「魍魎の匣」、見てきました。
会社の忘年会のビンゴで当たったペアチケットで。
いやー、封切りの日に映画を見に行ったのって初めてだったんですが、
意外と人が少なくてびっくりしました。快適。
さて、内容ですが。
結構、原作とは離れていました。なのでネタバレしない程度にしておきます。
さすがに原作の内容を2時間ではやれないよなぁ、と思っていたのですが
原作のテーマに沿ってエピソードを解体し、削ったり付け足したり
改変したりしながら、辻褄の合う形でまとめられていました。
熱狂的な原作ファンは怒るかもしれませんが、僕は大正解だと思います。
原作者も言っていますが、小説は小説、映画は映画なんです。
小説は小説にしか出来ないことを100%やりきることが重要だし、
それは映画も同様だと思うのですよ。
とはいえ、原作と完全にかけ離れているわけではありません。
当然ながら原作をベースにしており、押さえるべきツボは押さえてあります。
特に、今回はキャストとロケ地が秀逸じゃないかと。
個人的に、柚木加菜子は実写ではムリなんじゃね?と思ってたんですが。
実写で一人称「僕」とかちょっとキツいだろ。と。
ところがこれが、意外とハマってたかなと。ちょっと萌え。
あと、柚木陽子が黒木瞳ってのも良かったです。
イメージ通りでした。
で、トドメにクドカン久保竣公。
あんな飛び道具キャスト、反則じゃ。(誉め言葉)
そして、ロケ地。
今回は上海でロケを行ったらしいのですが、中国独特の怪しげな空気と
「京極ワールドにおける」昭和初期日本、というのが絶妙なマッチング。
リアルっぽいんだけどどこか嘘臭く、ありそうでなさそうで、だけど
小ぢんまりとしていないから壮大なイメージは無駄に駆り立てられる。
一種のファンタジーワールドを作り上げることに成功していると思います。
ミステリだからファンタジーじゃダメだろ、という意見もあるかもですが、
割とトンデモな内容も含んでいるのであれで正解じゃないでしょうか。
いやー、あのスラムっぷりとか汚れっぷりとか、なんでこう心トキメクかね。
・・・クーロンズゲートからの呪いだろうなぁ。
そう、多分、その辺の印象。
あえて上海で「日本」を描くことで、ここまでトキメクとは思いませんでした。
こればっかりは、多分、実際に見てもらわないと伝わらない。
見ても伝わらないかもしれませんけどね。
と、まぁそんなわけで、僕としてはお見事と拍手喝采したい出来でした。
コレは、お金を払ってでも見る価値があると思います。
但し、原作を知っていること、という前置きつきではありますが。
その辺はね、情報量の密度的な問題だと思うのですよ。
原作知ってれば、密度が高くてもすんなり受け入れられる、という。
なので、原作未読でも3回くらい見れば問題ないのかもしれません。
・・・それくらい情報量が多いです。疲れます。
それなりの覚悟で臨みましょう。