それから間もなく、真実の天使さまは、人間の姿になって、人間の世界に生まれました。そこで一生懸命にがんばって勉強して、きれいな月に、お釈迦様のお美しいお顔を描いたのです。人間たちはそれを見て、びっくりしました。お釈迦様の本当のお顔が、信じられないほどお美しかったからです。しかもそのお顔は、とても澄んだ美しい声で、お釈迦様の言いたいことを言うのです。
「わたしは、愛することが馬鹿なことなどと言った覚えはないよ。愛することは美しいことなのだよ」
人間たちは、芯からびっくりしました。自分たちの知っているお釈迦様の教えとは、全然違うことだったからです。そんなことを知ってしまえば、自分たちがお釈迦様の教えだと思って、やってきたことがすべて、馬鹿になってしまう。それを恐れた人間たちは、なんと真実の天使さまを、大勢で馬鹿にし始めたのです。
それはとてもひどいことになったのです。人間たちは欲と幻に目が眩んで、ひどい嘘ばかりつきました。とても汚いことを言って、真実の天使さまを馬鹿にしました。真実の天使さまの、とても長くてきれいな髪に嫉妬して、その髪に泥を塗りつけたり、むしりとったりしました。
それがあまりにつらかったので、真実の天使さまはとうとう死んでしまいました。そして天の国に帰ったとたん、何もかもに疲れ果てて、倒れてしまったのです。
(つづく)