今から30年ほど前、ピーナッツ・スケールがアメリカで生まれた後、世界中に広がって行きました。
ヨーロッパでもフランスやドイツと共に、当時のチェコスロバキア共和国でもこの小さなスケールモデルに興味を示し、伝説的なルボッシュ・コートニー(Lubomir Koutny)さん等、多くのピーナッツ・ビルダーが名を馳せた時代でした。
その当時の機体は海外の模型雑誌でしか見ることは出来なかったのですが、後年名古屋で開催された庄内P.P.P.P.(Parcel Post Proxy Peanut)コンテストで、海外から送られてくる機体の代理飛行参加を行うようになってからは身近なものとなりました。
その時代に活躍した往年のピーナッツも時間と共にバルサや紙の補修が必要だったり、細かなパーツが欠落していたりしてしまいます。そんな機体達を修復して、もう一度昔の姿に戻す事を引き受けました。
機体の多くは主尾翼の骨折、紙の破損、再塗装、細かな部品の補修と再製等ですが、中にはほぼ健康な状態で脚柱がはずれている程度の幸運な機体もありました。そして残念ながら再生不可能な程痛めつけられていた2機はここでお別れすることとしました。
比較的破損個所の少なかった機体ですが、恐らくペックのキットから作られたものと思われます。庄内P.P.P.P.(Parcel Post Proxy Peanut)コンテストに参加したバーナード・シンクレアさんの機体かどうかは不明ですが、色の使い方やディテールの仕上げ方は酷似しています。絶妙なネジリ下げ、それほど強くない上反角、低翼機のお手本にしたいような作りです。
水平尾翼の微妙な骨折を修理、それ以外は主翼の主桁を修理した後ドープ貼りした紙がそのままになっていましたので筆塗りで修正しました。こうしてみると全体が実に薄い色が吹かれていること、そして排気や機銃後部のヨゴレも再現してある事が解ります。センスの良いキットの作り方です。
その他には脚カバーがはずれていたり、胴体のには小さな穴が空いていたりしていましたが、無難に補修しました。
で、1機完了!
まだまだ先は長いんですよ・・・ノーズソケットだけでもネ、こんなにあります。中にはこんなのも・・・・
大きな歯のコントラ・ギアは実にスムースに回転します。ゴム掛けもチェコ・スタイルですね。