かれたことが、西洋占星術の世界への入り口となる。独学により西洋占星術を学び、'84年より独立。執筆を中心に活動を続けている。
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固有の面白さが三都の魅力 京都・大阪・神戸の「圧倒的アドバンテージ」に注目 202205

2022-05-30 23:09:00 | なるほど  ふぅ〜ん

固有の面白さが三都の魅力 京都・大阪・神戸の「圧倒的アドバンテージ」に注目
  おたくま財経新聞 より 220530 向山純平


 「住めば都」という言葉がある一方で、離れてみると、その魅力に気付くのが故郷というものでもあります。

 大阪府出身で、現在は東京都在住のつるばみさんは、最近故郷「関西」の魅力について再認識する機会を得ました。それについて述べた投稿が、Twitterで話題となっています。

「神戸⇄大阪⇆京都の移動にかかる時間的、金銭的コストの低さは圧倒的なアドバンテージやと思う。
 関東に住んで思ったけど、固有の面白さがある大都市が3つも繋がる魅力はでかい」

 上記の「発見」を、自身のTwitterから発信したつるばみさん。今回の投稿は、自身の境遇が背景にあったそうです。

 「私が現在交際している方が関西圏在住者で、週末のデートでは、関東に加えて関西へ行く機会も多くなったんです。両方で遊んでいるうちに、関東にはない面白さを感じたのがきっかけです」

 関西に縁のない方に申しますと、いわゆる「京阪神」は、その距離感に大きなアドバンテージがあります。

 具体的な数値で説明すると、まず三都全て人口が100万人を超える大都市。そして全て電車(JR新快速)で移動すると仮定した場合、大阪(梅田)から京都へは約30分の所要時間で運賃は570円、大阪から神戸(三宮)へは約20分で410円、神戸(三宮)から京都は約50分で運賃は1100円となります。(記事執筆時点2022年5月27日の運賃です)

 一方、つるばみさんが今回述べた「アドバンテージ」には、もうひとつの意味合いも有します。それは「文化」。

 「古都(京都市)」「食の都(大阪市)」「港町(神戸市)」と、京阪神にはそれぞれ独立した「色」があります。
「京の着倒れ、大阪の食い倒れ、神戸の履き倒れ」「京都で学び、大阪で稼ぎ、神戸に住む」なんて言葉もあるように、まるでじゃんけんのグー・チョキ・パーのごとく、切磋琢磨して発展してきた歴史があります。
 それはつるばみさんの言葉を借りれば、「固有の面白さ」という唯一無二の魅力。

 さらに、周囲には、奈良・彦根(滋賀)・和歌山・姫路(兵庫)など個性的な地方都市も存在します。こちらもまた、ちょっと足を伸ばせば行ける距離感がウリ。一時期、外国人観光客(インバウンド)から、高い評価を得ていたのも頷けますね。


 反対に、関東圏にはこうした「色」はさほど感じられません。筆者は、つるばみさん同様に、関西出身で関東圏にも在住した経験を持ちますが、どちらかといえば、「似たり寄ったり」のイメージが強くあります。
 地域特有のものも存在しますが、それは別段「特別性」を感じさせるものではありません。「どこでも一緒」というのもまたひとつの「アドバンテージ」ですが、しかしそれは、「面白みがない」とも捉えられます。

 今回の投稿には、関西に縁のあるTwitterユーザー、そうでないユーザー双方から大きな注目を集めました。一連の反響を振り返り、つるばみさんは、日頃受けている“マウント”も踏まえて次のように振り返っています。

 「関西というのは、日頃からステレオ的で、どちらかといえばネガティブなイメージで語られることが多く、出身者としては悲しい思いがありました」

 「でも今回の私の発信で、多少なりともプラスの反響を集められたのは、とても嬉しいですし心強いですね」

 あなたの故郷の魅力は何ですか?


<記事化協力>
つるばみさん(@trbmkng)

(向山純平)



💋京都〜奈良も近いんですけど…
  京阪神≒摂津≒阪急 という中心的存在感 更に阪急阪神合体で奈良も
    歩けば分かる、西国街道&京街道と奈良街道
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わずか2年で、驚くべき進歩を遂げる量子コンピュータ。IBMが発表した新ロードマップとは 202205

2022-05-30 23:00:00 | 気になる モノ・コト

わずか2年で、驚くべき進歩を遂げる量子コンピュータ。IBMが発表した新ロードマップとは
 ASCII より 220530  大河原克行

 IBMは、2022年5月10日、量子コンピュータに関する新たなロードマップを発表した。 ここでは、2025年に、モジュール式に拡張されたプロセッサーを活用して、複数のクラスターで構築した4000量子ビット以上のプロセッサーの実現を目指す内容も含まれている。

米IBMのリサーチディレクター ダリオ・ギル(Dr. Darío Gil)シニアバイスプレジデント

 米IBMのリサーチディレクターであるダリオ・ギル(Dr. Darío Gil)シニアバイスプレジデントは、IBMの年次イベント「THINK 2022」の会期2日目(現地時間5月11日)の基調講演に登壇し、次のように語った。

「わずか2年間で、量子ロードマップは驚くべき進歩を遂げた。2020年に発表した量子ロードマップは、科学とビジネスのために,量子コンピューティングの力を開放する道筋を示し,2023年までのビジョンを共有した。そのロードマップの目標はすべて達成してきている。
 今回のロードマップは、さらに先へ行くものであり、2025年に向けて、スケール、品質、スピードが大きく進化する。インテリジェントなソフトウェアと、個々が接続可能な形にモジュール化した新しいプロセッサーを連携するとともに、量子と古典的なコンピューティングの強みを活用することで、Quantum Advantageに到達することができる」――。

 IBMでは、2022年に433量子ビットの「IBM Osprey」プロセッサーを投入し、2023年には、1121量子ビットの「IBM Condor」プロセッサーを開発する計画を発表している。今回の新たなロードマップでは、それらのロードマップを実現しながら、その先の未来を示したものになる。

⚫︎4000量子ビット以上のプロセッサーを実現する
 IBMが示した新たな量子ロードマップでは、3つのポイントがある。

 最初のポイントは、2025年を目標に、モジュール式のプロセッサーを複数のクラスターによって構築し、4000量子ビット以上のプロセッサーを実現するというものだ。

 これは、量子プロセッサーに関わる3つの領域での進化によって実現したものだ。

 ひとつめは、複数のプロセッサー間で、古典領域での通信と並列処理を行う機能を構築することだ。従来の計算リソースと、サイズを拡張できる量子プロセッサーを組み合わせることで、エラー緩和技術の向上や、インテリジェントなワークロードのオーケストレーションなど、実用的な量子システムに必要とされる技術を備えることになる。

 2つめは、スケーラブルなアーキテクチャーを実現するために、短距離のチップ間接続を導入したことだ。複数のチップを緊密に接続することで、単一で、より大規模なプロセッサーを効率的に形成し、スケーリングの鍵となる「モジュール」化が可能になる。

 そして、3つめが、量子プロセッサー間の量子通信リンクの提供だ。ここでは、クラスターを、より大きな量子システムに接続するための量子通信リンクを提案している。

 これら3つの拡張技術を活用し、IBMではモジュール式量子コンピューティングを導入。ギル氏は、「これによって、量子ロードマップが飛躍的な変化を遂げることになる。2025年には、4158量子ビットを達成し、さらに、最大で数10万量子ビットのスケールにまで対応できることが示せた」とする。

⚫︎エラーの抑止と緩和を向上させるソフトウェアの進化

 2つめのポイントは、量子セントリック・スーパーコンピューティングのファブリック構築である。

 IBMでは、ハードウェアのブレークスルーだけに留まらず、エラーの抑止と緩和を向上させるソフトウェアの進化に向けた取り組みにも余念がない。この取り組みが、アプリケーションに対するノイズの影響を最小限に抑え、量子ソフトウェアの性能を向上させ、誤り訂正を持つ量子システムへの実現につながると位置づけている。

 今回のロードマップでは、この部分において、Qiskit Runtimeの拡張を発表。開発者は量子や古典リソースを、柔軟に、容易に利用できるようになる。

 「Qiskit Runtimeを開発者に提供することで,量子コンピューティングへのアクセスのし易さや利便性,性能などを大幅に向上させられる。開発者は好きな言語を使って,量子コンピューティングの世界に自然に入れる。そのコアになるのがQiskit Runtimeである」と語る。

 Qiskit Runtimeは、2022年初めに、アルゴリズムで使用される一般的な量子ハードウェアクエリを、使いやすいインターフェースにカプセル化するソフトウェアとして発表。2023年には、Qiskit Runtimeを拡張して、開発者が並列化した量子プロセッサー上で実行できるようにし、アプリケーションの高速化が可能になるという。

 「Qiskit Runtimeでは、モジュール式の量子プロセッサーと古典的なインフラストラクチャーを組み合わせ、ユーザーがワークフローに量子計算を簡単に組み込めるプラットフォームを構築し、それによって現代の本質的な課題に取り組むことができる。量子コンピューティングのパラレル化を実現でき、そのスケールをさらに高められる。量子指向のスパコンの時代がやってくる」と語る。

 IBMでは、2023年を目標に、サーバーレスによるアプローチを採用することで、Qiskit Runtimeをより柔軟に活用できる環境の実現を目指している。またこれだけでなく、古典リソースと量子リソースを、インテリジェントにトレードオフして切り替えを行い、量子セントリック・スーパーコンピューティングのファブリックを形成することができるようになるという。

 「スピードと品質に妥協することなく、拡張が可能な能力であり、量子コンピュータを中心としたスーパーコンピュータの基盤を構築することができる」とする。

 また、IBMでは、拡張版量子ロードマップで示された新しいシステムが、IBM Quantum System Twoで稼働するように設計されており、このプロトタイプが、2023年に稼働する予定であることも示している。

⚫︎将来の復号リスクなどを見据えた量子の安全性の強化

 そして3つめのポイントが、量子の安全性の強化だ。

 IBMでは、「サイバー・レジリエンシーを新たなレベルへ導き、量子コンピュータの進歩によって想定される今後の脅威から、データを保護するためのコミットメントを含んだものになる」と位置づける。

 実は、現時点では復号化できないセキュリティー性の高いデータでも、量子技術の進歩で、数年後には復号できてしまう可能性が指摘されている。そのため、いまから解読不能な暗号データをあらかじめ収集し、数年後に量子コンピュータによってそれを復号化し、悪用しようと考えているグループも存在するほどだ。

 IBMでも、「現在、安全に保護されていると考えられるデータでさえ、将来の復号化のために盗まれ収集されると、未来の量子攻撃者に侵害されてしまう可能性があり、大きな懸念材料になっている。過去、現在、未来を問わず、量子安全セキュリティを使用して保護されていないすべてのデータがリスクにさらされることになり、量子安全規格への移行が遅れれば遅れるほど、より多くのデータがリスクにさらされることになる」と警鐘を鳴らす。

 IBMでは、米国国立標準技術研究所(NIST)をはじめとした学術機関や、関連企業との連携を強化する一方、量子力学の時代において顧客の最も貴重なデータを保護するために設計された暗号技術と、コンサルティングの専門知識からなるIBM Quantum Safeポートフォリオを近々発表する予定も明らかにした。

 IBM Quantum Safeポートフォリオでは、量子による安全な暗号化に関する知識や、暗号技術が組織にどんな影響を及ぼすのかといったことを理解するための教育を提供。
 さらに、IBM Quantum Safe Scope Garageのワークショップを通じて、IBMコンサルティングが量子を活用した暗号技術を戦略的に活用するためのガイダンスを提供したり、リスク評価と発見を自動化する機能の提供、暗号化すべきデータのインベントリー管理や、サプライチェーン全体に対する依存関係の管理、セキュリティーのポスチャー管理を確立したりする。
 大きな変更を加えることなく、俊敏に多様な暗号方式に切り替えられるアジャイル暗号技術と、量子コンピュータでも解読されない安全な暗号化技術を実装することで、新時代の暗号技術に対応できるとしている。

⚫︎新たな業界を生み出し、既存の技術を変えていくためのロードマップ

 今回の新たなロードマップの発表とともに、ギル氏は、IBMが量子ロードマップを示すことに、大きな意義があることを改めて強調した。
 それを、次のように比喩しながら説明する。
「我々は探検家である。日々刻々と環境は変わり、社会や政治は変化し、それに対応するために、進化する技術を活用しなくてはならない。
 だが、探検はエキサイティングだが、恐ろしくもあり、危険でもある。使える情報も完ぺきではない。ただし、偉大な探検家に共通しているものがある。
 それは、ナビゲーションの重要性を知っていることだ。ナビゲーションはスキルであり、それを活かすためには、データとツールが必要にする。その良い例が地図である。
 しかし、地図にも弱点がある。発見していない場所の地図をどうつくるか、将来の地図をどうやってつくるかという点である。IBMは、毎日、これに挑戦している。その成果が、量子をはじめとする技術ロードマップである。新たな業界を生み出し、既存の技術を変えていくための地図が技術ロードマップであり、その最たる例が量子ロードマップになる」

 IBMリサーチでは、「Atlas」と呼ぶ技術ロードマップを持っている。ここでは、今回発表した量子ロードマップだけでなく、半導体やAI、ハイブリッドクラウド、セキュリティ、システムに関する技術の将来についても指針を示している。

 ギル氏は,「Atlasには、IBMの野心的なロードマップが描かれている。量子と半導体、AIなどの様々な技術が組み合わさって,新たなケイパビリティが生まれ、将来のゴールに向けて、どのような技術を使えばいいのか,なにを組み合わせればいいのかがわかる」とする。

 そして、「技術の将来をマッピングするのは難しいが、重要なことである。戦略的なロードマップを作り、複雑性の海を航海し、潜在的な可能性を開放することが必要である。将来の地図を一緒に作っていこう」と呼びかける。

 IBMが発表した新たな量子ロードマップは、量子技術を用いたコンピューティングの規模や品質、スピードの可能性を示したものではあるが、様々なテクノロジーの進化と関連しながら、新たな世界を切り拓くためのひとつの地図にすぎないともいえる。
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スイスの核融合研究に暗雲 対EU関係の悪化で 202205

2022-05-30 22:42:00 | 気になる モノ・コト

スイスの核融合研究に暗雲 対EU関係の悪化で
 swissinfo.ch  より 220530

 英オックスフォード近郊の欧州トーラス共同研究施設(JET)のトカマク型核融合炉は、フランスに中心施設を持つ世界最大の国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」の実験センターの1つ。写真はJET反応炉の内部で、 2022年2月に核融合エネルギー世界記録を達成したのと似た同じようなプラズマを左側に重ねて表示している (EUROfusion)

 スイスは核融合エネルギー研究の先進国の1つとして、これまで他の欧州諸国と共に飛躍的な発展に貢献してきた。だが現在の欧州連合(EU)関係の政治的な行き詰まりの影響で、今後の国際プロジェクトに参加できなくなる恐れが出ている。連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)スイスプラズマセンター(SPC)のアンブロジオ・ファソーリ所長は、その影響は学界にとどまらず産業界にも及ぶと警告する。

 EPFLキャンパスの一角では、トーラス型というドーナツのような形をした「トカマク」と呼ばれる装置で、核融合反応の実用化を目指したプラズマ(超高温ガス)実験がほぼ毎日続けられている。太陽などの恒星もプラズマの核融合反応でエネルギーを作り出している。「トカマク」はロシア語の電流、容器、磁場コイルの頭文字に由来する。

 トカマク型核融合反応炉を運用するEPFLスイスプラズマセンター(SPC)所長のアンブロジオ・ファソーリ教授は「私たちは毎日約40回の実験、つまり40回のプラズマ照射実験を、通常週4日行っている」と説明する。
 同センターは世界トップレベルの核融合研究所の1つで、核融合エネルギー共同開発や、世界最大の核融合反応炉建設を目指す南仏拠点の国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」に協力している。

 SPCの専門はプラズマの挙動分析と最適な加熱・閉じ込め方法を見つけることだ。ITERと密接に協働するだけでなく、マイクロ波加熱装置の設計にも直接携わる。

⚫︎スイスプラズマセンター(SPC)
連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のスイスプラズマセンター(SPC)は世界を先導する核融合研究所の1つ。欧州核融合コンソーシアム「ユーロフュージョン」には欧州連合(EU)加盟国25カ国と英国、スイス、ウクライナから合計30の核融合研究機関・大学が参画する。EPFLはその1つだ。科学者らは核融合エネルギー実現に向けた欧州研究ロードマップを指針とする研究事業を共同で立ち上げた。

 SPCは▽国際熱核融合実験炉「ITER」の成功▽ITERの後継の核融合エネルギー原子炉「DEMO」の科学技術基盤の開発▽次世代の核融合科学者・技術者の育成▽プラズマや核融合のスピンオフ事業の産業界や社会への展開――を目的として設立された。アンブロジオ・ファソーリ所長は「ITERと共に私たちは地球上で核融合を実現する科学技術の可能性を示す。DEMOは、核融合エネルギーの商業展開が可能なことを実証するのが目的だ」と説明する。
 SPCには120人の職員と40人以上の大学院生が在籍している。研究分野は、プラズマ理論、プラズマ基礎物理、 TCVトカマク物理、国際共同研究、核融合用超電導、プラズマ応用の6つ。

 TCVとは中型サイズのトカマク型核融合炉のことで、EPFLキャンパスにあるTCVトカマクは世界で最も重要な核融合研究実験施設の1つだ。ユーロフュージョンの一部として、また国内の科学事業向けとして運用されている。EPFLには、このトカマク型核融合炉を使った実験のために世界中から科学者が訪れる。

 既存の原子力発電所では原子核を分裂させる核分裂反応でエネルギーを生産するが、核融合はその逆で、原子核が結合するとエネルギーを放出する原理を利用し、原子核同士を強制的に結合させて発電する。

 太陽などの恒星では強大な重力で作られる高密度ガス内で核融合反応が起こる。だが地球の重力はずっと弱く、地上でこのような強い重力場は再現できない。トカマク型核融合炉内で発生させたプラズマの中で水素原子核を衝突させるには、恒星よりも高い温度の1億度を超える超高温にして粒子の動きを速くし反応性を高める必要がある。

 だが問題は、このような超高温に耐えられる材料がないことだ。そこで、磁場でプラズマを閉じ込める方法が考案された。つまりドーナツ状の環状内部に磁場を作り、そこにプラズマを保持する。この磁場を利用した方法によって、トカマク型核融合装置は実験室での核融合実験を可能にした。

 核融合反応は化石燃料の燃焼や核分裂反応と違い、汚染公害や放射性廃棄物、温室効果ガスを出さずに豊富なエネルギーを生産できると期待される。しかし、うまくいったとしても利用できるのは今世紀後半以降になるという。

⚫︎「重要な一歩」
 今年2月、核融合発電の実現に近づく画期的な成果が報じられた。それは英カラムにある欧州トーラス共同研究施設(JET)で行われた実験で従来の2倍以上の核融合エネルギー量(5秒間59メガジュール)を達成したというものだ。1997年にJETが出した1秒以下22メガジュールの記録を大きく更新した。

 このプロジェクトにEPFLの他の研究者らと共に密接に関わったファソーリ氏は「実際に出力した熱エネルギーのメガジュール値は,そう歓喜するほどのものではない」と控えめだ。このJET実験で得られたエネルギーは,やかん約60個分の水を沸騰させる程度でしかない。
 だがこの実験はITERの設計が正しいかどうかの試金石となる「非常に重要な一歩」だと同氏は指摘する。

⚫︎ITERプロジェクト:「私たちは本当に実行している」
 ITER巨大プロジェクト建設地の仏サン・ポール・レ・デュランスでは約8割の工事が完了している。
 ファソーリ氏は「このプロジェクトは既に後戻りできないところまで来ている。私たちは本当に実行しているのだ」と気を吐く。

 ITERの正式な稼働は2025年の予定だが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響で、複雑な部品の組み立てがずれ込んでいるという。
「最初のプラズマ実験の開始日は予定より1年半ほど遅れると予想している。しかしこれは最初の本格的な大規模実験を開始するという意味ではない。本格的実験は35年頃になるだろう」(ファソーリ氏)

 科学界は何十年もの間、核融合エネルギー開発に取り組んできた。ITERは科学研究に重点を置き、技術の実現可能性を示すためのプロジェクトで、実際にはエネルギーは生産しない。エネルギー生産は実証炉が完成して初めて可能になる。実証炉が使えるようになるのが50年頃で、それが実現できれば 60〜70年代に第1世代の核融合発電所が稼働開始できるかもしれないと予想されている。

⚫︎スイスの参加は中断
 スイス(特にEPFL)は核融合分野で重要な役割を担う。スイスは1979年以来、欧州原子力共同体(ユーラトム)と核融合分野で緊密な協力関係にあり、欧州連合(EU)の調達機関である欧州核融合エネルギー合同事業体「フュージョンフォーエネルギー(F4E)」のメンバーとしてITER建設にも間接的に参加している。
 欧州各国の原子力研究機関で構成する「ユーロフュージョン」にはEU加盟国25カ国と英国、スイス、ウクライナから合計30の核融合研究機関・大学が参画し、ITERの成功を目指す。EPFLは2014年からユーロフュージョンのメンバーだ。

⚫︎ITER、核融合プロジェクトとスイスの参画
 1979年以来、スイスは欧州原子力共同体(ユーラトム)と核融合分野で緊密な協力関係にある。2007年からスイスは国際熱核融合実験炉「ITER」の直接のメンバーとしてではなく、欧州連合(EU)傘下の欧州核融合エネルギー合同事業体「フュージョンフォーエネルギー(F4E)」のメンバーとして、ITER機構に間接的に参加することを選んだ。
 スイスはEU組織のガバナンスに積極的に参加し、その延長線上でITERプロジェクトのガバナンスにも精力的に貢献している。スイスはこの目的のために2007〜20年の間に2億745万スイスフラン(約365億850万円)をEUに拠出した。

 スイスの21〜27年F4E参加継続の可否は、研究助成プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」と欧州デジタルイニシアチブ、 並びに21〜25年ユーラトムプログラムへの加盟についてのスイス・EU交渉と関連するため、現在スイスのITERへの参加は中断されている。
 スイスの企業や研究機関は、F4EやITER機構が実施する入札に応じることはできるが、それは必要な技能が加盟国から得られない場合に限られる。

(出典:連邦教育研究革新事務局=SERI)

 ファソーリ氏によると、SPCはユーロフュージョンとユーラトムの一員としてITERに全面的に参画した。ユーラトムの代表としてITER評議会に参加し、F4EというバルセロナにあるITER向けEU調達機関の活動にも加わった。
 ITER構成部品の調達には、学術界のみならず産業界からも応募できた。「産業界が参加できることは特に重要だが、これらはもう不可能になった」。その直接の原因は、昨年5月のEUとの枠組み条約の協議打ち切りだという。

 スイス・EU関係は現在も膠着状態が続いており、その直接的な影響としてスイスはITERとF4Eへの参画を見合わせざるを得なくなっている。
 スイスが1年前に条約交渉を打ち切った後、EUは1千億ユーロ(約13兆6千億円)規模の研究助成プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」へのスイスの参加資格を格下げし、核融合エネルギー分野を含む助成金申請や科学研究プロジェクトへの参加を制限した。

「これまで大きな成果を上げてきたおかげで、ITERとの契約済みプロジェクトは実際かなりの件数に上る。それらは継続できるが、新たなプロジェクト契約は結べない。これまで私はF4Eの理事会に出席していたが、1月から除外された」(ファソーリ氏)

 交渉打ち切りの余波で、スイスはユーロフュージョンへの参加を取り決めたユーラトム条約から離脱した。その後、暫定的な解決策が講じられ欧州の核融合プロジェクトには参加を続けられることになった。SPCは現在、独マックスプランク・プラズマ物理研究所を介してユーロフュージョンの準会員となっている。

⚫︎産業界への影響
 しかしスイスの産業界にとって、状況はより深刻だとファソーリ氏は言う。スイスのITER参画によってスイス企業に先端技術部品の受注が舞い込み、2007〜19年の間に1億9千万フラン(約252億7千万円)の利益を生み出したからだ。
 ファソーリ氏によると、SPCは契約がないため複数のプロジェクトで休止状態を強いられている。科学プロジェクトや契約の必要がない共同研究は今も続き、いずれも何らかの形でITERに関係するものだが、直接参加はできない。ITERに研究者や技術者を派遣することもできないという。
「ITERの職員はとても親切で、見なかったことにして会議などに参加させてくれている。私たちが特別な専門知識や技術を持っていることを知っているからだ。だがいずれ、ITERの人々もスイスとの協働は止めるように言われるだろう」(ファソーリ氏)

⚫︎ITERの核融合国際協力とウクライナでの戦争
 国際熱核融合実験炉(ITER)の発端は冷戦時代に遡る。二酸化炭素を排出しない大規模なエネルギー源として核融合反応が利用できることを実証するために、当時のロナルド・レーガン米大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長が共同考案した。
 1985年に発足したITERプロジェクトは、 ITERを組織する7カ国の国際協力で35年以上に渡り推進されてきた。ロシアは、中国、EU、インド、日本、韓国、米国と共にITERメンバーの一員だ。
 ITERスポークスマンのラバン・コブレンツ氏は,同プロジェクトは依然として「異なるイデオロギーを持つ国々が物理的な何かを共に構築しようという意図的な試みだ」と述べた。

 ロシアはITERに積極的に貢献してきた。例えば、ITERの磁石に使うニオブ・スズ(Nb-Sn)超電導物質の主要供給国はロシアであり、核融合炉のプラズマ加熱に用いるジャイロトロンなどの重要な部品も製造する。
 一方、ウクライナはユーロフュージョンの一員だが、ハリコフにある研究所はロシアのウクライナ侵攻で被害を受けたと報じられている。

 スイス・EU関係の行き詰まりは、今のところ学生には何も悪影響を及ぼしていないとファソーリ氏は主張する。だがスイスが欧州の核融合研究開発に参加できなければ、「学生を引き寄せるスイスの求心力は低下するだろう」と警告する。
 それにとどまらず、スイスと、スイスの核融合研究者や産業界にとって痛手になるとも訴える。「これはお金だけの問題ではない。世界中が取り組む課題に参加しないことで被る損害は甚大だ」

(英語からの翻訳・佐藤寛子)
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