醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  1051号   白井一道

2019-04-09 12:45:13 | 随筆・小説



 イラン革命から40年



侘助 今朝、次のようなニュースに注目した。「AFP=時事(更新)米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は5日、米政府がイランの革命防衛隊を近く「テロ組織」に指定すると報じた。
  同紙が匿名のドナルド・トランプ(Donald Trump)政権関係者の話として伝えたところによると、早ければ8日にも発表される可能性があるという。
  1979年のイラン革命後に設立された革命防衛隊は、国防を担当する従来の軍とは異なり、指導部の親衛隊的な性格を持つ。莫大(ばくだい)な経済的利権を保有するなど、イラン国内で強大な力を蓄えている。
  エルサレムを意味するアラビア語の単語にちなんで名付けられた革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊(Quds Force)」は、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領やレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織「ヒズボラ(Hezbollah)」など、中東の同盟勢力を支援している。」何も目新しいものなど何もない。アメリカはイラン革命以来40年間、敵視してきた経過がある。この米紙ウォールストリート・ジャーナルの報道に対してイランからもまた次のような報道があった。「【AFP=時事】イランの最高安全保障委員会(SNSC)は8日、米国がイランの革命防衛隊を「テロ組織」に指定したことへの対抗措置として、米国を「テロ支援国家」、中東地域を管轄する米中央軍(CENTCOM)を「テロ集団」とみなすと宣言した。国営イラン通信(IRNA)が報じた。
  SNSCは米国のテロ指定を「違法かつ愚かな行動」と非難。対抗措置として、「米政権を『テロ支援国家』、米中央軍とこれに関係するすべての部隊を『テロ集団』とみなすことを宣言する」と表明した。
  イランのモハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相はこれに先立つツイッター(Twitter)投稿で、米国の措置はイスラエル総選挙を9日に控えた同国のベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の支援が目的だと非難していた。
【翻訳編集】AFPBB News」
呑助 1979年、イラン・イスラム革命によって白色革命を進めていたパフレヴィー朝が倒されてイラン・イスラム共和国が成立し、ホメイニさんが一躍世界的に有名な人になりましたね。それ以来、アメリカはイランを敵視し、隙あらば倒そうとしてきたのじゃないですか。
侘助 イラン革命のさなか、1979年11月、イラン、テヘランのアメリカ大使館が革命派の学生に占拠され、大使館員が人質となった。イラン革命政府はアメリカに亡命したパフレヴィー2世の引き渡しを要求していたが、アメリカがそれを拒否したことに憤激したイラン人学生がアメリカ大使館を占拠し、館員52名を人質にした。アメリカ政府は報復をほのめかしながら交渉に当たったが難航し、苦境に陥る。1980年4月、人質救出を試みたアメリカのヘリコプターが砂漠の中で故障して救出に失敗。カーター大統領の人気は急落、その年の大統領選挙で「強いアメリカ」の復活を掲げたレーガンに敗れることとなる。最終的には裏での取引があり、ようやく1981年1月20日に人質は解放された。その日はちょうど、ワシントンでアメリカの新大統領レーガンの就任式の日だった。後のイラン大統領となり、過激な反米政策を掲げたアフマディネジャドはこの占拠グループの一員だったといわれている。アメリカ政府は1979年イラン・イスラム革命以来、一貫してイラン政府打倒を目指してきたが、イラン政府を打倒することはできなかった。
呑助 核兵器開発の疑惑をかけられたイランが米英仏独中ロと2015年7月に結んだイラン核合意からアメリカが離脱したようですが、
侘助 ペンス米副大統領は2018年6月、ミュンヘン安全保障会議で演説し、英独仏に対してイラン核合意からの離脱を求めた。イランに対する経済制裁を強めるために「欧州は米国に同調すべきだ」と強弁した。中国に対しては南シナ海の軍事拠点化や人権侵害をあげて「問題が残っている」と非難した。中国やロシアは強引にも映る米国の外交政策を批判している。アメリカの要請がすんなり受け入れられるような国際関係ではなくなってきているということなのかな。
呑助 アメリカは今や国際的に孤立していく道を歩み始めているということのようですね。
侘助 2014年には平価ベースでは、中国のGDPがアメリカを追い越し、同時にG7のGDP総合よりE7中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカ、インドネシア、トルコのGDP総合の方が大きい時代になってきているからね。G7が協力して世界を支配していく時代ではなくなってきているということなのかもしれないな。
呑助 E7の国々がアメリカ政府を『テロ支援国家』と指定し、米軍を「テロ組織」として敵視する時代がくるのかもしれませんよ。
侘助 中国の世界戦略は「農村から都市へ」という毛沢東の革命戦略を継承している。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々との友好関係を確実なものにするのが中国外交戦略だから、いずれG7の国々は国際連合で孤立化を深めていくことになるのではないかと日本国民は心配する時代がきているのかもしれない。

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