成績は優秀だったし、学校でいじめにあったわけでもない。
だから両親から何故だと不思議がられた。
僕は引きこもり。
何もかもが嫌になった――とだけ言うのは卑怯か。
理由はもっと奥にある。
僕は、次の僕に成長しなければならない。
布団にくるまっている今は、さながら蛹だ。
「何もかもが嫌になった」。
それは事実だが、話はそこで終わらない。
「だから全てぶっ壊す」。
そう続く。
そのためには、幼虫の僕では駄目なのだ。
まずやろうと思っているのは、隣の席の生徒を殺すこと。
これが最初にして最大のハードルだと思っている。
人は人を、そう簡単には殺せない。
技術的にではない。
覚悟的に、だ。
意識を組み替えろ。
感覚をアップデートしろ。
世界の認識を改めろ。
ヒトを殺せる僕であれ。
そこが始まりだ。
蛹の僕は思考する。
いつ殺す?
どうやって殺す?
殺した後、次に繋げるには?
全てイメージし、滑らかに行動できなくてはならない。
無意識のストッパーや善意、良心といったものは不要。
そういったものは、蛹のうちに捨ててしまえ。
だからこれは、休息に見えて休息ではない。
次なる段階のための準備期間。
新しい僕を作り上げるための。
何度も何度も思考しろ。
蛹の期間は短いぞ。
柔軟に、ドロドロに溶けゆく脳で思考しろ。
不測の事態に備えることも忘れるな。
さあ、全ての準備が整ったなら。
輝かしい羽化が待っている。
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