ちょっと前の流行語ですが、タイトルに使いました。「どんだけ~」
さて、次の文章に隠されてた秘密は、何でしょう。ヒントは「どんだけ~」と「一つ」
今日、蘆花を論ふことは所謂文壇附月評家のよくしない所であるやうだが、かつて蘆花は「黒潮」に於て稀に見る大規模の小説を計画し、第一巻のみで永代未完の作となつてしまつたものの、その一巻は決して単なる家庭小説をもて遇するものでなく、試みに三十六年中の所産を一見しても僅かに藤村の「爺」と独歩の「女難」や「悪魔」や「第三者」「正直者」等「独歩集」の諸篇が新芸術の芽生を感ぜしめ、荷風が「あめりか物語」中の諸篇を「文芸倶楽部」、「新小説」等に分載し、鏡花が「田毎かゝみ」と「白羽箭」(「文芸倶楽部」)とを出してゐるのみで、紅葉は「新続金色夜叉」に苦められ、風葉、松魚、葵山、春葉、水蔭、柳浪、眉山、春雨、掬汀、花袋等悉く駄作凡作拙作を続出してゐる上に、当時大評判となつた天外の「魔風恋風」が「読売」に掲げ初められた年ではあるが、是等をライワ゛ルとして蘆花の位置は「不如帰」に喪失した芸術感を「思出の記」にとりかへし更に「黒潮」に於て、彼一流の描写に拙く兎もすれば説明に走り勝な悪癖は随所に多く見えるけれど、規模宏大に抱負も高かつた此の作で政治的、社会的関心を中心とする大本格小説を夢想したのであるが、その続篇はついに出でず、「寄生木」に移つては更に読物に近く小説には遠いものになつてしまつた。(旧字体は新字体に改める)
その秘密(別に秘密でも何でもないんですが)、これ↑、一文なんです。
『中央公論』(1926.9月号、説苑26頁)の文章なんですが、どんだけ、長いねん・・・・。
語彙調査では、前後の文脈がないと、品詞などがわかりにくいため、調査の範囲外であっても、データとして入力します。たまたま、ここの部分、下から三行目の「高かつた」から、抽出範囲であったため、その前の部分も入力したのですが・・・
1906年から10年毎の語彙調査で、なぜか、1946年が他の年よりも文章が長いのですが、1926年にもこのような長い文章がありました。これって、書き手の特徴なんでしょうね。きっと。
学生がこのような文を書いていたら、私は間違いなく、文はもっと短くと言うでしょう。携帯小説に多く見られるように短い文章が優勢の昨今(それがいいと言っているわけではありませんが)、あまりに長い文章に出会い、驚き(入力にちょっとうんざりし)、今日の記事としたのでした・・・
さて、次の文章に隠されてた秘密は、何でしょう。ヒントは「どんだけ~」と「一つ」
今日、蘆花を論ふことは所謂文壇附月評家のよくしない所であるやうだが、かつて蘆花は「黒潮」に於て稀に見る大規模の小説を計画し、第一巻のみで永代未完の作となつてしまつたものの、その一巻は決して単なる家庭小説をもて遇するものでなく、試みに三十六年中の所産を一見しても僅かに藤村の「爺」と独歩の「女難」や「悪魔」や「第三者」「正直者」等「独歩集」の諸篇が新芸術の芽生を感ぜしめ、荷風が「あめりか物語」中の諸篇を「文芸倶楽部」、「新小説」等に分載し、鏡花が「田毎かゝみ」と「白羽箭」(「文芸倶楽部」)とを出してゐるのみで、紅葉は「新続金色夜叉」に苦められ、風葉、松魚、葵山、春葉、水蔭、柳浪、眉山、春雨、掬汀、花袋等悉く駄作凡作拙作を続出してゐる上に、当時大評判となつた天外の「魔風恋風」が「読売」に掲げ初められた年ではあるが、是等をライワ゛ルとして蘆花の位置は「不如帰」に喪失した芸術感を「思出の記」にとりかへし更に「黒潮」に於て、彼一流の描写に拙く兎もすれば説明に走り勝な悪癖は随所に多く見えるけれど、規模宏大に抱負も高かつた此の作で政治的、社会的関心を中心とする大本格小説を夢想したのであるが、その続篇はついに出でず、「寄生木」に移つては更に読物に近く小説には遠いものになつてしまつた。(旧字体は新字体に改める)
その秘密(別に秘密でも何でもないんですが)、これ↑、一文なんです。
『中央公論』(1926.9月号、説苑26頁)の文章なんですが、どんだけ、長いねん・・・・。
語彙調査では、前後の文脈がないと、品詞などがわかりにくいため、調査の範囲外であっても、データとして入力します。たまたま、ここの部分、下から三行目の「高かつた」から、抽出範囲であったため、その前の部分も入力したのですが・・・
1906年から10年毎の語彙調査で、なぜか、1946年が他の年よりも文章が長いのですが、1926年にもこのような長い文章がありました。これって、書き手の特徴なんでしょうね。きっと。
学生がこのような文を書いていたら、私は間違いなく、文はもっと短くと言うでしょう。携帯小説に多く見られるように短い文章が優勢の昨今(それがいいと言っているわけではありませんが)、あまりに長い文章に出会い、驚き(入力にちょっとうんざりし)、今日の記事としたのでした・・・