面白いことが書いてありました。城生伯太郎氏の言葉です。
http://www.athome-academy.jp/archive/literature_language/0000000192_all.html
http://www.athome-academy.jp/archive/literature_language/0000000192_all.html
──言語学・音声学がご専門の先生から見て、人の話し方の上手・下手はどこがポイントだとお考えでしょうか。
城生 人の話し方というのは、大きな意味で「音声言語」という分野に入ります。音声言語というのはすなわち、自分で話す、相手の話を聞く、あるいはテレビ、ラジオを聴く、というように、音声を使った言葉の範囲です。それに対して、新聞を読んだり、本を読んだりするのは「文字言語」と言われます。
話しの上手・下手にはいろいろな要因がありますが、日本人が一般に話下手と言われるのは、私は学校教育のせいだと思うんです。日本の国語教育の90%以上は文字教育ですね。音声言語に関しては、ほとんど教育が行われていません。
──そう言われてみると、学校では書き取りから始まって作文、論文と、文章作りは教えてくれるけれども、しゃべり方は教えてくれませんね。
城生 ええ。だから文章力はつきますけど、話し方はうまくなりませんね。
ところがヨーロッパでは、文章力などは知的生産の対象にはならないんです。文章の上手、下手というのは非常に低レベルな技術だとされています。
なぜならば、エリートというのは自分では文章を書かず、秘書に口述速記させるからです。私はこう思う、ああ思うと口で言うと、秘書が傍らでパタパタとタイプするわけです。エリートは自分の発想、アイディアを提供するのが仕事であって、文章に書き表すのは秘書の仕事なんです。
──ということは、いかにうまく話せるかが重要になるわけですね。
城生 そうですね。人前で、音声言語で自分の主張ができなければ、その人は知的階級ではない、ということです。