醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  929号  白井一道

2018-12-07 13:35:12 | 随筆・小説






侘輔 今日楽しむ酒は四国、高知の酒「酔鯨・純米吟醸・しぼりたて・生原酒」の酒と岩手県二戸「南部美人・純米大吟醸・酒未来」のお酒だ。
呑助 銘柄「酔鯨」は、初めて楽しむお酒ですかね。南部美人のお酒は何回か、楽しんだお酒ですね。
侘助 そうだよね。四国のお酒の中で高知のお酒は淡麗辛口のお酒として知られている。高知県人はこよなく日本酒を愛している。前に大酒呑み大会が浜辺で開かれているくらいだと紹介したことがあるようにね。
呑助 高知というと鰹のたたきですよね。鰹のたたきには淡麗辛口の日本酒があうということなんですかね。
侘助 昨年の十月に楽しんだ四国高知の酒「美丈夫・純米大吟醸」の酒を覚えているかな。
呑助 薄っすらと記憶がありますよ。今年の十月に楽しんだ茨城の「霧筑波」のお酒に似通ったお酒だったような印象がありましたね。
侘助 どっしりしたボディのあるお酒ではなく、繊細で優しいお酒だったかな。
呑助 細面の着物の似合う美人という印象ですかね。
侘助 なかなか隅に置けない表現だな。
呑助 ちょっと私はお酒の味に関しちゃ、うるさいですよ。
侘助 今日楽しむ「酔鯨」の酒は「美丈夫」と同じ淡麗辛口のお酒なんだが、しっかり味の乗ったお酒だと思う。
呑助 「しぼりたて」ということは、今年の新酒ということなんですかね。
侘助 今日楽しむ「酔鯨」は2018年度に仕込み、絞ったフレッシュ感に満ちたお酒なんだと思う。酔鯨酒造が毎年、この時期に発売している冬季限定の季節商品のお酒を年忘れに楽しむということかな。
呑助 すでに新しい年が来たような気持ちになるお酒ということですか。
侘助 そう、フレッシュ感に新年の息吹のようなものがあるのかもしれない。生原酒のお酒だからね。日本酒本来の高知の酒を楽しむことができる。秋田県の酒も県民から深く愛されている日本酒だけれども、秋田県のお酒と高知県のお酒を比べてみるとガツンとくる度合いが違う。少し高知県の酒の方が洗練されているようにも感じる。
呑助 南部美人のお酒というと、東日本大震災の際、多いに売れたという記録のあった酒蔵でしたね。
侘助 その通り。インターネットをフルに活用し、酒蔵の情報を発信したところ、日本全国から注文が激増したという話を聞いた。
呑助 目端の利く社長さんだったということですか。
侘助 一度、話を聞く機会があった。頭の回転が速いのか、次々に言葉が発せられる。お酒の説明能力が高いと思った。
呑助 今日楽しむもう一本のお酒、南部美人の「純米大吟醸・酒未来」はネーミングに特徴がありますね。
侘助 「酒未来」とは、酒造米の名称のようだ。山形、「十四代」の酒蔵の蔵元が品種改良し、作り上げた酒造米のようだ。『陸奥羽州の気候、風土に合った、短稈、耐寒、大粒、円盤状心白等を備えた酒米を十八年の歳月をかけ交配、育種を重ね成功し、この酒米を「酒未来」と命名。』(十四代より)

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