ポール・エムズリー
原題「キャサリン・ケンブリッジ公爵夫人」
これは、もはや存在しないはずの人間である。
肉体も人生も他人から盗んでいるが、それだけではない。人種どころか種の限界も越えているのである。
人間存在をこの世界に作る、基礎の基礎から徹底的に盗みで作り上げた、あり得ないはずの人間なのだ。
馬鹿はこういう人間を作り、それに恐ろしいほど高いステータスを与えているのである。
この人生をやっていた本霊はもうとっくに撤退している。こんな人生についていけるはずがないからだ。この存在は今、複数の霊で運営している傀儡になり果てている。それを国をあげてほめそやしているのが、今の人間の現実なのだ。
こういう人間は今珍しくはない。ほとんど、人間が勝手に作り上げた架空の存在なのである。神はほとんど何も関与していないのだ。
こんな存在を生きていても、何もならない。何をしても何にもない。努力すればするほど、膨大な馬鹿ができる。嫌なことばかりになる。なぜならこれは、存在し続けることによって、神と絶縁していることになるからだ。
あほう、というものが極限を越えると、こうなるのである。
バービー人形のようだ。むやみに人工的に美しい。愛などどこにもない形とは、こういうものなのである。