◆「背水の陣」とは、だれにとっての「背水」か。「自民党が政権を失うかも知れない」という断崖絶壁に立っているだけのことを言い表しているにすぎない。要するに、福田首相は、所詮、「自民党」の命運にしか関心がないのであろう。一体、国民のことは、どう考えているのか、疑問になる。10月4日、参議院と衆議院のそれぞれ本会議場で行われた代表質問に対する首相答弁を聞いていると、相変わらず官僚原稿の棒読みに終始しており、生活苦に喘ぐ多くの国民が、まさに断崖絶壁に立ち、日々「背水の陣」で頑張っていることへの細かい配慮のカケラも感じられない。それどころか、睡魔を呼ぶ答弁が続き、雛壇に並ぶ町村官房長官をはじめ閣僚さえ、居眠りしている有様である。不眠症に悩む人は、福田首相の答弁を録音しておき、眠れない夜、布団のなかで聞けば、睡眠薬を服用するよりも、効能があるに違いない。
◆こんな福田首相を絶賛しているのが、読売新聞である。10月4日付の朝刊「総合面」(2面)で、「首相 初の国会論戦」「手堅く福田流」との「見出し」をつけて、「個別の課題で言質を与えることなく、手堅い答弁に終始した」と褒め称えている。そのうえ、社説では民主党が展開しようとしている「法案の嵐作戦」に対して、「民主党が真剣に成立を望むなら、むしろ積極的に与野党協議に取り組むべきだ。政権担当能力を示すことにもつながる。そうした努力をしなしなら、議員立法は党利党略のためのパフォーマンスと見られても仕方がない」と述べ、野党が議員立法を連発するのが、悪いかのような論調を展開している。
◆自民・公明連立政権が崩壊するのが、そんなに怖いのであろうか。そもそも、立法府で国会議員が、「議員立法」することのどこが、「党利党略のためのパフォーマンス」なのであろうか。馬鹿じゃないかと思う。国会議員は、「議員立法」するのが、最大の務めであるはずである。官僚が作文した内閣提出の法案に慣れ切った「石頭」は、この際、叩き割る必要がある。
◆ちなみに、国会に提出され、成立した法案について、どう状況にあるかをチェックしてみると、相変わらず、内閣からの提出される法案が多く、議員立法は少ない、
□162通常国会―138法案(内閣提出89、議員提出49)→成立率(内閣提出84.2%、議員提出36.7%)
□164通常国会―152法案(内閣提出91、議員提出61)→成立率(内閣提出90.1%、議員提出22.9%)
□166通常国会―165法案(内閣提出97、議員提出68)→成立率(内閣提出90.7%、議員提出29.4%)
この数字を見ても議員立法がいかに少なく、成立率が低く、国会議員の立法能力の低さがわかる。国会議員は、立法技術に長けた官僚が作文をした法案に対して、「賛成・反対」を示すだけの単なる機会になっているにすぎないのである。
読売新聞の論説委員は、「議員立法」に対して、「党利党略のためのパフォーマンス」などと寝ボケたことを論説する前に、「官僚政治の弊害」をまず問うべきであろう。大新聞が時の政権の「御用新聞」に成り下がるのは、まさに「ジャナリズムの自殺行為」に等しい。深く恥じるべきである。

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◆こんな福田首相を絶賛しているのが、読売新聞である。10月4日付の朝刊「総合面」(2面)で、「首相 初の国会論戦」「手堅く福田流」との「見出し」をつけて、「個別の課題で言質を与えることなく、手堅い答弁に終始した」と褒め称えている。そのうえ、社説では民主党が展開しようとしている「法案の嵐作戦」に対して、「民主党が真剣に成立を望むなら、むしろ積極的に与野党協議に取り組むべきだ。政権担当能力を示すことにもつながる。そうした努力をしなしなら、議員立法は党利党略のためのパフォーマンスと見られても仕方がない」と述べ、野党が議員立法を連発するのが、悪いかのような論調を展開している。
◆自民・公明連立政権が崩壊するのが、そんなに怖いのであろうか。そもそも、立法府で国会議員が、「議員立法」することのどこが、「党利党略のためのパフォーマンス」なのであろうか。馬鹿じゃないかと思う。国会議員は、「議員立法」するのが、最大の務めであるはずである。官僚が作文した内閣提出の法案に慣れ切った「石頭」は、この際、叩き割る必要がある。
◆ちなみに、国会に提出され、成立した法案について、どう状況にあるかをチェックしてみると、相変わらず、内閣からの提出される法案が多く、議員立法は少ない、
□162通常国会―138法案(内閣提出89、議員提出49)→成立率(内閣提出84.2%、議員提出36.7%)
□164通常国会―152法案(内閣提出91、議員提出61)→成立率(内閣提出90.1%、議員提出22.9%)
□166通常国会―165法案(内閣提出97、議員提出68)→成立率(内閣提出90.7%、議員提出29.4%)
この数字を見ても議員立法がいかに少なく、成立率が低く、国会議員の立法能力の低さがわかる。国会議員は、立法技術に長けた官僚が作文をした法案に対して、「賛成・反対」を示すだけの単なる機会になっているにすぎないのである。
読売新聞の論説委員は、「議員立法」に対して、「党利党略のためのパフォーマンス」などと寝ボケたことを論説する前に、「官僚政治の弊害」をまず問うべきであろう。大新聞が時の政権の「御用新聞」に成り下がるのは、まさに「ジャナリズムの自殺行為」に等しい。深く恥じるべきである。

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