醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより 175号  聖海

2015-07-25 15:52:23 | 随筆・小説

 安倍政権の発言には詭弁が多い。

 今、私は孫崎享さんの著書『日米開戦の正体』を読んでいる。なぜ、安倍政権には詭弁が多いのかを序章の中で米国の心理学者レオン・フェスティンガーが唱える「認知的不協和論」を用いて説明している。
 例えば、原子力発電推進者の「認知的不協和」を説明し、ここに詭弁が生まれると述べている。原発にとって、地震はもっとも危険なものである。地震多発国の日本にとって、原発は危険極まりないものである。にもかかわらず、原発は再稼働しなければならないと政府・安倍政権は考えている。ここに「認知的不協和」が発生する。精神的にすっきりするには原発再稼働を止めることであるが、それができない。この不協和を和らげるためにどのような処置をするかというと、原発にとって地震は危険だという認識をできるだけ認識しなくて済むような配慮する。原発のコストは安い。化石燃料の輸入量が増大し、貿易赤字が増える。原発を稼働しなければ十分に国民に電気を供給できない。エネルギーの長期ビジョンに基づくと、原発は再稼働しなければ、日本経済が持続的に発展できない。CO2 を削減するためには化石燃料への依存度を下げ、原発を再稼働しなければならない。このような認識を広めることによって地震が原発にとって危険だという認識を薄める。こうして「認知的不協和」を解消する。こうして精神の安定は得られても、原発にとって地震は危険であるという現実はなくならない。
 現実にある危険を危険として認識することなしには現実の危険を取り除くことはできない。安倍政権は現実にある危険を危険として取り除くことをしない。だから国民に精神的安定感を与えるために、原発のコストは安い。化石燃料の輸入量が増大し、貿易赤字が増える。原発を稼働しなければ十分に国民に電気を供給できない。エネルギーの長期ビジョンに基づくと、原発は再稼働しなければ、日本経済が持続的に発展できない。CO2 を削減するためには化石燃料への依存度を下げ、原発を再稼働しなければならない。このような発言をする。この発言によって現実にある地震による原発の過酷事故の恐怖を取り除くことはできない。これらの政府発言は国民の精神安定をはかるための詭弁だということになる。
 TPPへ日本は加入する。このようなことを安倍政権は述べている。TPPの最大の問題は日本が主権国家で無くなることである。なぜなら、貿易における非関税障壁を取り除き、自由貿易を実現する。これがTPPのようだ。日本語が非関税障壁だと云われれば、英語が強制されてしまうのかもしれない。日本社会に固有な規制をしている法律や条例が非関税障壁だと訴えられると損害を賠償しなければならなくなるようだ。このような現実の変化が起きることを十分に安倍政権は説明しない。米を米国から輸入する。その輸入米の量の問題であるかのような報道は一種の詭弁にほかならない。
 「平和安全法制」は自衛隊が海外に出て武器を用いることを認めることである。だから戦争法案である。にもかかわらず「平和安全法制」という。この法案の名称そのものが詭弁である。フジテレビに出演し、安倍総理は火事を例に取って「平和安全法制」の紙芝居をした。隣りの家が火事になったら消火に駆けつける。これは集団的自衛権ではないだろう。これをもって集団的自衛権というのは詭弁であろう。
 沖縄辺野古に米軍のための新基地を建設することは日本の平和と安全のための抑止力だと主張する。沖縄の人々は辺野古に米軍基地ができると爆撃される危険性が高まるといって辺野古新米軍基地建設に反対している。日本の平和と安全を守るということ自体が詭弁だ。日本国民である沖縄県民が平和と安全が今より更に危険になると新基地建設を止めてほしいと政府に要望している。日本本土の国民に詭弁が通用しても沖縄県民には通用しないようだ。
 ウソと詭弁の安倍政権には一日も早く、退陣してほしいものである。